徳元悠平の加入がファジアーノ岡山にもたらすものとは

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 2020シーズンのファジアーノ岡山の補強第1号となったFC琉球から完全移籍で加入する徳元悠平。彼は一体どんな選手なのだろうか。


基本プロフィール

名前 徳元悠平(とくもと しゅうへい)
ポジション LSB
生年月日 1995年9月12日
出身 沖縄県糸満市
身長 170㎝
体重 69㎏


チームキャリア

ユース経歴
 三和FC
 糸満市立三和中学校
 沖縄県立那覇西高等学校
 城西国際大学
プロ経歴
 2018年 - FC琉球
 2020年-ファジアーノ岡山


徳元の加入によって広がる攻撃のバリエーション

 2019シーズン有馬賢二監督が就任、システムが3-4-3-1から4-4-2へ変わった。有馬監督はサイドバックに高い位置を取らせる指示を多く出していた。右のサイドバックは夏にFC琉球からDF増谷幸祐が期限付き移籍で加入、安定したビルドアップとタイミングの良いオーバーラップを武器に加入後は不動のレギュラーとなった。一方左サイドバックは、DF廣木雄磨や椋原健太の2人が起用されたが、あまりフィットしなかった。両選手の利き足が右であるということが深く関わっていると考える。
 前述したように、サイドバックが高い位置を取り、攻撃に絡んでいく役割を期待していた。しかし、左サイドでは高い位置でパスを受けてクロスを上げる、サイドハーフとのコンビネーションで相手陣内のサイドの深い位置を攻略するシーンがあまり見られなかった。たしかに、高い位置を取ることでセンターバックへのプレスを軽減することはできていた。ただ得点に対して効果的だったのかというと十分とは言えない。高い位置でパスを受けても利き足である右足でクロスを上げるために持ち替える、左足でクロスを上げることができないので後ろにボールを下げる、このようなプレーが散見された。今季は左サイドハーフで大ブレイクしたMF仲間隼斗のチャンスメイクにより、それほど露呈されていなかった。その仲間が不在だったリーグ終盤戦ではそれが露になった。そして仲間の退団が濃厚な来季、左サイドの攻撃を再構築するために必要なピースが左利きの左サイドバックだった。
 DF徳元悠平の加入によって前述した問題はかなり解決できると期待している。FC琉球はボールを握る攻撃的なポジションサッカーを展開。サイドの高い位置を取り、精度の高いクロスボールで得点をアシストしている。相手との1対1では縦に仕掛けるなど非常に攻撃性能が高い。
 徳元はサイドだけでプレーする選手ではない。マンチェスター・シティや横浜・F・マリノスのようにサイドバックが中央へ入り、パスを供給する、いわゆる”偽SB”をこなすことができる。琉球では、サイドハーフが大外に広がるとひとつ内側へポジションを移し、パスコースを新たに作る動きも見えた。仲間が抜けるかもしれない岡山の左サイドハーフは、現時点でサイドでのプレーが得意なMF三村真、斜めに視野を取りながらカットインするプレーが特徴的なMF武田拓真が務めることが濃厚だ。徳元は、コンビを組む左サイドハーフの選手のプレースタイルに適した役割をこなすことができる。
 徳元の加入によって停滞気味だった岡山の左サイドの攻撃を活性化させてくれるだろう。


琉球スタイルによって身に着けたビルドアップ力

 ファジアーノ岡山のビルドアップで、相手の前からのプレスをかわすプレーとしてサイドバックへのパスがある。そこから相手ゴールに向かって前進したい。右利きの左サイドバックで、ボールを右足で持つと、パスコースは後ろのセンターバックや横のボランチになることが多い。DFラインの裏のスペースに走り込むフォワードへのパスは角度的に難しくなる。しかし、左利きであることから視野を広く確保することができ、後ろと横の他に斜め前や前へのパスコースができる。また、タイミングによるがアーリークロスを選択できる場合も出てくる。よって、プレスを掻い潜ったと思ったら再び下げるパスを出して前に進まないという現象が減るのでないだろうか。プレスの出口になることを期待したい。
 


競合はロシア?!

 FC琉球から完全移籍でファジアーノ岡山に加入することが決まった徳元だったが、夏の移籍市場ではロシアリーグの1部であるアルセナル・トゥーラからオファーを受けているという報道が各メディアから飛び出していた。夏では移籍は実現しなかったわけだが、徳元への関心は引き続きあっただろう。海外クラブが獲得に乗り出した選手を岡山に連れてくることができたことは岡山にとって大きいのでないか。



終わりに

 岡山にとって待望の左利きの左サイドバックの加入によって現場と、フロントが良い関係を築いているのではないかと思う。明確な意図を感じられる今回の補強を実現させたクラブを称えた。そして、徳元というエッセンスが加わったファジアーノ岡山の2020シーズンのサッカーを今から楽しみで仕方ない。多くの選手の入れ替わりが起こるであろうオフシーズンはワクワクしながらクラブのリリースを待ち、熱い声援を送る準備をしておこうではないか。


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