E資格試験の4分野の出題傾向とその勉強方法
E資格試験の出題範囲は、主に以下の4分野に分かれています。
数学
機械学習
深層学習
開発・運用環境
大まかな比率として数学が約10%、それ以外の3つが30%ずつ。合格基準は公式には発表されていませんが、巷では約70%がボーダーと言われています。
私が合格のために行った勉強法とその勉強法がどの程度効果があったか、それぞれ4つの分野にわけてまとめてみました。
応用数学
内容としては線形代数、確率・統計、情報理論など。学部1~2年生の授業で取り扱うレベルの初等的な大学数学が出題されます。
出題問題はかなりパターン化されているため問題集を解くだけでもそこそこの点数は取れてしまうかもしれませんが、できればその背景にある理論も含めて覚えておきたいです。
大学時代の授業の復習(おすすめ度:☆☆☆)
大学時代のノート等が残っていればこれだけで十分と思われます。
予想問題集を解く(おすすめ度:☆☆)
分からない場合は問題を解きなおすだけではなく、解説文を読みより包括的な理解をしたほうが良いでしょう。
機械学習&深層学習
E資格試験においてメインの出題分野となります。しっかりと理解し得点へとつなげましょう。
講座内容の復習(おすすめ度:☆☆)
不可欠ですが、これだけで合格するのは難しいと思います。
内容自体の難しさもあるのですが、講座を受けているだけではどういう内容が問われるかがわからないため、「勉強内容が身についているか」や「自分がいまどのレベルにいるか」がわからず、暗中模索状態になってしまう可能性が高いです。
予想問題集を解く(おすすめ度:☆☆☆)
自分の知識が不足している分野を知ることができ、効率的な勉強ができるようになります。またE資格試験でどのようなことが問われるかが解るようになるため、試験対策にもなります。
E資格試験は過去問が練習問題用の数問程度しか公開されていないため、予想問題集がほかの資格試験に比べて重要になります。
そのため私は機械学習および深層学習の勉強では講座+予想問題集の合わせ技で勉強していくことをおすすめします。
参考論文・書籍(おすすめ度:☆)
E資に合格することだけが目的ならば必須ではありません。ただし実務や開発で積極的に利用していくならば、参考文献を読み興味のある分野に対しての理解を深めていくことは重要になっていくと思われます。
開発・運用環境
2022年8月より、PyTorchまたはTensorFlowを利用した機械学習コードの実装が試験範囲に追加されました。
開発・運用環境分野もほかの問題と同じように選択形式で出題されます。
センター試験の英語長文のようにいくつか空白部分のあるコードが与えられ、その空白部分に入る内容を4択から選ぶ形式がほとんどでした。
逆に言えば試験中にコードを一から書くということはないため、講座で与えられたプログラムを一言一句覚える必要はありません。どちらかといえば、コード各行の意味をしっかりと理解して説明できるように勉強していきましょう。
また、Docker等の開発に利用されるプラットフォーム等の知識も問われたりします。そこまで難しい内容ではありませんでしたが開発未経験の方は触れておくだけでも得点がとりやすくなると思われます。
講座コードを動かしてみる(おすすめ度:☆☆)
講座で配布されたコードを動かすことで深層学習についての知識も深めることが可能です。ただしPytorchやTensorFlowで書かれたコードではないため、別途学習が必要でした。
自分でコードを作ってみる(おすすめ度:☆☆☆)
講座コードを自分の手で PytorchやTensorFlowに直してみる。各フレームワークの勉強と深層学習の勉強を兼ねることができるため効率良く学ぶことができます。
予想問題集について
予想問題集はスキルアップAIが出版しているものを購入しました。
リンク: 徹底攻略ディープラーニングE資格エンジニア問題集 第2版
ただし、上記の問題集第2版は2022年8月に追加された新しい試験範囲に対応していないため要注意。また2024年8月の試験にて出題範囲が再度変更されるため、第3版の出版を待つ方が良いかもしれません。
備考:E資格試験シラバスの改定
勉強の全体の流れ
2021年秋に講座を受講、2022年8月にE資格受験だったので、以下のような流れで勉強しました。
10月~1月:講座用のテキスト、問題を使って勉強
2月~6月:課題を解く、仕事が忙しい時期だったのであまり勉強できず
6月~8月:予想問題集を解く、勉強が足りないところを認識し、重点的に学習
出題範囲の追加があった「深層学習」は試験までに完遂するのは難しいと考え、6割得点目指しました。その代わりに他の応用数学、機械学習、開発運用でそれぞれ8割以上を目標としました。
実際のE資格試験では、機械学習で9割正答した以外はおおむね目標点数と同程度の点で合格することができました。
苦労した点
深層学習の勉強法のところで書いたように「勉強内容が身についているか」や「自分がいまどのレベルにいるか」が自分では判断しにくく、効率の悪い勉強法になってしまったと思います。
特に顕著だったのが先述の追加範囲の部分でした。
実際にテストを受けてみて、問題集第2版(2022年2月以前の範囲)がカバーしていたのは全体の60~70%ぐらいだったと思われます。
つまり30~40%は新規範囲で、自分の予想よりもかなり多く出題された印象でした。
これらの問題に対しては、勉強の段階で「こんな問題が出題されるかな?」や「ここは問題にしやすそう」など問題集の他分野から類推して、自分で問題を考えながらなんとか乗り越えました。