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悲劇の裏側 ~管理しきれないモノ~

男は区のコロナウイルスワクチン接種の担当部長だった。政府はワクチン接種を推し進めているが、ワクチンの供給が予定通りに進まない。そして、区民たちも当日のドタキャンやら、連絡なしの無断キャンセルやらで、モラルもへったくれもなかった。

目標が達成できないことで男は上司から責められ続ける日々だった。

去年までの仕事ではこんなストレスを感じることはなかったのに。

男はストレスのはけ口を求めた。むかし、小学生になる前くらいだったか、工場の裏庭で遊んでいるときに、無性に性器を露出したくなった。お日様のもとで性器をさらけ出すと、日頃の悩みから解放される感覚があった。

そうだ、あの頃の気持ちに戻ろう。

とはいえ、お日様のもとでヤルのは、年齢からしても社会的立場からしてもマズいことはわかっていた。深夜の公園しかない。そう思って、最寄り駅から少し離れた公園に向かった。人気はなかった。

ここなら大丈夫だろう。

男はズボンとパンツを脱いだ。本当は全裸がよかったが、それは見つかった瞬間にアウトだ。この格好なら、ワイシャツでなんとか隠すことができるだろう。

しかし、数分後、遠くからパトカーのサイレンが聞こえてきた。

男は公園のそばの団地内に逃げ込んだがすぐに警察に捕まってしまった。

取り調べには素直に応じた。

「公園内でズボンとパンツを脱いでいたことは間違いないです。スリルを感じたかったんです。」

取り調べた警官が言った。

「ワクチンを管理する立場の人間が、ワガチンを管理しきれないとは、なんとも情けない話だ。」

※報道をもとにしたフィクションです。

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