歯科は消費的なアプローチも投資的なアプローチできると感じた思考録
※歯科医療人向け記事です。歯科医療人からの観点で書いています。
一般の方は、歯科医療人はこんなこと考えて治療をすすめてるんだなって感じられて面白いかも。
ちきりん著の「マーケット感覚を身につけよう」を読んでいて考えたことの整理録。
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市場の入れ子構造を理解しよう、という内容の部分で思考が広がった。
概要としては、個人がお金を得た時、どのように金を動かすか、というところで2つの市場が分かれる。
A.消費市場
B.金融(貯蓄や投資)市場
そして、上位の市場のなかに個別市場がある。
A.消費市場 →車、アクセサリー、ゲーム、衣服
B.金融(貯蓄や投資)市場投資市場 → 普通預金、定期預金、投資信託、生命保険
それの細分化されたところのうち、どこにお金がいくか、というのが個人がどう金を動かすか、である。
金融(貯蓄や投資)市場内の個別市場は、その入れ子構造の上位レイヤーにアプローチするのがうまい。
定期預金の会社でも、生命保険会社でも、投資信託の会社でも、「老後に〇〇万円必要ですよ!」というところをまず喚起し、それから「では我社の生命保険へ」とか「では投資信託で老後の用意を」、という流れになる。
しかし消費市場内の個別市場はそんなことしていない。
もしアプローチするとすれば、
「死ぬときに〇〇万円も持って死ぬのに意味はありますか?金を使っていまの人生を楽しみましょう!」とか、
「いままで人生頑張ってきたんだから、かけがえのない残りの人生を最大限楽しむために〇〇を買ってみてはいかがですか?」とかだろうけど。
そういったことはしてないよね。なんだか不謹慎だし。
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さて、歯科の自費治療においてはその両方にアプローチできるな、と感じた。
消費市場はわかりやすい。
「より綺麗な白い前歯で素敵な笑顔へ!ホワイトニングいかが?」
とか、
「奥歯の銀歯を白い歯に変えて大きな口で笑えるように!」
とか。
「総入れ歯を金属にすれば、冷たさが感じられてビールが美味いですよ!」
とか。
単純にいまをもっと良くしましょう的な概念でいい。
金融(貯蓄や投資)市場がやや難しいかもしれないが、いける。
「インプラントをすることで、両隣の歯を削らずに済み、歯が長持ちします。自分の歯で一生食べるためにここで頑張っておく価値はあるとおもいますがいかがですか?」
とか、
「インプラント にして歯の支えを増やすことで、他の歯の負担が減らせます。10年後インプラントがだめになったとしても、他の歯が悪くなるのを10年防げたことになります!健康な将来のために投資しておきませんか?」
とか、
「セラミックスの歯は汚れがつきにくく、歯周病の原因になるプラークが残りにくいです。悪くなりにくい歯にしておくと将来的にも楽だと思いませんか?」
とか。
「自費で根管治療しておくことで、歯の寿命が圧倒的に伸びます。未来の健康を買うと思ってこちらを選択しておきませんか?」
とか。
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自費治療を提案する際のポイントは、提供する価値が消費的な要素、投資的な要素のどちらが大きいのかをきちんと意識しておくことかもしれない。
自費治療においては、消費的であり投資的であるという両方の要素をもつものも少なくない。
セラミックのかぶせものであれば、
消費:白くて綺麗、審美性
投資:プラークが残りにくくて悪くなりにくい
インプラントであれば、
消費:白いかぶせものが作れて綺麗 入れ歯より噛める
投資:他の歯が長持ちする なんでも噛める
みたいな感じ。
その患者さんがどちらの要素を強く求めているか、どちらの要素について自分がオススメしたいか、という観点で話をすると伝わる気がする。
めちゃくちゃ偏見入りまくりだけど、
インプラントをしそうな金持ちマダムには、入れ歯ってニオイもするし人前で外せないし、みたいなのを主に伝えればウケがいいかもしれないし、
インプラントをしそうな経営者っぽい人には、健康を維持して会社をつづけていくための投資と思えば安いものでは?、みたいに伝えたらいいかもしれない。
消費的、投資的な両方のアプローチができるなら、相手によって使い分けたらいいね。
おしまい。
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