【勝因】『カウンターで得点を取れる2選手の投入』~2022‐23UEFAネーションズリーグ3位決定戦オランダVSイタリア~
試合結果
スタメン
今大会で3回目を迎えるUEFAネーションズリーグ、3位決定戦でオランダとイタリアが激突した。両チームによる打ち合いの展開になった中で、勝負を決めたのはイタリアを率いるロベルト・マンチーニ監督が投じた63分の2枚替えだった。
オレンジ一色に染まったスタジアムでキックオフを迎えた中、イタリアがいきなり試合を動かした。6分、フェデリコ・ディマルコが左サイドから上げたクロスは相手DFにブロックされるも、イタリアがこぼれ球を拾い、ダヴィデ・フラッテージがPA右から折り返す。ゴール前中央で待ち構えていたマテオ・レテギのオーバーヘッドキックは合わなかったが、流れたボールをジャコモ・ラスパドーリが回収すると、ディマルコが左足を振り抜く。強烈なシュートがネットに突き刺さった。オランダのDFは足が止まってしまい、それを見逃さなかったイタリアが先制に成功した。
パスを回して攻めるオランダに対して、イタリアは横のスライドを素早くすることで守っていくと、20分に追加点を挙げる。アレッサンドロ・ボンジョルノのロングフィードに抜け出したディマルコが中央に折り返し、ラスパドーリを経由してウィルフリーフド・ニョントがシュートを打つも、相手にブロックされる。しかし、ルーズボールに反応したフラッテージが冷静に流し込んだ。
後半は2点を追いかけるオランダがハーフタイムに3枚替えをおこなってスタート。ゴール前に飛び込んでいけるジョルジニオ・ワイナルドゥムを中盤に、単独で突破できるステーフェン・ベルフワインを右サイドに、197cmと高さがあってターゲットになれるヴァウト・ヴェフホーストを最前線に投入した。フレンキー・デ・ヨングを中心にパスを左右につなぎながら、フィールドプレーヤー全員が相手陣内に入って一方的に押し込み、サイドからのクロスを増やしていく。しかし、[4-1-4-1]のブロックを組むイタリアの守備を崩せず、ゴール前に入れたボールは跳ね返されてしまう。
重心が後ろになったことで自陣に守る時間が続くイタリアは、63分に2選手を同時に投入する。結果的には、この采配が2大会連続の3位に導く要因になった。フェデリコ・キエーザが左WG、ニコロ・ザニオーロが右WGに入った。彼らはスピードとパワーがあり、単独でゴールに向かって突進していくことのできる推進力を持っている。イタリアは守りながらも2選手がサイドに張ることで、3バックの左右が攻め上がるオランダへ常にカウンターを突きつけることができるようになった。そして、その狙いがリードを1点差に縮められた74分に結実する。ブライアン・クリスタンテが自陣でボールを奪取すると、フラッテージがピッチ中央から左サイドの前方にスルーパスを流し入れる。これに反応したキエーザが快足を飛ばして左サイドをぶち抜いてPA左に進入し、左足でゴール右スミに流し込んだ。
この後もイタリアはオランダの猛攻を受けながらカウンターでチャンスを作り出す展開が続き、90分には再び1点を返された。アディショナルタイム9分が掲示されると、スタジアムがオランダの追い上げに熱狂してボルテージが上がったことで、両チームの勝利に対する貪欲さが触発される。一進一退の激しい攻防が繰り広げた末、イタリアが1点のリードを守り切ってタイムアップを迎えた。
守る時間が長く続いた中で崩れず、カウンターで得点を取ることのできる選手を投入して3点目を奪ったイタリアが2大会連続で3位に輝いた。