"Supernova" Turns Out to Be "Astar zkEVM"!
2023/9/13、シンガポールでおこなわれていた TOKEN2049 内で Astar Network の"Supernova"の発表がありました。一夜明けて、いろいろなご意見が飛び交っており、そしてすでに公式なドキュメントも整備されているなか、私はまた別の視点で本件について語りたいとおもいます。
かつて渡辺創太氏が過去 AMA等で話をされていた言葉からチョイスして独自に答え合わせをしてみます。
まずは発表の振り返り、概要から簡単に始めます。
Supernova は "Astar zkEVM" だった
発表された中身は「Astar zkEVM」でした。
ZKテクノロジー(ゼロ知識技術)とレイヤー2
ゼロ知識技術は取引内容自体を公開することなく、その”取引”が正当であることを証明することができる暗号学的手法の1つです。
このゼロ知識技術とレイヤー2ソリューションのロールアップを組み合わせることで、zkロールアップは信頼性を維持し、機密データを公開することなく証明を検証することでセキュリティを強化します。
アナウンス後のロードマップ
(アナウンス後)数日以内に、Astar zkEVM で起動するパートナーの公開を開始
テストネットは第 4 四半期(10月末まで)に稼働する予定
テストネットの結果に基づき、年内にメインネット公開予定
zkEVM関連のブロックチェーンはテストネット段階のプロジェクトが非常に多い様子(参考リンク)。
現段階で、上記のように歩むことができると、特に Polygon zK の中では早めにポジションを取れる可能性があります。
AMA から振り返る
渡辺創太氏が過去の AMA やインタビュー等で”Supernova”について語られていた一部について答え合わせを独自にしてみたいと思います。
「Astar 2.0 = ???」
発表前、下記のようにこれまでの Astar(1.0)とこれからのAstar(2.0)を表現していました。
今回の発表から、Astar 2.0 は「Polkadot Parachain」+「Ethereum Layer2」となったことがわかり、相互運用性のためのかけ橋(クロスチェーン機能)だけでなく、橋の向こう側のエコシステムへ広がる世界が具体的にみえてきたことになります。
「web3 の全体的なエコシステムのメインストリームに躍り出る」
web3 を代表するエコシステムというと、現時点 Ethereum でしょう。そして、Astar zkEVM がEthereum 上に展開されることでその広大なエコシステムを利用することができ、ビルダーやコミュニティの拡大、また Ethereum上のTier1プロジェクト(Uniswapなど、すでにQuickSwapはアナウンスがでています)との密接な連携をし、シナジーを生むことができるようになります。まさに、メインストリームに躍り出ることになるでしょう。
「日本の開発者や企業がブロックチェーンを選択する際にインパクトがある」
日本に限らないですが開発者においては、Astar Substrate、Astar zkEVM の両方があるため、選択が広がりより多くのツールを使って開発をするなど柔軟性を持てたことになります。
また、日本企業はとにかくコンサバティブなところがあります。”先行事例”がないところになかなか一歩踏み込めない、あるいは品質・信用・信頼がないものには手が出せない、とにかく安心・安全を求めセキュリティリスクは大方つぶしてから(石橋をたたきすぎる感)前に進むといった傾向が web3 の市場でも存在します。
そんな中、zkEVM のようなブロックチェーンの課題を解決し、企業の背中を押すようなソリューションを Astar が展開してきたのことには十分”インパクト”があることだと考えています。
発表後の所感
私はAstar Networkの技術とそのビジョンに魅了されたビジネスパーソンとして、少なからず"Supernova"がどのようなものになるかは予想していました。しかし、今回発表された内容は予想を超え、もっと web3 の未来を見透しつつ、そして現在の Astar のポジションも理解しつつの内容だったと感じています。
こうなってくると”応援”をしていく持続力は自分の信念とプロジェクトの構想・プロセスとのマッチングになってくるのかもしれません。
そして、今回のかつてライバル視していたもの同士がタッグを組む感じは私のような昭和生まれ「少年ジャンプ全盛期」で育った人間からすると、まるで漫画の世界がICTの世界で実現されたかのような、不思議な興奮さえ覚えた発表でした。(キン肉マンとテリーマン、ケンシロウとレイ、悟空とピッコロ、などなど・・・)
今後も、新しい世界をテクノロジーの変革と共に見せてもらえそうな予感がしますし、そのテクノロジーで日本や世界が変わっていく場面を見届けられることにワクワクしています。
今後もしっかりと応援していきたいと思います。
つたない文章を最後までお読みいただきありがとうございました。
おまけ「どうなるWASM?」の話
WASM(WebAssembly)の対応を売りにしていた Astar が zkEVM を展開するにあたって、どうなるWASM?と気にされている方もおられるかもしれません。その点について私の考えを記載してみます。
良い意味で Astar Network が WASM 推しであることもあって、Blockchain 視点でしかおそらく見えてないと疑問が深まる事があるかもしれません。
しかしながら、Blockchain(web3)だけで WASM が注目されているわけではないことを忘れてはなりません。
それを特にテクノロジーカットで伝えてみます。
WASM の特徴
2019 年の Web3 Summit にて、Gavin氏が「スマートコントラクトの未来です」と語っています。その特徴は「高性能」「柔軟性」「堅牢性」「ポータビリティ」ですが、これらは、なにもスマートコントラクトだけのために備わっているわけではありません。
WASM が生まれた背景
WASM は時代と共に進化してきたWebの表現を、もっと高速且つスムーズにするためできないかというモチベーションのもとに考え、開発されました。 しかし、Webブラウザの領域だけにとどまらず、ブラウザの外での活用にスケールしてきています。
ブラウザ外のWASMの利用
昨今、みなさんが利用しているITシステムのほとんどはOSS(オープンソースソフトウェア)でできていると言って過言ではありません。その中での基盤となる”Linux”そのカーネル(コア要素)や、クラウドインテグレーションの要でもある”コンテナ”や”オーケストレーション”でも活用が進んでいます。
広がる WASM の用途
実際、WASM は当初の Web development 以外の部分の用途を伸ばしてきています。一方、ブロックチェーン、スマートコントラクトの文脈での用途はその一部で、まだ全体の割合からすると決して多くはありません。
これは、今後伸びしろがまだあるといえます。
なぜそのような事が言えるかというと、WASM で使われている開発言語は「Rust」だからです。この Rust の注目度は年々高まってきているため(参考リンク)、今後も Rust で開発するエンジニアが増え、それが web2 領域だった場合でもシームレスに web3 への参入が可能となってくる未来が見えてくるでしょう。
もちろん、言語にはトレンドもあるため完全に読み切れないものではありますが、個人的には期待したいところです。