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呪いは解けるだろうか

Creepy Nutsの新譜を聴いた。
怪談、心霊話、ホラーやオカルトが好きなRさんの世界観が、不気味だけど不思議とあたたかい音に乗って、あの世とこの世とか、死者と生者とか、悪霊とそれを祓う者とか、清濁が混ざり合う瞬間を描いてるように感じた。

1バース目は今を生きてる人間側目線で、得体の知れないものに関わっていく瞬間を見てる気がする。人間ではない「なにか」になるような、憑かれるということなのか、死んであの世にいくということなのか。
フックに出てくる「懐かしい暖かさ」は、今はもう会えない人との懐かしい記憶のことかとも思う。足元の花は極楽に咲く蓮の花なのか、天国と呼ばれる場所のお花畑なのか、そこへ辿りつくまでの道に咲く彼岸花なのか。

2バース目の方は死者や霊側の目線。あの世で気ままに暮らしてるようでなんだか楽しそうに見えるけど退屈なのか。
こちらのフックに出てくる「懐かしい暖かさ」は生きてる者がもつ、命の体温の暖かさなのかな。足元の花は、この世の道端に咲いてるどこにでもありそうな名も無い小さな野花のことに思えた。

    ***

ずっとずっと、自分の心の中の呪いと戦っている。

忘れたいのに忘れられない記憶。
頭の奥に刻まれた悲しい出来事。
言われた傷ついた言葉。
心の底から恨んで、憎んで、呪ったあの人。

忘れられたら良いのに忘れ方もわからなくなってもう何年も経つ。ふとした瞬間に思い出す度にいつになったら解放されるんだろうと思う。
これも一つの憑き物なのだとしたらいつか這い出て霧が晴れる瞬間が来るんだろうか。
素晴らしい人に出会えて、幸せだと思う瞬間も会えて、大好きな音楽にも出会えて、きっとこの先の未来も私次第で楽しく生きていける自信もあるのに、暗い暗いあの頃の私はいつまでも消えないで今もずっと泣いている。
早く助けてあげたい。

本当は愛された記憶を思い出したい。
全く無かったわけではないことも分かっているし知っている。
それでもあの瞬間の強烈な怒りと悲しみの中で未来永劫許さないと誓った呪いは、その通りのまま今も刻まれている。

オトノケを聴いて感じた死生観の中に、現在と過去とか、正の感情と負の感情とか、そういう個人的なものを重ねてしまう。どちらか一つだけが存在することはあり得ないし、きっと忌み嫌われて呪いたくて忘れたくても本当は大事にしたいのかもしれない。悲しいのならずっと悲しくても良いのかもしれない。何十年先までも思い出して泣いても良いのかもしれない。それも私ならば。

私もいつかあちらの世界へ行って、こちらの世界から誰かが思い出してくれる日が来るのかしら。
あの世へ行ったら、あの世がこの世になって、この世があの世になる。

ずっと大好きなメロディーやリズムが、ずっとあなたの中や私の中にも居着いて取り憑いていてほしい。

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