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TOEIC 900点オーバーを取り英語面接を経て転職するまでの英語学習法を高校英語から振り返る
私は新卒で日本のメガベンチャーに入社し、約7年間ソフトウェアエンジニアとして働いてきました。最近、英語での技術面接と行動面接を経て英語が公用語の企業への転職が決まり、改めて自分の英語学習方法を振り返りたいと思いました。
私はハーフでも帰国子女でもない日本人で、高校生の頃までは英語は苦手科目でした。しかし、大学受験、TOEICやTOEFL iBTの学習を重ね、フィンランドでの交換留学や日々の学習を通じて実力を伸ばし、当時大学院生だった2016年にはTOEIC935点を取得しました。その後は日頃の仕事では英語を話さないものの、英語を日常生活に取り入れながら学び続け、今回の転職に至りました。
この記事では、私の経験から得た「間違いなく効果があった英語学習法」を紹介します。それは日本の学校や塾でやる「英語の勉強」とは一線を画すものも多く、一言で言えば、「英語を日常に組み込み、楽しみながら触れる」方法です。
なお、終盤には「AIによって英語学習は不要になるか?」といった議論についての私なりの考察も書いています。
文中に出てくる書籍のリンクはAmazonアソシエイトのリンクです。
想定読者
本記事は、「英語を極める」よりも、「現実的に必要なレベルまで伸ばす」ことを目指している方々の参考になればと思って書いています。世の中には当然私よりも遥かに英語ができる人がたくさんいますが、レベル感が離れすぎていると参考にし辛かったりするものです。以下くらいのレベル感を想定しています。
TOEFLは難しそうだけど、まずはTOEICで高得点を目指したい
ネイティブの速い英語を完璧に理解する必要はないけど、ノンネイティブと基本的な英会話を楽しみたい
英語以外の専門スキルを活かしつつ、仕事で英語をある程度使えるレベルに引き上げたい
英語を日常に組み込む
英語学習を成功させるためには、どんな形でも良いから英語に触れる量を増やすことが最重要なので、日常生活に自然に英語を取り入れることが重要になってきます。以下に、私が実際に行った方法とその効果を紹介します。
1. スマホとパソコンの言語設定を英語にする
まず最初に行ったのは、スマホやパソコンの言語設定を英語に変更することです。これは即効性のある方法で、強制的に英語に触れる機会を増やしてくれます。不便でも耐えて徐々に慣れていきました。まあ、英語にしてるとなんかカッコいいじゃないですか、なんとなく。そういう感じでモチベを保ってたところもあると思います。
2. 毎日海外ドラマを見る (できれば英語字幕もなしで)
私の英語力を「日本の中だとチョットデキル程度のレベル (TOEIC800点程度)」から、「ネイティブとも会話できるレベル (TOEIC900点以上、リスニング満点レベル)」までブーストしたのは、海外ドラマ「フレンズ」を見まくることでした。シーズン1から10まで全236話、大体87時間以上の膨大な量を恐らく20周以上見続けました。最初は雰囲気だけしか分からなかったですが、それでもなんとなく面白いし、なぜか徐々にわかるようになっていきました。特に、英語音声+字幕なしで視聴したのが最も効いたと思います。
なぜ字幕なしでドラマを見ていたのかというと、実は最初からそうしたかったわけではありませんでした。当時フィンランドに留学していた私は、日常会話の英語があまり聴き取れず、どうにかしないと、とかなり焦っていました。そんな中でNetflixで英語ドラマを観ることにしたのですが、フィンランド版のNetflixには英語字幕がありませんでした。
最初は「なんで字幕がないんだ!」と困りましたが、振り返ってみると、この環境が逆に良かったんだと思います。字幕に頼ることができないので、強制的に「文字を読む」よりも「音を聴く」ことに集中せざるを得ませんでした。最初は全然わからなくて、ただなんとなく雰囲気だけで楽しむしかありませんでしたが、繰り返し観るうちに徐々に音が耳に馴染んできて、少しずつ聴き取れるようになっていきました。
ちなみに、単語とか文法とかいちいち勉強したりしてません。ただ見てただけです。なんかこう、はっきり日本語訳は分からないけど、多分こういうニュアンスのことを言ってるんだろうな〜みたいな英語が徐々に増えていきました。
量がこなせれば全然フレンズじゃなくてもいいと思うんですけど、会話量が多く、面白くて、量がたくさんあるドラマが中々他に見つけられないんですよね。もちろん、「The Big Bang Theory, Young Sheldon, How I met your mother, Full House, The Office」とか他にも色々見た上で、やっぱりフレンズが一番いいなと個人的には思いました。
Breaking BadとかGame of ThronesとかSuitsとかも大好きなんですけどね。やっぱり会話量であるとか、一話20~30分程度なので隙間時間にサクッと見れるところとか、トータルで英語学習ではフレンズが最適という意見はもうかれこれ10年近く変わってません。ただもう古くなってきてるので、フレンズに代わるフレンズ級に面白いシットコムが出てこないかなと待ち望んでます。ちなみに2025年1月現在フレンズはNetflixだと見れなくて、Huluで見れます。
3. 英語の音楽やPodcastを聴く
移動時間や隙間時間を活用して英語の音楽やPodcastを聴くことも大きな助けになりました。好きな英語の曲を覚えて歌うのは、リスニング力と発音の向上に効果的だったと思います。
身構えて頑張らない
重要なのは、勉強するぞーと身構えて意気込んで辛いけど頑張る、みたいな考え方から脱却して、いかに日常的に英語に触れる状況を作るか、娯楽を日本語から英語に移して楽しむか、だと思います。量を増やそうと思ったら、楽しむしかないです。その代わり、私の場合は日本語の娯楽は一時かなり制限していて、洋画縛りをしてたような時期も結構長かったです。
日本語でも面白いコンテンツはたくさんありますが、世界的に見れば日本語より英語の方が断然コンテンツ量が多いので、慣れてきて英語を英語のまま楽しめるようになるとより生活が楽しくなります。フレンズ一つとっても、日本語字幕で見ても細かいニュアンスが抜け落ちていてあんまり面白くなかったりします。
理屈よりも慣れ・量が大事
中学一年生で改めてA,B,C,...といったアルファベットを覚えるところから英語学習が始まり、その後単語を暗記したり、「主語が〜」「動詞が〜」といった形式的なことを学んでいくのが一般的だと思います。これらは確かに大切で、特に中学レベルの基礎知識がないと、その後の学習がスムーズに進まないのは事実です。
ただ、例えば基本の5文型(SV, SVC, SVO, SVOO, SVOC)がどうとかっていうのは、そこまで深く気にしなくていいと思います。正直、私自身も日常生活や仕事で英語を使う中で、「この文はどの文型だろう?」なんて意識したことはありません。
あと、とにかく単語の小テストとかって日本の学校はめちゃめちゃ好きじゃないですか。あれもまあ大事だとは思いますけど、そこが本質じゃないと思います。どうせ小テストのために勉強しても復習しないといつか忘れますし。
それよりも何よりも、日本人の英語学習で圧倒的に足りていないのは、英語を読む量・聞く量だと思います。
最近、2歳の我が子を観察していると、大量の日本語を聞きながら、状況と結びつけて自然に語彙を増やしていく様子が見て取れます。まあ考えてみれば、みんなそうやって日本語は覚えたんですよね。「文型」や「文法の理屈」は後からついてくるものでした。例えば日本語だって「いち、にー、さん、しー、ごー」と言うけど、「ごー、よん、さん、にー、いち」みたいになぜか「4」の呼び方が違う、理由はよく分からない、みたいなことがたくさんあります。同じように英語も、論理的にどうとかよりは、なんとなく慣習的にそう発音することになっているとか、同じ意味でもなんとなくこういう時はこっちの単語を使うみたいなことがたくさんあります。理屈じゃなくて慣れが大事。これに尽きる、と私は思います。
ここまでに書いたことが最も書きたかったことですが、以降はテストで高得点を取るためのもっと勉強っぽい話を書きます。
大学入学共通テストや国立大学の二次試験で8~9割くらい取れるまで
高校三年生の夏に「速読英単語」をやって劇的に英語力が伸びました。模試とかで初見の英語の長文を読んで問題がちゃんと解ける感覚を得られたのはここからでした。それまでは英単語の暗記が大の苦手で、単語テストによく落ちては、英語の先生に「ちゃんと勉強しよう」と優しく諭されていました。それでも、なかなかやる気になれませんでした。
しかし「速読英単語」を使うことで、単語を文脈の中で覚えることができ、音声もついているので同時にリスニングの練習にもなりました。これを1〜2ヶ月集中して続けた結果、初見の英語長文がわりと読めるようになり、模試や問題集の英語問題に取り組む効率が飛躍的に向上しました。もちろんこれだけでオールOKってことにはなりませんが、一旦読めるようになると、その辺の教科書とか模試とか過去問とか問題集の英語の問題を使って似たような形式で英語を学ぶ、英単語を覚えることが効率的にできるようになりました。この延長で学習を続ければ、共通テストや国立大学の二次試験で8~9割は十分狙えると思います。
英語を基礎からやり直したい場合、まずはここから始めるのがいいんじゃないのかなと思います。
TOEIC800点まで
大学入学共通テストで8~9割くらい取れる英語力だと、当てずっぽうですがTOEICだと500~600点くらいは取れるレベル感かなと思います。そこから800点レベルまでは、いわゆる受験勉強的な対策で到達しました。
大学3年生になってから大学院で留学したいなと思い立ち、とりあえずこの「TOEIC L&Rテスト はじめてでも600点が取れる!」を使って勉強して初めてのTOEICに挑みました。結果は575点でした。600点取れんやないかい!と憤りました。
そこからイ・イクフンさんという韓国の方が出されてる本のリーディングとリスニングの両方を買ってまた勉強しました。ちなみに2024年時点でこれの一番新しいシリーズは「極めろ! リスニング解答力 TOEIC® L&R TEST」みたいです。
あとは当然ですが公式問題集もやりました。公式問題集をやり込むのはめちゃめちゃ大事で、振り返ってみるとこれを一番最初にやるべきだったなと思いました。
これで575点から一気に780点くらい取れるようになりました。英語を聞いた量が増えて閾値を超えたような感じなのではないかなと思います。最初のブレークスルー的なものを感じました。ここでも英単語の暗記とかは全然やってません。
ただ、ここからはいくらやっても805点 → 810点、みたいな感じで800点程度で伸び悩むようになりました。何かもっと本質的な英語力の底上げが必要だと思い、一旦TOEICの勉強はやめて、留学に向けてTOEFL iBTの勉強に移りました。
TOEFL iBT 64点まで
TOEFL iBTはTOEICよりもめちゃめちゃ難しくて、リーディングとリスニングに加えてスピーキングとライティングもあります。120点満点のテストで、アメリカ留学だと最低でも80点以上は必要でしたが、ヨーロッパだと61点以上でOKな場所もありました。一回の受験で確か2~3万円以上は取られた(今は為替の影響で4万円以上するみたい)ので、当時貧乏学生だった私にはかなり厳しく、なんとか一発で61点以上を取ってやろうと頑張って主に公式問題集で対策しました。全然、全部やり切れる感じではありませんでしたが。。TOEFL iBTに出てくる単語はかなりアカデミックなものが多く、さすがに単語の勉強は避けられないと判断して「TOEFLテスト英単語3800」を使って暗記を試みましたが、めちゃめちゃ途中で挫折しました。
なんとかギリギリ、64点が取れました。スピーキングはもはや英語っぽい音を出していただけだった気がします。
結局その後TOEFLは一度も受けていません。難しすぎていまだにトラウマが...。でも、国際的にはTOEICは全然評価されないので、なんか理由を見つけてまたリベンジしたい気持ちはあります。IELTSでもいいですが。でもまあ、別に海外大学院に行きたかったりするわけでもなく、ソフトウェアエンジニアとして国際的な環境でビジネス英語が使えれば私にとってはそれで十分なので、もう一生受けない可能性も全然あると思います。
ネイティブとも会話できるレベル (TOEIC900点以上、リスニング満点レベル)まで
大学院に入学し、いよいよフィンランドに交換留学しました。語学留学ではないので、英語自体を学習する機会はありません。ただ、毎日英会話ができないと何もできない状況が続いたことで、より前のめりに英語を学習しようという気持ちにはなってました。
ここからは前述の通りフレンズを見まくるなどより積極的に日常に英語を取り込み、かつ生活の中で友達と話すなどアウトプットする機会を増やすことで、本質的な英語力が飛躍的に向上しました。
このくらいのレベル感になると、「英語のドラマを見る」とか「英語で本を読む」とか「英語で何か他の専門的なことを勉強する」みたいに英語を使って何か別の目的のことをすることがそれなりにできるようになってくるので、より英語力の向上が加速する感覚がありました。
帰国後にTOEICの公式問題集を改めて解き直してみると、特にリスニングの間違った選択肢なんてわけ分からんこと言いまくってて笑えてくるくらい余裕に感じるようになってました。935点を取って、これ以上TOEICを極める意味を見出せなかったので一旦卒業しました。もうしばらく受けてないので久々にまた受けてみようかなーと思ってます。
発音も最低限は意識してみる
あともう一つ、わりと重要だったんじゃないかなと思う点が、発音です。初めに言っておくと、日本人は世界的にも勉強ができる人がかなり多く真面目なので、カタカナ英語としての発音に異常な拘りを見せる発音警察の方が結構いらっしゃいますが、そういった態度を推奨したいわけでは決してないです。
別に私は今でも Japanese English を喋っていると思いますし、そもそもインドだってシンガポールだってめちゃめちゃ訛ってますし、インド人的には「アメリカ英語の方が訛ってるんだぜ」くらいの勢いのようですし、そんな細かいことは気にしなくていいと思ってます。
ただ、リスニングだとアメリカやイギリス英語を聴くことが多いので、正しく聞けるようになるためにも、自分が正しく発音できるようになることはやっぱり重要だと思います。ここで大事なのは、カタカナとして存在しない音を発音することです。
例えば、「Thank you」は「サンキュー」とか「センキュー」とカタカナで発音するのではなく、いわゆる「舌噛みth」で発音するように意識してみる、みたいな話です。ほんと意識一つで変わる話です。
留学中に「City」のことを「シティー」と発音していたら、海外の友達にめちゃめちゃ笑われたことがありました。Japanese Englishだと、「Shitty (クソみたいな)」に聞こえちゃうんですね。「スィー」みたいなイメージで発音する必要があります。 「Food」と「Hood」も全然違う意味になりますけど、日本語の発音だと全く同じですよね。FはHと違って上の前歯を下唇に軽く噛む感じに当てます。こういった超基本的かつクリティカルな部分だけでもちゃんと意識するようにするだけで、聴こえる英語や話せる英語に幅が出てきて、自信にもつながっていきます。
英語力をキープする
就職してからこれまでの約7年間弱のうち、1年間くらいは英語を話す職場にいましたが、それ以外で英語を話すことはありませんでした。たまーにフィンランド時代の友達と話す程度です。ソフトウェアエンジニアなので英語を読む機会はそれなりにありますが、まあその程度です。せっかく身につけた英語力を腐らせないためにも、やっぱり前述した日常に英語を取り入れるよにしていたことが効いたと思います。
以上で今まで私がやってきた英語学習についての紹介は終わりです。
英語面接対策
まずresumeですが、「How to write resume software engineer」とかでググって出てきたものを参考に経験を整理しながら初版を書き、Chat GPTと相談しつつ仕上げました。過去の経験を短い文章で整理するのが結構大変です。Job descriptionにマッチする経験を厳選し、インパクトのある短文にまとめるというのを何度も繰り返して洗練していきました。
そしてresumeに書いた話はSTARメソッドで英語で語れるように何度も練習しました。STARメソッドとは、Situation, Task, Action, Result という順番でストーリーとして話す方法のことです。
Job Descriptionを参考にしてChat GPTにも面接を想定した質問を考えてもらって、返答を書き出し添削してもらって、出来上がったQ&Aを声に出して録音し、ランニングしながら聞き流したりもしました。
あとは普通に「なぜ辞めるのか」「なぜこの会社に入りたいのか」「Tell me about yourself」辺りは100%聞かれる質問なので、英語でペラペラ喋れるように練習しました。
疲れた時にYoutubeで検索して動画を見たりもしてました。参考にさせていただいたチャンネルをいくつか貼っておきます。
ただ、いくら練習してもやっぱり暗記したスクリプトを読み上げるつもりでいると上手くいかないだろうなと思わされる場面が多々ありました。絶対に予期していなかった質問が来ます。想定される全ての質問に対する回答を準備するのは実質不可能です。
私は日本語でも英語でも、面接ではちょっと遠い親戚の叔母さん、叔父さんと話すような感覚を意識しています。丁寧かつフレンドリーな感じです。準備をできる限りでやったら、本番はスクリプトを読み上げるのではなくきちんと会話するつもりで話すことが大事だと思います。結局アドリブでそれなりに話せる基本的な英語力を鍛えておくのが重要になってきます。
余談: 英語がmust haveで日本語がnice to have
英語が必須、プラスアルファは日本語
今回は結局1社しか正式な選考は受けませんでしたが、いくつか話を聞いたり調べたりする中で、ソフトウェアエンジニアとして高待遇を得るためにはもはや英語力は必須となりつつあり、日本語の方が「プラスアルファ」となっている企業も多い印象を受けました。外資ではない国内の企業でも、技術力と英語力があれば日本語ができなくても採用されるケースが増えているようです。
競争相手は海外のエンジニア
そうなると、日本人でプログラミングも英語もできるって人はまだあまりいないので、メインのライバルは日本人ではなく海外の人になってきます。アメリカなど元々英語圏の人はもちろん、インドや中国にも英語とプログラミングの両方ができる人はかなりいて、かつ日本は治安が良く飯が美味くて物価が安いので、日本に移住したい人もかなり増えてきています。実際私も一年間勤務していた某決済アプリの会社もかなりの割合が海外の方でした。日本語はほとんど喋れない人でも技術力があって英語が使えればバンバン採用してる感じでした。YouTubeやRedditで英語で日本移住について発信している人もかなりいます。もう既に、高待遇のポジションからどんどん海外のエンジニアによって埋められている状況です。
AIによって英語学習は不要になるか?
結論、私は不要にはならないと思います。
例えばイヤホンを使ったリアルタイム通訳自体はすでに実用化されてますし、これらの技術の進歩によって既に一部のコミュニケーションは代替されています。インターネット越しの1対1の会話なんかはこういったツールに立脚した会話で何の問題もなくなると思います。この延長線で全てが事足りるのかという問題は、「フルリモート VS 出社」の論争に似た議論になるのではないかなと思います。
フルリモートの課題
コロナ禍を経て、アメリカ人同士が英語だけで(日本人同士が日本語だけで)コミュニケーションを取る環境でも「やっぱり直接オフィスで会って密にコミュニケーションを取りながら働くことが大事だよね」という方向に世界は向かっています。私自身ここ数年はフルリモートで働いてきて、結局新チームに異動してからは3年弱ほとんどの人に全く会うことなく過ごしたので、フルリモートの課題はいくつか思い当たります。ちなみにElon Muskは、WFH(Work From Home)は生産性の問題だけではなく、倫理的な問題だとも言ってました。
私も集団の生産性には少なからず悪影響があると思っています。まず、相手の気分や感情の詳細が分かり辛い。自分が思ったより、表情や声のトーンから相手の気分や感情を察しながらコミュニケーションを取っていることに気付かされました。
そして、複数人で同時に話せない。同時に音を発するとノイズになって会話にならないので、どうしても一人ずつ順番に話すことになります。オンラインでの懇親会や飲み会も何度もやりましたが、オフラインに勝るほど盛り上がったことは一度もありません。
オンラインが当たり前になると、私も含めて、コミュニケーションに対して受け身になっていきました。ほとんどがカメラオフの環境になると、一人だけカメラオンにしているのも変なのでオフにします。相槌を打ったってノイズになるだけなので、基本的にはミュートします。徐々に挨拶もしなくなっていきます。ほぼファシリテーターだけが喋って終わる会議もたくさんありました。
こういった課題があると、端的に言って、みんなと仲良くなれません。1on1を重ねた相手とはそれなりには仲良くなれますが、そういった機会のないメンバーと仲良くなることはかなり難しいです。挨拶も雑談もないので当然と言えば当然です。
ソフトウェア開発は黙々と設計を考えたりコードを書いたりする時間が長い職種なので、そういった時間はむしろ家の方がパフォーマンスが高いと私は感じます。正直言って、私個人が仕事をこなす上では特に課題を感じていません。ただやっぱり、3人以上の人数で難易度の高いことを唸りながら一緒にやるのは難しくなっているのかなと思います。オフラインで会うメリットは、究極「仲間感」みたいな定量的な数値では表し辛いフワッとした感覚にあって、その先に集団としての生産性の差が出てくるのだと思ってます。
AIを間に挟んだコミュニケーションの課題
結局、細かい感情やニュアンスの理解、そして集団でのコミュニケーションと生産性の最大化を考えると、人が英語を使って話せることの需要は今後も消えないと思ってます。
AIは英会話や英語学習を補完する強力なツールとして活用できると思いますし、これからもそういった用途としては進化を続けると思います。
ただ、AIを間に挟んだコミュニケーションだと、「フルリモート VS 出社」で課題に上がったことと同じ問題が生じ得ます。感情が分かり辛い。複数人で同時に話すのが難しい。面倒なので最低限のコミュニケーションだけに減っていく。こういった問題が起きると思います。
それだけでなく、英語を学ぶことは単なる言語の理解にとどまらず、思考や文化理解にも深く関わります。よく、英語を話している自分と日本語を話している自分はちょっと別人になる、という話を聞きます。私自身も感じます。また、英語を英語のままで理解することで伝わる文化や価値観、感情があります。例えばユーモア一つとってもそうです。先述の通り、フレンズを日本語字幕で見てもあまり面白くありません。
未来は正確に読むことはできません。私は合っているかもしれないし、間違っているかもしれません。でも、現実として2025年現在は、これだけ翻訳技術が発達してもなお、国際的な組織におけるソフトウェアエンジニアの求人では英語が必須とされています。来るか来ないか分からない時代を待っているくらいなら、今動いたほうが後悔はないと思います。役に立つかどうかという視点を除いても、英語は必ず人生を豊かにします。時間が無駄になるなんてことは決してないです。
英語なんて言葉なんだ。こんなものやれば誰だってできる。by 東進ハイスクールの英語講師安河内先生
なんか遥か昔にこんなCM流れてましたけど、これは本当にそう思います。世界中の人にできるんだから日本人にだってできないわけがないんですよね。ただ必要に迫られてないからやってなくてできないだけなんだと思います。私も全然まだまだなのでこれからもっと英語に慣れていかなきゃなと思ってます。覚悟決めてやっていきましょう。