【勝因】『クロアチアによるフランス対策の[6-3-1]』~UEFAネーションズリーグ フランスVSクロアチア~
スタメン
ハイライト
試合を選んだ理由
ネーションズリーグの対戦カードを眺めていると、フランス対クロアチアを発見。4年前のロシアW杯の決勝と同じ組み合わせに興奮して選びました。
フランス対策の[6-3-1]を継続したクロアチアが勝利
クロアチアが勝利できたのは、フランス対策を最後まで徹底できたから。
5分、クロアチアのCK。FWブディミルがゴール前でDFコナテに倒されてPKを獲得すると、MFモドリッチがしっかりと成功させました。
開始早々に先制したクロアチアは、フランスの攻撃を受ける展開で試合を進めていくことになります。終わってみれば3倍以上の17本のシュートを許しましたが、無失点に抑えました。なぜ無失点に抑えて勝つことができたのか。それはフランス対策だったであろう[6-3-1]を最後まで徹底できたからです。
クロアチアは[4-3-3]でスタートしましたが、先制してから徐々に重心を後ろにしていき、50分からは完全に[6-3-1]に変化していました。右WGのパシャリッチ、左WGのブレカロがSBの位置まで下がり、4バックがゴール前に並びます。193㎝のDFエルリッチを中心とした厚みのある壁を築き、ゴール前に入ってくるボールをはじいたり、シュートブロックをしたりと4人のDFがよりゴールを守ることに専念できる状況を作ります。
また、フランスの強みはサイド攻撃です。左はWGのエムバペの突破力とSBのディーニュのクロス、右はWGのエンクンクがインサイドに潜り、SBのクンデが大外を駆け上がってクロスを上げます。
正直、個人の能力だけを見るとフランスの方にアドバンテージがありました。だからこそ、クロアチアはボール非保持時にWGの選手がSBの位置まで下がります。ドリブルを仕掛けてくるFWエムバペに対して、まずはSB化したFWパシャリッチがアプローチして、内側からDFスタニシッチが出ていきます。それでもエムバペが強引に突破しようとしてきた81分には、さらに内側からDFエルリッチがカバーリングをして守り切りました。
6バックになったことで相手のサイド攻撃に3人で対応することができるんです。さすがのエムバペも3人に囲まれると、突破できなくなりました。右サイドも同様に人数をかけて守っていきます。
WGとSBを兼任するのはかなりの体力が必要です。ピッチの縦幅は約100mあります。回数こそ少なかったですが、クロアチアはカウンターから2点目を狙うこともあったので、SB化するWGには約100mを行ったり来たりすることもタスクとしてありました。
疲弊すると、粘り強い守備を支える集中力が低下してしまう。そこでダリッチ監督は6人の壁が決壊しないために、65分にFWパシャリッチに代えてMFマイェルを、72分にはFWブレカロに代えてMFヴラシッチを投入します。フレッシュな選手を入れて集中力を持続させることに成功したクロアチアの[6-3-1]は、最後までフランスの攻撃をしのぎ勝利を収めたのです。