レッスンをデザインする。
「教えない、デザインする」と謳うからには、「教える」ということをもっと深く知るべきだと考え、去年からCourseraでTESOLコースを受講しています。
Coursera:世界196の大学・企業が提供するコースを受講できる、オンライン学習プラットフォーム。https://www.coursera.org/
TESOL:Teaching English to Speakers of Other Languagesの略語。英語を母語としない方に向けての教授法。
またこのTESOLカリキュラムにインストラクショナルデザイン(Instructional Design)が組まれていたことも受講を決めた理由です。インストラクショナルデザインとは直訳すると「教育設計」です。教育活動の効果、効率、魅力を高めるための手法を指します。今回はCourseraのTESOLコースで基本の型となっている学習デザインをご紹介したいと思います。
①Lesson Objectives
まずはレッスンの「目的」を設定します。ここで重要なのが、その目的が「観察」と「測定」ができること。先生が監視できず、生徒の理解度を図る物差しがないと目的は機能しません。またその目的が実生活で役立つものであり、時間をかけて学ぶ価値があるものでないといけません。
②Warm-up and Objective Discussion
本題に入る前の助走です。ジョークを言って場を盛り上げることも大切ですが、生徒が既に知っている知識を掘り出し、まだ知らない知識をあぶり出すのが狙いです。
ここでよく使われるテクニックがドライビングクエスチョン(Driving Question)です。選択肢を与えて選ばせるのではなく、生徒それぞれが状況に応じた最適解を捻り出しながら、モチベーション高くdrive=自走できるように仕向ける問いです。
③Instruct and mode
そのレッスンで必要とされている精度、意図、難易度を生徒に理解させるために、明確なModel(型)が必要になります。そのModelを使ってInstruct(指導)し、生徒のパフォーマンスの引き出します。ポイントは以下の二つ。
1、タイプの異なる2つ以上のModelを提示し、その両者の利点・欠点を理解させる→多角的な視点。
2、まず自由に課題を取り組ませた後に、別のモデルを提示する→創造性。
④Practice
Guided practice
大枠の説明だけですぐに課題に取り組ませるのではなく、まずその一部分を取り出して集中的に練習する方法。
Less guides practice
大枠だけを説明して、あえてすぐに課題に取り組ませる方法。先生はきっかけを投げて、生徒はそれを受けてとめて答えを出す練習。先生はその過程をしっかり見守ります。
Independent practice
一通りの指導を終えたあと、生徒がその理解度を示すための練習です。多くはエッセイなどの宿題を課し、それが評価対象として使われます。
⑤Assessment
Summative assessments
コースの最後でテスト、エッセイ、レポートなどの課題を課し、その習熟度を評価します。
Formative assessment
コース全体を通じて生徒がどのように知識を取得したか、その姿勢、成長過程も評価します。
このように大枠がデザインされており、その中でテクニックが細分化されています。何かを教え伝えることに情熱、誠意、雰囲気はもちろん大切ですが、理論とテクニックがあることで、どんな性格、能力、モチベーションの生徒でも、その人に合った手法を自覚的に選んで最適なレッスンを提供できます。
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