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【参議院選挙】投票する時に考えてほしいこと

 今年、参議院選挙が行われる。既にネット上では何処に投票するかで熱く議論が行われている。日本国内でこれだけ政治や選挙に関心が向いているのは、本当に久しぶりではないだろうか。
 さて、これだけ熱く議論が行われているからこそ、『何処に投票しようか決められない』という声も多数聞かれる。与党の政治には極めて不満が出ている一方で、野党も極めて頼りないのが今の日本の政治である。『支持率:与党4割、支持政党なし4割以上』という数字が現状の悲惨さを物語っている。
 だからこそ、しっかりと選んで選挙に参加してほしい。何故なら『参院選は無茶ができる』からである。その説明も含めて、少し文章を書かせていただいた。国政選挙の投票先において、何かの参考になれば嬉しく思う。


1:『参院選では無茶ができる』の意味

 日本には、参議院と衆議院がある。人数や役割その他については割愛させていただくとして、ここで重要になる『衆議院の優越』について説明させていただく。

 参議院の任期は6年である。そして、参議院選挙では前期と後期に分けて選挙が行われる。この選挙だが、対象となる議員は前期か後期の片側のみである。つまり、一度参議院議員として決まったら必ず6年行えるのである。
 一方、衆議院は基本的に4年である。しかも、この任期が満了になる前に、内閣不信任案が可決して内閣ごと衆議院が解散したり(69条解散)、当時の総理大臣が解散すべきと判断して解散を決めたり(9条解散)すると、その任期は更に短くなる。そして、変わる時は一斉に変わる。半数などではなく一回で全て変える。
 その為、衆議院は参議院より強い権限がある。これを『衆議院の優越』と呼んでいる。

 注目すべきところはこの『衆議院の優越』である。

 優越権利がある為、参議院からの声は国会に対して比較的通り難いシステムとなっている。特に現状、衆議院で与党が2/3以上の議席を確保している為、理論上は何があっても与党の法案その他諸々を押し通せる状況となっている。この辺りについては、中学の公民で習っている筈なので割愛する。
 結論から言えば、国政には直接的に影響を与えられる割合としては、低いのだ。

 つまり、極めて極端な話になるが、「参議院選挙:全国規模の、盛大な、現政権に対する国民アンケート調査」とでも思ってしまえばいい。
 現政権に対して明確に【現政権を支持しますか:YES / NO】の選択肢を突きつけられる絶好の機会なのである。
 しかも、「この選挙で、万が一にも極めてぶっ飛んだ酷い政党が過半数どころか2/3の議席を確保しても、国が受けるダメージは最小限に抑えられる」上で、
 「この政策を続けるなら次の衆院選の結果は、参院選から更に進んだ状態になりますよ」と現政権に突きつけることができる。

 当然ながら、使わない手段はないだろう。

 だからこそ、正しく投票してほしい為に、これだけは考えてほしいことがある。


2:【白票は絶対厳禁】必ず候補者と政党を書いてほしい理由

 今回の選挙に向けて、『俺は何処も支持しないから、白票で投票するぜ!』と語っているツイートを何件も見かける。

 お願いだから絶対にこれだけはやめてほしい。
 何故ならば、【白票の時点で、厳密に言えば『貴方はほぼ投票していない』】ことになる。

 それを説明するに辺り、日本の選挙における投票から当選の流れを改めて説明しようと思う。

 先ずは、期日前投票である。各地の役所にて、投票日を待たずに投票が行える。「梃子でも動かないくらいに既に投票先を決めた」「投票日当日は仕事や遊びで日程が潰れている」人が、『投票を忘れないように』事前に済ませる。
 その際、理由なんて聞かれない。
仮に海外旅行だったとしても、何も言わず【用事があるので期日前に来ました】でいい。私は大体期日前に済ませるが、役所の人から期日前投票の理由なんて一度も聞かれたことがない。
 そして投票日当日。多くの会場で投票場が開かれ、多くの方々が投票を行う。そうして集まった票は、午後8時に締め切られて開票される。

 ここで先ず、総投票の中から『有効投票』の選別が行われる。 有効投票とは、「読める字であり、候補者や政党の名前が正しく書かれている」票のことである。これに当て嵌まらない票は、全て無効票となる。
 そうして選別が行われて、
・残った有効投票の数で候補者が当選する。
・政党票の割合に応じて比例代表の席数が決まり、候補者の惜敗率に応じて比例当選者が決まる。
・空席は1つも残されない。
 こうして、選挙は終わり、日本の国会議員が決まるのである。

 ここまで読んで理解していただけたと思うが、『白票は有効投票にはカウントされない』。つまり、事実上は『投票していないのとほぼ同じ』である。
 「おいふざけんな、ちゃんと投票してるだろうが」という話は尤もである。では何故、ほぼ投票していない扱いになるのかを、図も使って説明しようと思う。

 例えばの話だが、日本の政党が3つだけだったとする。各政党は「若者支援のA」「中高年中心のB」「高齢者保護のC」として対立している。
 そして今回の参院選にて、とある選挙区で各政党が1人ずつ候補者を出し、3人が選挙に立候補したとする。

 そして投票日である。例えば、投票の朝一番に、こんな7人が訪れたとしよう。

 年代も性別もほぼバラバラな彼等の投票が、例えばこんな結果だった。

 世代毎に分かれて、中々に白熱した選挙となっている。また、こんな一団も居た。

 さて、選挙の結果、この地域における投票はこうなった。
 有権者数:100人
 総投票数:  70票
有効投票数:  55票
   内訳:C候補者22票
     :B候補者17票
     :A候補者16票
 この結果、C候補者が当選した。また、比例当選はB候補者となった。

 この投開票の内容を、上から見てほしい。

 先ず、有権者は100人居た。
 その内、投票に訪れたのは70人である。『投票率はここをカウント』する。年代もカウントされる。
 そして、有効投票数は55票である。『実際に議員を決めるのは、ここの割合』である。

 「ほら、白票も投票率に含まれるんだ! 年代もカウントされるんだから無駄じゃない!!」と、思う人は思うだろう。
 だが、よく考えてほしい。『議員を決める投票には、白票はカウントされない』のである。では、彼等の白票はどのように扱われるか。単純である。『事実上は投票されてない』扱いとなる。言ってしまえば、『白票と、未投票は、同類である』

 加えて、それだけでは済まされない。

 投票率には年代もカウントされる。そして、投票用紙には「何十代の誰が何処に投票した」なんて書かれていない。
 全ては平均的に扱われる。つまり、あの白票集団もそうだが、今回投票に行かなかった人達も、選挙結果側から見るとこうなるのである。

 細かい計算をすれば多少の誤差はあれど、このように考えて間違いない。こうなると、高齢者ばかり見ている政党Cは「あっ、若者もうちに投票してる。これだけ不遇に扱われても平気なんだ」と、更に若者を緊縮させる政策を目指すだろう。これは、選挙に行かなかった人達と、白票を入れた人達の責任である。

 更に言えば、今回の例に使用した選挙結果において、AとCには6票しか差がない。
 仮にこの白票全てがAに投票されていたら、Aは当選していたのである。更に言えば、選挙に行ってない有権者がAに多数投票していたら、Aはあっさりと勝っているのである。
 日 本 の 投 票 率 は 大 体 4 0 % 台。つまり、半分以上が投票していない。

【もし仮に90%近くが投票に行くだけで、戦況は容易く全て引っ繰り返る】

 塵も積もれば山と成るのである。

 『期日前からでも投票できるので、必ず選挙に行く』『白票を入れてはいけない』ということが、よく分かっていただけたと思う。
 「じゃあ何処に入れるんだよ選べねぇよ!」という人達に、私が選挙で投票先を選ぶ基準を、参考の一つとして伝えたいと思う。


3:自分にとって『最もマシな政党』を選ぶなら、【絶対に受け入れられない方針】を1つ以上作るべし

 結論から言えば消去法である。

 但し、その消去法において、【この政策だけは絶対に無理】というものを少なくとも1つは掲げ、それは絶対に曲げないものとする。
 その上で【次にこれは嫌だ】【これも無理だ】と消去していけば、ある程度の政党を絞り込めるので、そこから好みで選べばいい

 例えば、私は【消費増税断固反対】を、最低限に掲げている。

 この法案を執行しようとしている自民党公明党は論外として、『そもそもこの消費増税の法案を提案し成立させたのは当時の民主党政権であり、同程度かそれ以上の責任が立憲民主党と社民党にもある』。私が常日頃から【自民公明が論外であると同時に、立憲と社民も論外である】と持論を述べているのは、これが理由である。

となると、ここに明確に反対しているれいわ新選組は第一候補として、凍結を検討している維新の会日本第一党も候補になるだろうし、そういえば国民民主は随分と様変わりしたので妥協ラインとして考えていいかもしれない。よし他の政党も見てみよう】

 こうして、基準で残った物から更に政策その他を眺めて、一番マシなところを選ぶのである。

【100%理想となる候補者なんて、絶対に存在しない】
 だから、
【100%拒絶する政策を基準に、最もマシな候補者を選ぶ】

是非とも、これを心掛けてほしい。


<イラスト利用:いらすとや様>

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