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Config 2024現地参加レポート(デザインにおける人間とAIの関係性について)


こんにちは、コンセントのサービスデザイナーの岡村です。このnoteではこの夏アメリカで開催されたConfig 2024に現地参加してきた上で印象に残ったセッションや、現地参加の感想についてご紹介します。


Configとは

Configとは、デザインツールである「Figma」社が開催するグローバルカンファレンスです。Figmaの新機能が発表されたり、世界中のFigmaユーザーがスピーカーとして登壇し、Figmaの新機能やデザインのトレンドについてのセッションに参加することができます。2日間にわたるので、全部参加するとかなり疲弊します。ペース配分が大事です…!

写真:Configのタイムテーブル
タイムテーブル(4つのセッショントピックから選んで参加します)"
写真:Config会場の様子
世界中から多くのデザイナーが来場していました

本noteでは、現地参加した岡村が印象に残ったセッションと、現地参加ならではのメリットについてご紹介します。


印象に残ったセッション

Defining the relationship (between humans and AI)

(人間とAIの関係を定義する)

トークのまとめ
「New Computer」という会社が開発したAIアシスタント「Dot AI」を例に、人間とAIの関係性について説明されていました。

Dot AIの特徴としては、ChatGPTやPerplexityなど、会話型の生成AIとは違い、人間の会話と共感を模倣するように設計されており、より自然で感情的に魅力的な対話を実現することが大きな違いのようです。

Dot AIは、Jason YuanとSam Whitmoreによって設立された先進的なスタートアップNew Computerの産物です。元AppleのデザイナーであるJason Yuanは、ユーザー中心のデザインに関する豊富な経験を持っています。
一方で、ボストンのフィンテック企業Kenshoでエンジニアリング部門の責任者を務めていたSam Whitmoreは、チームに技術的な実力を加えています。

Dot AI – Your New Digital Companion

人間とAIはどのように関係性を構築するのか?
コーヒーショップでお客さんとバリスタが関係を構築するように、人間とAIの関係性も構築する必要があります。どのように構築するか、それにはコミュニケーションが必要だと述べられています。

人とAIの関係を人間の関係で例えた図
(Defining the relationship (between humans and AI)より)
AIが人間の境界線について聞くシーン
(Defining the relationship (between humans and AI)より)
  • Dot AIは基本的には境界線を超えたやり取りを行うことはありません(1)

  • ただ、状況によってその境界線を超えても良いか聞いてきます(2)

  • 人間はDot AIの申し入れに回答します(3)

境界線・コミュニケーション・これまでのやり取り
(Defining the relationship (between humans and AI)より)

境界線・コミュニケーション・これまでのやり取りはそれぞれが独立したものではなく、すべて 関係性で捉えることができる。それは人間同士が関係性を築くのと、全く変わらないものだということです。

気づき
仕事や日常生活で普段AIを使っているだけでなく、検索履歴を元にしたレコメンド(AmazonやGoogle検索など)機能が主流になってきました。Google Chromeのレコメンド機能は個人的にとても気に入っています。こうした時代背景を踏まえ、今後の体験設計をする上では人間とAIの関係性について考えることが必須になりそうです。サービスデザイナーとして、あくまで主体性はAIではなく人間にあることを前提とした体験設計をしていきたいと感じました。

セッションの中で特に印象的だった言葉を以下に残します。

What we enable in general is helping Humanity build a relationship with this new technology that is so new and scary but the agency is still with us as creators
(「我々が一般的に可能にしているのは、人類がこの新しく恐ろしい技術と関係を構築するのを助けることですが、創造者としての主体性はまだ私たちにあります。」)

Defining the relationship (between humans and AI)

From paper to pixels: why great ideas start on a napkin

(紙からピクセルへ:素晴らしいアイデアがナプキンから始まる理由)

トークのまとめ

  • スピーカーは、メモアプリNotionのデザイナー、デザインをする上で、デジタルもアナログも両方の良さを説明

  • Notionもアナログのスケッチから生まれたプロダクト(紙のスケッチの使いやすさと、柔軟性からインスパイアされた)

スケッチの例(アナログ)
(From paper to pixels: why great ideas start on a napkinより)
スケッチの例(デジタル)
(From paper to pixels: why great ideas start on a napkinより)
  • アナログとデジタル(Figma)を組み合わせるとどんないいことがあるか?
    ・文字認識機能のおかげで、アナログノート・デジタルノートを組み合わせ、2nd Brainを作ることができる
    →今後の文字検索機能のFIgmaのプラグインで、(ChatGPTのような)チャットbotに検索を依頼することができる
    →例えば、「XXXというアイデアをいつ思いついたか探してください」という問いかけをすれば、たとえ10年前からの膨大なアナログのメモからでも、該当するメモを探し出して答えてくれる!


Building a human future with robots

Jason Ballard氏(ICONのCEO兼共同創業者)は、Config 2024でICONの使命について説明されていました。ICONは、3DプリンティングとAIシステムを活用し、建設業界に革命を起こし、世界的な住宅危機に取り組む企業です。

世界的な住宅危機
Jason氏は、世界中で10億人以上が適切な住宅サービスを受けられていないと指摘し、この問題に取り組む必要性を感じていました。そのための方法として、巨大3Dプリンターを使用した高度な自動建設ロボットを開発しています。

巨大3Dプリンター(Phoenix プリンター)を使用してオースティンに住宅地を建設している様子
(Building a human future with robotsより)

AI 建築家
AI建築家は、自然な人間の入力から建築コンセプトを生成するAIツールで、
建築の歴史やデザイン言語に関する深い理解を持つとされています。
今年だけで10,000以上の新しい住宅デザインを生成していました。これは米国の全建築家の総生産量を上回る..!

「AIアーキテクト」ツールで人間の入力から建築コンセプトを生成
(Building a human future with robotsより)
3Dプリンティングハウスのカタログ
(Building a human future with robotsより)

未来のプロジェクト
Ballard氏は、3Dプリント技術とAIの進歩が住宅建設の未来を大きく変える可能性を示唆しつつ、人間中心のデザインと技術の調和の重要性を強調しています。

備考:
以下のサイトで3Dプリンティングハウスのカタログをみることができます。

気づき
3DプリンティングとAIの進歩が、世界的な住宅危機を解決し始めてきたことは素直に喜んでいいと感じました。技術により効率的かつスピーディーにデザイン、制作が可能になった今、デザイナーは人間の「価値観」を反映させたデザインを今後も追及していく必要があるのかもしれません。

セッションの中で特に印象的だった言葉を以下に残します。

Insist design is not the pretty thing you do at the end. your values are not the thing you get around to if you work it into the project we have to fight just as hard to hold beauty and our deepest values and highest inspirations.
(「デザインは最後に行う装飾的な作業ではありません。価値観はプロジェクトに余裕があれば取り入れるものではありません。美しさや私たちの最も深い価値観、そして最高のインスピレーションを守るために、同じくらい懸命に戦わなければなりません。」)

Building a human future with robots


人間とAIの関係はどうあるべきか

今回のConfig ではFigmaの新機能にAIに関する機能が紹介されていたり、セッションもAIとデザインに関するものが多い印象です。
人間とAIの関係にフォーカスを当てたものも多く、今後切っても切り離せなくなるトピックであろう「AIと人間がどう関わっていくか」について考えさせられる機会となりました。こうした流れの中で、サービスデザイナーやUXデザイナーはあくまで人間中心(AI中心ではない)のデザインする必要性を改めて感じざるを得ません。


その他現地参加することのメリット

Config Commons(前日イベント)

社員:Config Commonsの様子
Config commonsという前日祭のイベント

Configに現地参加することのメリットとしては、イベントそのものだけでなく、前日やイベント当日にもネットワーキングイベントが豊富に用意されていることです。世界中からデザイナーが参加しているため、アメリカにくるメリットの大きな一つだと思いました。
こうしたネットワーキングイベントに参加することで、Configのセッションを会話の切り口としてお互いの国のデザイナーとしての働き方や関心ごとについて議論したり、日本の市場やデザイントレンドを俯瞰してみることができました。




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