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緑の美作、歴史の石見銀山、癒しの城崎温泉、舟屋の伊根
コロナ禍の谷間だった2020年8月初めに、美作(みまさか)、鳥取、石見銀山(いわみぎんざん)と西に向かい、そこから城崎温泉、舟屋群の伊根(いね)と戻ってきた車中泊旅です。
1.何故この時期なのか
実は、コロナ非常事態宣言が最初に解除された2020年6月にも山陰地方を訪れています。
その時はコロナの影響もあって足跡の無い鳥取砂丘や、入館者が殆どいない足立美術館など通常なら考えられない体験をしました。
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でも開いてない施設もあり、お土産屋も閉まっていて、旅に来ているという感じは希薄でした。
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人が少ないと、大山もきれいに見える?
その想いがあって、その直ぐ2カ月後の8月に、暑くて一般的には車中泊が敬遠されるところ、どうしても再訪したいとの思いで山陰地方に再チャレンジすることにしました。
2.一日目と二日目の朝
そろそろ梅雨明けという7月30日に、その日の午後から出発し、中国自動車道を西に進み、初日は岡山県美作市(みまさかし)で車中泊しました。
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特に美作に関する知識もなく、単に走行距離に基づいて選んだだけなのに、行ってみたら美しい日本の原風景というか、青々とした田んぼと沢山の立派の農家の建物があって、期待していなかった分、美作の景色に大いに感動しました。
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真っ白なしっくい壁が印象的
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最初の農家も合わせて、家の構えの立派なのと、土蔵の壁がきれいなのが素晴らしいと思います。
ちょっと見、「宮崎 駿」の世界のようです。
立派な土蔵でも漆喰が剥がれて茶色い下地が見えている残念な例を田舎でよく見かけます。
この地の実情は分かりませんが、しっかり維持管理している姿勢は立派と思います。
3.二日目
植田正治写真美術館
二日目の早朝、もう一度美しい美作の農家を見て回り、そのあと前回入館できなかった植田正治写真美術館を目指しました。
先ずは美術館の作品紹介(ここをクリック)をご覧ください。
その中の「VISION」の作品なんか、意図して撮影した作品なのにわざとらしくなくモダンに見えるのがすごい、と思います。
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2階ホールの窓ガラスには山高帽がペインティングされていて、ここで植田正治風の写真を撮ってください、ということのようです。
この美術館を検索すると、その例が沢山アップされてます。
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のどかです。
石見銀山(いわみぎんざん)
ここは世界遺産に指定されているものの、認定直後の熱は多少冷めたか、というくらいの混みようでした。
最初に「石見銀山世界遺産センター」で銀山のことをちょっと勉強し、車で5分くらいの石見銀山公園に移動し、そこから「龍源寺間歩(りゅうげんじまぶ)」という坑道まで10分ほどレンタサイクルで移動して内部を見学するのが一般的なコースのようです。
今では山の中の田舎という感じですが、最盛期には世界の銀の1/3も産出していたそうで、想像もできないくらいの大規模鉱山だったようです。
藤原氏の栄華を偲んだ句「夏草や兵どもが夢の跡」の感じが、この石見銀山にも当てはまると思います。
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銀鉱石は岩と岩のすき間にあって、その狭いところを這うように採掘していたそうでその執念がすごいです。
石見銀山のもう一つの見どころは鉱夫たちの居住区(街並み地区)で、今は昭和を思わせるものの方が沢山残っていて、別の趣きがあります。
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特に3枚目は昔の映画を見ているようです。
更に、この昭和感とは別に、下のような内部をリノベした新しい取り組みも何ヶ所かで見ました。
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元湯温泉 泉薬湯
この古い町並みを歩き回って汗だくになったので、さっぱりするために車で10分程の「元湯温泉 泉薬湯」に日帰り入浴に行きました。
上の公式サイトでも、または別のサイトでも分かるように、とにかく浴槽の周りに湯の花がびっしりと付着して、いかにも効きそうな温泉です。
泉薬湯の古い看板の下が番台で、左が男湯、右が女湯、になってます。
お湯はとても暑くて、「ぬるい湯」でも42℃は超えてます。
お風呂のあと、石見銀山公園の駐車場に戻って車中泊の準備をしているところが下の写真です。
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この駐車場はとても静かというか、セミの声しか聞こえず車中泊には最高の場所でした。
公園のトイレも24時間使えました。
4.車中泊用の車について
ところで、上のような写真を始めて見る方は「どこで寝るの?」と思われたと思いますが、出発前の状態をちょっとお見せします。
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これはホンダN-VANという市販車(配送用や移動販売用の商用車)です。
その特徴(荷室が広くて天井も高く、カスタム化し易い構造)から水平に寝られるベッドと、机を作り付けることが可能で、そうすることでホテル並みとは言いませんが、体に優しい車中泊仕様になっています。
(前に車中泊に使っていたアウトバックが従来のお座敷スタイルだったのに対し、洋風スタイルにしたところが大きな改善ポイントです。)
一見、このように車中泊車にカスタム(改造)するのは大変そうですが、そんなことは無くて、車中泊仕様と普段使いの状態とを簡単にトランスフォームできるようにしています。
詳しくは上の記事をご覧ください。
5.三日目
大山(だいせん)
翌朝は帰路につくため、再び山陰自動車道に入って、途中で大山ナショナルパークセンター前の大駐車場向かいました。
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中国地方の最高峰だけあって、途中で頂上方向を見るとかなり急峻なのが分かります。
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晴れていれば右手に大山の頂上が見えるハズでした。
城崎温泉
山から下りて、次に山陰自動車道で城崎温泉を目指します。
上はGoogleMapで見た城崎温泉の街の様子です。
ここも今は外国人観光客でごった返していますが、当時はそれほどでもありませんでした。
七つの外湯の中で、駐車場近くにあった「まんだら湯」に行ってみました。
更衣室を掃除していた方が観光客を安心させるためか「温泉施設ではコロナの集団感染例はない。」と話してくれましたが、インフルエンザと同じようなウイルスと考えれば、この湿度の高いところだとそうかも知れないと思いました。
是非多くのデータで証明して欲しいものです。
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城崎温泉の外湯は源泉が共通なため、どこも効能は同じだそうです。
その代わりというか、建物の外観がそれぞれ違っていて面白いです。
この「まんだら湯」は神社風、近くの「鴻の湯(こうのゆ)」は下のように民芸調です。
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兵庫県立コウノトリの郷公園
このあと、城崎温泉の近くの「兵庫県立コウノトリの郷公園」に寄ってみました。
全体を覆う金網が無く、直接コウノトリを見られる珍しい施設です。
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金網が無くてもコウノトリが逃げ出さないのは、その環境ゆえなんでしょうか。
またエサを狙っているのか、周りには上のようにアオサギが何羽もいたのが印象的でした。
舟屋群の伊根
コウノトリの郷公園のあとは伊根に向かい、日暮れ前に到着しました。
地図で見ると「道の駅 舟屋の里伊根」の場所が舟屋群から離れているため、舟屋を見るには近くまで行かないとダメかと思っていたところ、実はその道の駅は高台にあって、その展望所からは眼下に舟屋群がきれいに見え、ちょっと感激ものでした。
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望遠でアップした写真では舟屋の構造まで見て取れ、ちょっとジオラマっぽいです。
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翌朝、道の駅から海岸まで下りる道があったので、下りて行って撮ったのが上の写真です。
写っているのが「海」ということを忘れさせるくらい波が無く、これが舟屋群が出来あがった理由だと実感しました。
このあと、日本海に沿って更に東に向い、三方五湖から南下、びわ湖西岸を進んで帰宅しました。
ここまで長い記事を読んで頂き、有難うございました。