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おまえはおまえの無形資産を積み上げるべきだ

おれがストリートの会計士になって10年以上がたつ。ずっとストリートを生きる上での考えについて述べてきたおれが言うのもなんだが、昨今は正体不明のヴィールスとかの脅威で、多かれ少なかれ世の中がおかしくなってきているので、この夏に監査法人とかを逃亡しようと考えていたやつは一度頭を冷やしたほうが良いだろう。ストリートに出てくる時ではない。

しかしおれは、以前から、ストリートで生きていくための心構えについてのメモをこのウェッブ空間に残すというライフワークの中で、仕事のとり方について、書かないまま来ていることがずっと気になっていた。今日はその話をするつもりだ。ちなみに、これは会社員としてもじゅうぶんにかつようできるとおれは信じている。

正直に言うと、何度もこのテーマに触れようとして、いくつか下書きも書いたのだが、どうにもまとまりが悪い。というか長い。

なんだかんだ言って、おれは律義に全部ていねいに説明しようとするところがある。ひとつのことであってもダラダラと長く書いてしまうという弱点があるのだ。昨今のおれの研究では、そういうくどくど話が長いやつは世間ではあまり好まれないので、おれはトークを極力短くすることに目下取り組んでいて、シゲサト・イトイの昔の本を読んだりしているのだが、何しろテキストは誰にも邪魔されないので、本来のおれの欲望が出てしまう。これは克服すべき事態だとおれは憂慮している。

この点について、ネットの先人たちもあちこちで言っているように、そもそも全部書こうと思ってはいけない、ということにおれは気づき、今回は意味が通るかどうかわからないが、できるだけ乱暴に話を進めるつもりだ。

投資をしないと売上はあがらない

会計士とかそういう商売は、元手があまりいらないという利点がある。しかし、ゼロから売上は発生しない。必ず投資が必要となるというのがおれの考えだ。

この場合の投資は、設備を買ったり、豪華なオフィスを作ったりとかそういうことではない。おまえの時間を一定程度、人間関係を作ったりとかそういうことに使わないといけないとか、そういうようなことだ。

仕事を取りに行くと言って、ピンポンすることとかをイメージするのは、結果だけを言うと間違いだ。ウェッブサイトで集客するのも、結局大してうまくいかない。基本的におれたちの仕事は紹介とかで増える。あとは、もともとの知り合いが突然起業することになったとかそういうパターンだ。

過去にも述べてきたように、会計士の仕事は、スキルさえあれば、結果は誰でもそんなに変わらないという特徴がある。つまりコモディティだ。しかも、いずれAIとかにじゅうりんされる運命にある。だから、おまえの売上はおまえをよく知っているとか、おまえが一目で気に入ったとか、おまえをよく知っている人がわざわざ結び付けてくれた誰かとか、そういうところからしか上がらない。おまえだから頼みたい、という人をどれだけ作れるかが重要だ。

そのためには、まあまあな時間と手間暇がかかる。

しかし、仕事はすぐには来ない

いっぽうで、年がら年中会計士に相談したいことを持っている奴もいない。おまえがどれだけ頑張っても、おまえの客はすぐに仕事をもってくるわけではない。ただ、たまに会計士に相談したいようなことが誰にでも発生するのも確かだ。その時に、一番におまえに連絡が来るようにしなければならない。

それは既存顧客でも同じだが、企業ともなると、いろいろな連中があわよくば仕事をもらおうと狙っている。そいつらを差し置いておまえに電話がかかってくるように、おまえは存在感を増さなければならない。

おまえが運よくくだらないワークを手に入れたとしたら、そこで作った人間関係が次の仕事につながる可能性は高い。また、ちょいちょい会社に顔を出していると、何かしら困ったことが発生しているという場面に出くわすことも少なくない。付加価値が低そうな作業だからといってあなどってはいけない。ポテンシャルを考えてみるべきだ。

人は思ったよりコミュニケーションコストに敏感で、要するに、適切な人材を探すのはとても面倒なので、手近な奴がそこそこやれそうであれば、取り敢えずそこに仕事を頼むというのはよくあることだ。もちろん、人となりがよくわかっていることが、アドバイザー選びにはとても重要だから、ということはいうまでもない。

仕事はタイミングが重要だ。世の中には電話が嫌いすぎてMVまで作ってしまうやつもいるが、そういうやつは仕事を生み出すやつで、おまえは人の仕事を手伝うほうだから、同じに考えてはいけない。電話は5秒以内に取れ。おまえが電話を取らなかったばっかりに、おいしい仕事が他のやつに流れることは多々ある。

おまえは、一生懸命あちこちで愛想よくしているのに全く仕事がもらえない、と感じることもあるだろう。しかし、待たねばならない。必要ないものを売ってしまうと、人間関係がおかしくなるのは当然だ。種をまいたら収穫を待て。ただ、作物の成長からは目を離すな。

これにも、時間が必要となる。

時間という重要なリソースを投資しろ。

ストリートで暇であることは不安と背中合わせだ。おれにも経験がある。しかし一方、年がら年中忙しい奴は、当然新しい人脈に投資したり、あたらしい取り組みを始めたりといった投資を行うリソースがない。すでに週5回会食で埋まってるやつは、あたらしいやつに会う暇がない。もともとエネルギーが多いやつは別だが、面白いことを考える暇もだんだんなくなってくる。暇であるということは非常に価値が高い状態なのだ。自信を持ってアピールするほうがいい。

最初からわりのいい仕事など取れない。仮にあったとしても、それは過去におまえが行ってきた投資がマネタイズされたということであり、放っておくといずれリソースは枯れ、カネを生み出さなくなる。独立バブルというのもそれなりにあるものだが、それを持続する形にメンテナンスしていくのには、必ず新たな投資が必要となる。

独立したらまず、知り合いに片っ端から連絡して、暇だとアピールすると良いだろう。ちょっと試しに仕事を頼んでみようかな、という気持ちになるのも誰にでもあることだ。誰だって、使える奴を欲している。正直、少々使えなくても、何かしらやってくれるのであれば、それでもありがたい。

人に仕事を頼む側になるといずれわかってくると思うが、スキルが全てではなく、フィーリングが合うかどうかとか、付き合いやすいかどうか、とかがとても重要なポイントだ。前も言ったように、トビキリのスキルが必要となる困難な仕事はストリートにはとても少ない、というかほぼないからだ。

だからおまえがふんだんに持っている時間というリソースを、明らかにクソみたいなレートの仕事は別だが、少々わりが悪いぐらいであれば、下請けの仕事に突っ込んでみても良いだろう。おれは、駆け出しの人間を搾取するのはあまり好きではないが、正体のわからないやつに、あまり金を出せないというのも事実だ。ただ、こいつはいいと思ったら、全員が囲い込みに走るので、自然と待遇は良くなる。

そういう人材に対して、あくまでも下に置こうとするか、紹介というカタチで完全に仕事をくれるかは人による。この戦略については、人を使う側の話になるので今日はやめておこう。ただ、おまえは、仕事をくれるやつが、どういうタイプなのかよく見ておいたほうが良いだろう。

とりあえずおまえは知り合い全員と飯を食って暇だと言え。

そしてB/Sの左下を意識しろ

人と会う、取り敢えず知り合いの仕事を手伝う。具体的に言うとやることはこれだけだ。しかし、それは次につながっていくのか、うまく自分のビジネスとしてマネタイズできそうか、そういう視点を忘れてはいけない。

投資は回収できなければならない。おまえが個人商店だとしてもビジネスであることには変わりがない。基本には忠実であるべきだ。

おまえが真面目に活動すると、B/Sの左下になんらかの資産が積みあがっていく。これらの資産の多くは、今の会計のルールでは資産計上されない。つまり、無形の資産だ。

しかし、昨今、無形の資産を考慮せずに企業の価値が評価できないのと同様に、おまえも自分の無形資産を適切に評価せずにビジネスを続けていくことはできない。

ここで、みんながみんな考えるのは、質のいい資産を得られそうなアクティビティに時間を投資しよう、ということだが、おれは必ずしもそれだけが正解だとは思っていない。

羽振りのよさそうな奴と付き合う。なんか意識高い本とかYoutubeとかみる。そういうのは、みんながみんなやっていることなので、結局おまえ独自の強みにはつながらない、とおれは考える。隠し切れないオリジナリティ、個性といったものがやはり欠かせない。そういう意味では具体的にやるべきことがもう一つあって、それは、楽しい自分の時間を見つけることだ。

卑近な例だが、仕事をしていると、オフの時何してますか?とかいうしゃこじ的なことを聞かれることも少なくない。おれはそういうとき、正直にインターネットとかゲームとか答えることにしている。大半は、はあそうですかと話が流れる。と思うかもしれないが、ところが、おれの実績から言うと、世の中には、インターネットばっかりしているようなやつはめちゃくちゃ多いので、実際には、かなり打率が高い。おれは正直に答えることで、当たり障りのない会話に、結果として、引っ掛かりを残すことに成功しているケースが多い。

例えばこれが、デカいネトゲの話とかになると、タイトルが異なっても経験していることが似ているので、ハマると一気に距離を縮める強力なツールになることがある。これは実際にあったことで、ちょっとゲームの話ができるだけで、経理部員がゴキゲンでおれのオーダーに協力してくれるようになった。やはり人は、自分と似たオーラを持っている奴を何となくかぎ分けて興味をしめすのだろうとおれは考えている。みんながナイトプールでウェイしているわけではないのだ。というか、そういうやつは結構少数派ではないかとおれは思う。

話がそれたが、重要なことは、おまえが一見無駄だと思っている時間であっても、投下した時間は必ず何らかの資産を生んでいることに気づくことだ。一見どうしようもなく、ただ捨てるしかないように見えるかもしれない。しかし、おまえは今一度自分の資産をたなおろしし、ビジネスに結び付ける方法が何かしらあるのではないかと考えてみるべきだ。

そういう意味では、外出を自粛している間にも、プライムビデオを見るとかして、おまえの資産を強化する時間はふんだんにある。ついでに人生も楽しくなる。

ちなみに、おれはゲームの話が分からないやつには、だいたいアマゾンプライムで見たサメ映画の話をすることにしている。これも意外とウケがいい。要するに話のネタが面白いだけでも、人的なネットワークを強化するとかにはすごく良かったりするのだ。そしてこれは、暇な時しかできないことだ。

おまえは、自分のリソースを惜しみなく投下しろ。そして投下した結果得たものをよく吟味して、その活用方法を真剣に考えろ。もし、なにひとつ得るものがないと思ったら、その時間と金は減らしたほうが良いだろう。おまえがつまらないと思っている時間はおまえをつまらない人間にする。それはできるだけ避けたほうが良いし、余裕があれば、その時間を面白くする方法を考えてみると良いだろう。

日々をそうやってすごしていけば、おまえのアセットはその辺のやつがちょっとやそっとじゃ真似できないぐらい強力なものとなり、売り上げは自然と上がる。案外そういうものだ。

今日も結局長くなった気がするが、おれの記事で4800文字は、必ずしも長いほうではないということを付記しておこう。



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