【速報レビュー】『相手を飲み込んだ、強度と連続性と情熱』~第31節ファジアーノ岡山vs愛媛FC~


試合結果

2024 J2 第31節
9/14 19:00K.O. @シティライトスタジアム
岡山(3-0)愛媛
8分 田上大地
72分 岩渕弘人
82分 神谷優太

スタメン

勝点3だけを目指した、闘志むき出しの90分間

キックオフの笛が、1週間で溜め込んだ闘志を全解放させた。

岡山は攻守両面で矢印を前に強く打ち出す。先発に返り咲いた田上が全体を押し上げ、味方同士の距離感を縮めた状態で高強度のプレスを繰り出してボールを奪い取る。そして、勢いよくゴールに向かった。パスも、動き出しも、ドリブルも、全てのプレー選択が前。サイドの奥を取りに行ってCKを立て続けに獲得する。7分には右サイドからゴール前への進入を許すも、3人が体を投げ出してシュートブロックすると、末吉が快足を飛ばして一気に相手ゴール前へ踏み込んだ。

エネルギッシュな攻撃で相手を閉じ込めていくと、勢いそのままに押し切って先手を取った。8分、田部井のCKに田上が頭から飛び込む。相手と交錯して顔から出血しながらも気持ちの入ったヘディングシュートでネットを揺らしてみせた。

先制を許した愛媛は、左シャドーの窪田がスピード溢れる縦突破からのクロスや右シャドーの石浦が密集地から左足でチャンスメイクを図る。しかし、岡山のタイトな対応の前に決定機を作ることができない。

ホームチームは[5-4-1]と[4-4-2]を使い分けてコンパクトに守り、機を見て追加点を狙っていく。その旗頭になったのは、3試合ぶりに先発した早川だ。23分に背後へのランニングで田部井のスルーパスを引き出して左足シュートを放ち、43分にはロングシュートで相手GKを慌てさせた。

ハーフタイムを挟んで迎えた後半も岡山の勢いは落ちない。55分にルカオと神谷を投入すると、嵐のような連続性と高強度のハイプレスで愛媛を包み込んでいく。フレッシュな神谷がスイッチを入れ、WBもボランチも前に出ていき相手陣内でのボール奪取を積極的に狙う。カウンターに踏み切る決断も鋭く、62分には末吉の粘り強い守備をきっかけに、ルカオのアウトサイドパスに岩渕がPA内で合わせたシュートは、惜しくもGKの好守に阻まれた。

ルカオが重戦車のような推進力で3バックの脇を突き、必ずと言っていいほど岩渕がフルスプリントでゴール前に走り込む。そのゴールへの執念が、73分に結実する。鈴木のパスに抜け出したルカオが深い位置まで持ち運んで折り返したボールを岩渕が頭で合わせた。チームとして渇望していた追加点を、エースがもたらした瞬間に、8,658人が駆けつけたシティライトスタジアムは破裂するかのように沸いた。

突き放しても攻撃の手を緩めない姿勢に、勝利への執着心を感じた。最終ラインを高く設定し続け、75分からピッチに立った木村も竹内も相手からボールと自由を奪いに行く守備の歯車を担い、[3-4-3]でのハイプレスを貫く。82分には木村のクロスをルカオが頭で触り、神谷がスライディングシュートで移籍後初ゴールを決めた。

3点差を付けられた愛媛は、前線に若くてスピードのあるアタッカーを投入して反撃を試みるも、岡山の守備網を掻い潜れず。最後まで相手ゴールを脅かすことはできなかった。

痛恨の敗戦から1週間後、ファジレッドが見せたのは、ホームゲームにふさわしい勇敢な姿だった。勝点3だけを視線に入れて進めてきた準備を、90分を通して攻守に力強いプレーで表現。強度・連続性・情熱で相手を飲み込み、ホームで圧勝を収めてみせた。


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