”世界最高の探偵„映画『THE BATMAN』観ました
ついに今日が来ましたね! 映画バットマンの公開日! 久々のバットマン単独映画!
〇バットマンを知らなくても楽しめる映画
まず前提として、この映画は“アクション映画”として押し出されているわけではない、ということ。
次に“ミステリー、探偵映画”であること。
そして“ノワール映画”でもあること。
さらに今作は、”原点回帰のリメイク”作品であるので、今までのどの映画の続編でもありません。
またキャッチコピーでは「ジョーカーの衝撃は序章に過ぎなかった」と銘打たれていますが、映画ジョーカーとも無関係です。
見て感じたのは、予備知識がなくてもバットマンがどういう存在なのかがわかるということ。つい最近だとバットマンVSスーパーマンやジャスティスリーグなど、バットマンと他のヒーローが同じ世界観にいる作品が作られていましたが…。
今作は仕切り直しという感じというか今までの作品とは無関係で、いちからバットマンというヒーローを作り上げていく作りになっていました。
映画ジョーカーもそうでしたが、視覚的な意味でも精神的な描写の意味でも光と影のコントラストがとても美しかったです。
堅実な作りの映画。映画という芸術ってこういうものだよな、という印象を受けました。映画ジョーカーでも感じた”良い意味でアメコミ映画、アメコミを実写化した作品という意識を取り払って作られたのでは?„ と感じる作品。
原作初期の作風に関しては詳しくないのですが、原作初期の原点回帰バットマンを意識した映画としても素晴らしい映画なのではないでしょうか。
アメコミ原作映画という点を抜きにして、謎を追って行くミステリー要素だけ焦点に当てて観てもめちゃくちゃ面白い。
以下、ネタバレに触れるので注意。
〇今作のテーマは”ナゾナゾ”とノワール
公式サイトなどでも触れられているように、今作は”謎解き”が主要なストーリーになっている探偵映画となっています。
ミステリ系の作品だということを知っていたので、今作のストーリーがどのように展開されていくのかが非常に楽しみでした。
ですが、それと同時に謎を解き明かしていくことがメインならば、戦闘描写が物足りなくなるのでは? という不安もあったのですが…。
全くそんなことありませんでした。
むしろ謎解きとストーリーが密接に絡み合っていて、時間を忘れるほどに引き込まれていました。もう随所に無駄がない。あとクスッとくるジョークも随所にありました。
もともとバットマンは探偵作品だったと聞いたことがあるので、「では探偵作品としてバットマンが活躍するのならどうなるのか?」というものがこの映画に満足がいくほど詰め込まれていました。
さすが”世界最高の探偵„の肩書きを持つバットマンの映画。
ちなみにDCコミックスのDCは、”ディテクティブ・コミックス(刑事、探偵マンガ)”の略です。
警察の中に混じってるバットマンを実写でがっつり見るとちょっとシュールですね。ダークナイトでも警察官たちとの絡みはあったから、見慣れていないわけではないですが。
でもその浮いてる感じがとても良い…。
今作は、ダークナイトトリロジー以上にリアリティがあるように感じました。
端的に表すとノワール映画といったところでしょうか。
〇リドラーが不気味で怖い
今作のメインヴィランはリドラー。なぞなぞを得意とする知能犯です。彼がまた得たいが知れなくてすごく不気味なんですよね。知力で揺さぶりをかけてくるのが非常に恐ろしい。
DCコミックスのヴィランでここまでの恐怖を感じたのは、ダークナイトのジョーカー以来でした。
映画のPVでもわかるように、素顔が目しか見えないのに狂気的な目、イッテル奴の目が伝わってくる。
ガチの犯罪者やヴィランになりたいわけではないが、もしバーチャルYouTuberのようなことをやる日が来たらこういう形の劇場型悪役の作品作りや演技を架空の存在の設定(仮面)を通して演じてみたい。設定というタブーを逆手に取ったヴィランを演じたい。
前々から思っていた表現者としてのあり方がリドラーを通して明確化しました。
あとペンギンが実にペンギンって感じでとても良い…。がんばれペンギン。
〇迫力のアクション
今作でもガジェット(秘密兵器)を駆使した見ごたえのあるアクションが各所に入っていて、ストーリーにメリハリがついていて飽きが来なかったです。
バットスーツがとてもかっこいい。ダークナイトトリロジーのものともまた違う印象ですごくスタイリッシュ!
今作では、そういうふうに滑空するのか! すげー実現できそう! 今作のグラップルガンがこういう形式なのは映画だと初か珍しいのでは!? とか。予告にもあるようにバットモービルをこれでもかと見せてくれたり。バットモービルが昔の映画のような姿でありながら、スタイリッシュでクールな車という形状になってるのもまた良い…。
今作のバットマンは、今までにないくらい異様で異常で非情。そこまで殴るか…ってくらいに容赦がない。もはやブルースがバットマン(復讐の権化)という存在に飲み込まれているかのよう。
バットモービルでのシーンも異様で、こういうトラックに追われ続けるスリラー映画を午後ロードで見たなって…。
〇復讐者がヒーローになるお話
今作のバットマンは今までのように洗練されたものではなくなり、若く荒々しく粗削り。まだバットマンとしての自己を確立できていない復讐の権化を語る者という感じでした。
そしてブルース・ウェインも今までのようにCEOの仮面をかぶっておらず、過去の心の傷に囚われている陰の者といった感じ。その闇を感じる危うさがとても良い雰囲気を出しているんですよね。
そんなブルース・ウェインが今回の事件でバットマンという仮面を通して、最後の最後にいつの間にかヒーローに„成っていた”(もしくは他者を通してバットマンというアイデンティティに気づいた)のがとても良い…。
白日の下に立ち、救助をする姿なんてまさしくヒーロー。こういうバットマンは珍しいので、思わずグッときました。
ここからCEOのブルース・ウェインとして慈善活動に力を入れたり、復讐者ではなくダークヒーロー(ヴィジランテ)として活動していくのでしょう。
今こういう情勢だからこそ、いろいろ感じるものがありました。
〇曲がとても良い
もうシンプルに良い。ダークさがありながら心の傷と闇を感じる切なさ。しかしそれでいて何かを失っていないヒーローらしさを感じる曲…。
さすがマイケル・ジアッチーノさんが音楽を担当しているだけある。この方は、Mr.インクレディブルをはじめとするアニメ映画、そしてドクターストレンジやスパイダーマン:ホームカミングでおなじみのホームシリーズ、そしてジュラシックワールドの曲を担当しています。
そりゃよい曲ですわ…。サントラ購入しました。
〇DCコミックスで一番好きなヒーロー
私はDCコミックスの中でもバットマンが特に好きなので、久々の単独映画はとても嬉しかったです。
DCEU(マン・オブ・スティールをはじめとするバットマンVSスーパーマン)のバットマンも好きだったので、そちらの続編も見たかったと思っていたのですが…。
そんな思いは吹き飛びましたね。もちろんDCRUのバットマンもスーパーマンもワンダーウーマンもアクアマンもシャザムも好きですが…。
これからは、個々のヒーローを掘り下げていく作品と物語を丁寧に作り上げていってから合流させるという形のほうが良いんじゃないかと思いました。
MARVELのアベンジャーズが成功したのもそこにあると思うので。
ひとつ気になるのは、公式サイトなどで”ジョーカーの衝撃は序章に過ぎなかった”と銘打たれているところです。あくまでこれは宣伝文句に過ぎないのでしょうか。
キャスト的にもBvSのバットマンとは別人っぽいし…。
もしここからバットマンの世界観が再び作られていくのなら、さらに掘り下げられていくことを願っています。
いや~、心の底から満足にいく作品を見れてよかった~!!!!!
どんな人間も追い詰められると人が変わる