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「年次有給休暇」年5日の取得義務~労働基準法をゼロから勉強してみる

前回は、
「退職予定の従業員から
 退職間際に年次有給休暇を
 申請されたらどうする?」
についてお話ししました。

今回は、
「年次有給休暇」の年5日取得義務について
考えてみたいと思います。


年5日の「年次有給休暇」取得義務とは?

1.対象者
労働基準法で定められている
「年次有給休暇」付与日数が
10日以上
の従業員
(管理監督者や有期雇用労働者を含む)

2.時季指定義務
会社は、従業員ごとに、
「年次有給休暇」を付与した日
(基準日)から1年以内に5日の
「年次有給休暇」を時季を指定して
取得させることが必要
です。

3.時期指定が不要な場合
従業員が自ら請求して取得したり、
計画年休により取得した
「年次有給休暇」の日数については、
その日数分を5日から控除できます。

つまり、
「会社による時季指定」
「従業員自らの請求・取得」
「計画年休」
のいずれかの方法で、
年5日以上の有給休暇を
従業員に取得させれば、
義務を果たすことができます。

なお、この「年5日」には、
「半日年休」は含まれますが、
「時間単位の年休」は含まれないので
注意が必要です。

4.『年次有給休暇管理簿』の作成
会社は、従業員ごとに
『年次有給休暇管理簿』を作成し、
3年間保存しなければなりません。


※年5日の年次有給休暇の取得義務の
 詳細は、厚生労働省作成の
 パンフレットをご覧ください。

年5日の年次有給休暇の確実な取得(パンフレット)】


義務を果たすための具体的な方法

それでは、
実際にどのように「年次有給休暇」の取得を
促進すればいいのか考えてみます。

▶計画的な付与
基準日に
『年次有給休暇取得計画表』を
個人ごとに作成し、

年間や四半期、月別に
取得予定を明確化することにより、

職場内で従業員の取得時季の調整が
しやすくなります。

▶会社からの時季指定
従業員の意見を聴取した上で、
会社が取得時季を
指定することも可能です。

特に、
基準日から一定期間が経過した時点で、
「年次有給休暇」の取得日数が少ない
従業員に対しては、
計画的な取得を促すために有効です。

▶計画年休制度の活用
労使協定を締結することで、
会社は計画的に年次有給休暇を
付与することができます。

夏季や年末年始などに
計画的に付与することで、
大型連休を実現することも
可能になります。


違反した場合の罰則

年5日の「年次有給休暇」を
取得させなかった場合、
労働基準法違反として、
30万円以下の罰金が科される
可能性があります。


まとめ

「年次有給休暇」の取得は、
従業員の心身のリフレッシュに繋がり、
ひいては生産性向上にも寄与すると
考えられます。

会社として、
従業員が安心して「年次有給休暇」を
取得できる環境を整えることは、
人材確保・定着にも繋がる
重要な取り組みと言えると思います。

ぜひ、今回の記事を参考に、
貴社における「年次有給休暇」の
取得状況を見直し、
より働きやすい環境づくりを
目指してください。

この文章が、
経営者の皆様にとって、
年次有給休暇の重要性を理解する
きっかけとなれば幸いです。

【注意】
本記事は、
一般的な情報提供を目的として
投稿日現在の情報をもとに作成しています。
個別のケースに
当てはまるものではありませんので、
あらかじめご了承ください。

また、法律や制度は頻繁に改正されるため、
必ず最新の情報をご確認ください。

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