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「ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ(2024/10/11公開)字幕版」観ました


フォリアドゥ(folie a deux)は、フランス語で「二人狂い」を意味し、密接な関係にある2人の間に妄想が感染して共有される精神障害を指します。 映画「ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ」のタイトルにも使われており、妄想を持った人物と親密な健常者が過ごすことで、妄想が感染して共有される様子が描かれます。

グーグルAI解説による「フォリ・ア・ドゥ」の意味



〇前置き

 ジョーカー単独という衝撃作から5年。ついにこの時がやってまいりました。1作目放映後、観客が力なくうつむき誰もが立つ気力を失いどんよりした空気が流れていたことを今でも覚えています。


〇映画内容に触れつつ感想

 今回は特にアメコミ映画ということを念頭に置かずに観にいって正解でした。もちろん前回からどのような流れを汲んで今作が描かれるのか? とは思っていましたが、今作はありのままを体験しようというか何も考えずに見よう、という気持ちでした。
 映画としての芸術的な作品で光と闇、明暗の視覚的な効果がとても美しかったですね。今作も相変わらず映像美がすごい。映画ってこういうものなんだ! ということが素人目にも良く伝わってくる美しさです。

 前作とはまた違った鬱屈した空気、かと思えば儚げで自信なさげなアーサーの表情からコミックのダークナイトリターンズのジョーカーを思い出しました。しかしながら、前作の事件があったからこそ次第に堂々とした表情、雰囲気に変わっていく様が「ああ、あの時のジョーカーだ」という気持ちになるとともに映画の世界観に引き込まれていきました。
 ここからずっと画面にくぎ付けになり、固唾をのんで見守っていくことになります。

 そして物語が進むとジョーカーのジョーカーらしいショーは彼の心情を表していると次第に明らかになっていきました。
 冒頭の古き良きコメディアニメは、この世界で実際に放映されているものなのでしょうか。アニメと実写のショーで現実と空想を分けているのでしょうね。また冒頭にこのアニメを入れたことでジョーカーの影響力、アニメ作品が作られたほどの社会現象になっていることを示唆しているのかもしれません。

 刑務所での生活や弁護士との会話、そして裁判の様子からアーサー・フレックの内面に迫る構図が新鮮でおもしろかったです。前作の答え合わせの要素もありました。
 アーサーにとってのジョーカーとは? 前作の出来事はどういうものだったのか。どんどん核心、内面の真相に迫っていきます。

そしてこの世界においてのジョーカーとは?


 やっぱり刑務所も治安がよろしくないですね。そのえぐさが一作目の世知辛さを残しているのを感じました。胸糞よろしくない描写はそこかしこにありましたが終盤でそれが爆発しましたね。あれは心も折れるわ……。

 前作では悲劇こそ喜劇として描かれていましたね。しかし今作はどうでしょう? 私は喜劇に見えました。しかしその空気もだんだんと……。
 今作でなぜレディー・ガガさんが起用されたのかよくわかりました。まさかのミュージカル! まさかDC映画でミュージカルが見れるとは! しかも現実フィルターを通してミュージカルを見るとこう見えるんですね。
 ホアキン・フェニックスさんめちゃくちゃ美声! そしてその中に込められたしゃがれ声がめちゃくちゃアーサー感あって良い……。レディー・ガガさんとホアキン・フェニックスさんの歌声でカーペンターズのあの歌を聴けるとは……。マジで良ミュージカル……。あのしっとりした感じがとても良い……。ジョーカーの映画音楽ともとてもマッチしていました。

 この映画のハーレイ・クインやべぇ……。レディー・ガガさんが演じるハーレイ・クインの雰囲気も演技も全部良かった……。多作品のハーレイ・クインとはまた違ったヤバさがとても良かったです。


 ほんの少しだけちらっと映ってた若者がジョーカーの影響を受けるのか? と思っていたらやっぱりなるほどそういう、という作り。すごくそれっぽい顔つきのやつがいるなと思っていました。
 あくまで推測ですが、今作は後にバットマンの宿敵となるジョーカーのオリジンに繋がっていくのではと考えました。ますますこの世界のジョーカーとバットマンの対決を見てみたくなった。

 たしかに道中でヒヤヒヤした場面はありましたが……。しかしやはり最後そうなったか! と。

 全てを失ってしまったのがきつすぎる……。やはり普通の人間? 少なくとも根っからの異常者じゃなければジョーカーはなれないんだな、と。他者から受ける解釈違いって怖い……。

 前作の地獄のような鬱屈した空気を感じたのもあり、今作は映画と字幕とストーリーに見入っていてずっと心が凪の状態でしたが、最後の最後で虚無になりました。虚しすぎる。前作とは違うメンタルに持っていく話の手腕がすごかったですね。前作の答え合わせとしてもおもしろい映画でした。

 映像美、話の展開、オチ、曲、歌。全部良かったです! ジョーカーがどうとかそういう難しい話でもなく、難しい話が分からなくても映画としてのおもしろさを全体で感じました。

 前作はまだバットマンのジョーカーの映画という意識が頭にありましたが今作はもう終盤、アメコミのジョーカーの映画であることを忘れるくらいに惹きこまれていました。


〇買ったグッズ


パンフレットとグッズ

 今回買ったものはパンフレット、ジョーカーのクリアファイル、メタルキーホルダー、ミニファイルとポストカードセット(ダークナイト)です。ジョーカーのクリアアイルのイラストがめちゃくちゃかっこいい! ジョーカーの背のトランプとバットマンの影が良い……。

 ミニファイルとポストカードのセットは、ティム・バートン監督版、BvS版などで悩みに悩みダークナイト版のものを買いました。理由は、今作フォリ・ア・ドゥに向けて前作の映画ジョーカーは好きだけど、まだバットマンとジョーカーの関係性を知らなかったVtuber姫乃えこぴさんとアメコミに詳しいVtuberミラナ・ラヴィーナさんのダークナイトトリロジー同時視聴配信をつい一昨日見ていたからです。もちろんもともとダークナイトトリロジーが好きだったのもあります。

 異世界スーサイドスクワッドのグッズもあったら、ハーレイのグッズが欲しかったのですがさすがになかったです。ちなみに私が好きなハーレイ・クインは、自分の解釈と違うけど異世界スースクのハーレイです。


〇おわりに

 いったいどんな始まり方をするのか、いったいどのような物語が描かれるのか。ずっと楽しみで仕方なかったのですが、予想外の展開はあれど悪い意味で裏切られることはありませんでしたね。しかし、だいたいは想定の範囲内(いやまあ、そうなったらそうなるよなぁ)という感じでした。ですが、それでも裏切られた感じはしない映画という芸術のすごさを教えてもらい、それを堪能できました。

 レディー・ガガさんの「That's Life」がとても沁みる……。夢とは……憧憬とは……。やはり人は身の程というものが大事なんだな……。


これが人生……。



○追記


 この映画ジョーカーは、ジョーカーとは「バットマンあってのジョーカーである。ゆえにバットマンの起源であるブルースの両親殺害はジョーカー騒動からきている」という考えのもと作られているというポストを見ました。
 そこから「だからこの時代のジョーカーにハーレイクインという組み合わせなのか」と思い至りました。ゆえにバットマンとジョーカーとハーレイクインという三角関係にはなり得ないのでは、と。

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