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関東アメフト 立教ー早稲田のエンディングについて

10月15日、アミノバイタルフィールドで行われた
関東学生アメフトの秋のリーグ戦、
立教大学ー早稲田大学戦でこんなことが起きました。

第4Qで、20ー14で早稲田がリード。

試合残り時間3:19秒、立教が自陣19ヤード地点から
最後のオフェンスシリーズを開始しました。
この時点で立教はタイムアウトを3つ残しています。

第1プレーはランで6ヤード前進。
自陣25ヤードから2ダウン4。
インバウンズでパス成功して、自陣41ヤード。

ファーストダウン獲得。

1ダウン10、ランプレーが右に流れて1ヤードゲイン。
キャリアはサイドラインを割ってアウトオブバウンズ。
この時点で残り2分。
審判のレディーフォープレーで時計は動き始めます。

ここで立教オフェンスに選手交代のミスがあって
タイムアウトを要求。残り時間1分42秒。

2ダウン9。QBスクランブルでノーゲイン。
インバウンズなので時計は進みます。

3ダウン9。パス失敗で、残り時間1分ちょうど。

自陣42ヤードからの4ダウン9。ギャンブル。
ここで二度目のタイムアウト。残りはひとつ。
インバウンズで16ヤードのパス成功、敵陣42ヤード。
残り時間2分をきっているので、
ファーストダウン獲得でいちど時計は止まりますが、
審判のレディーフォープレーで計時開始。

1ダウン10。4ヤードのパスが決まって、
敵陣42ヤード地点でキャリアはアウトオブバウンズ。
残り時間2分をきっているので、時計が止まります。
残り時間、43秒。次の計時開始はスナップから。

2ダウン6。

QBスクランブルで敵陣39ヤード。
インバウンズなので最後のタイムアウト。
残り時間は30秒。

3ダウン2。
QBスクランブルで敵陣36ヤード、
ファーストダウンを獲得し、すぐにアウトオブバウンズ。
残り時間は25秒。次の計時開始はスナップから。

1ダウン10。パス不成功。残り時間20秒。
2ダウン10。パス不成功。残り時間15秒。

ここからが問題のシーンです。
敵陣36ヤード地点、
3ダウンロングで絶体絶命のシチュエーション、
立教のエースQB#10の投げたパスを、
レシーバーが19ヤードあたりのサイドライン際でキャッチ。
タックルされながらそのままサイドラインの外に出ました。

ファーストダウンを獲得し、8秒を残して時計が止まりました。

私はこの試合を立教サイドの客席で観戦していたのですが、
このプレーは選手がアウトオブバウンズに出たと
観客席の(恐らく)全員も、立教ベンチも思っていました。

立教はタイムアウト使い切っていましたから、
この段階で時計を止める術は残っていません。
しかしアウトオブバウンズに出ているので、時計は止まっており、
8秒あれば1プレーはできます。

これは面白くなってきたと思いました。
なんと言ってもフットボールの最大の面白さは
接戦のラスト2ミニッツです。
この劇的な攻防を観た人はフットボールを大好きになるはずです。

関西でフットボールの人気が不動になったのも、
関学と京大のライバリーがあり、
毎年のように接戦が繰り広げられたからです。
3強時代以降も、関学、立命館、京大の間で劇的な接戦がありました。

関東はTop8方式になってから、
開幕戦から接戦が続いています。
劇的なゲームと本気のライバリーがなければ
競技の人気は出ませんが、条件は揃いつつあります。

関東のフットボール関係者は、競技の人気のためにも
ラスト2ミニッツで試合が決まるシーンを
もっと大切にしなければいけないし、
そういう状況が生まれやすいように工夫すべきです。

さて、ここで重要なファクターがあります。
実はフットボールの試合の計時に関して、
今シーズンからルール変更がありました。

これまではゲームクロックが止まるのは
パスが失敗した時と、ボールを持ったキャリアが
サイドラインの外に出た時(アウトオブバウンズ)、
それからファーストダウンをとったときでした。

ちなみに、ファーストダウンの場合は
チェーンクルーが移動するために一時的に時計が止まるだけなので、
ボールが次のスポットに置かれると
レディフォープレーがかかって時計が回り始めます。

それが今年からのルール変更で、
ファーストダウンの獲得では時計が止まらなくなったのです。
これはアメリカにおいて試合時間の短縮のための措置のようです。
が、とりあえず日本でも採用されました。

試合中、ファーストダウンを獲得しても、
これまでのように時計が止まりません。
しかし、例外があります。
前後半のラスト2分に入ってからあとは、
これまで通り、ファーストダウン獲得で時計が止まるのです。

ここで、先ほどの試合の流れに戻りましょう。
立教は敵陣19ヤード地点にパスを通し、ファーストダウンを獲得。
レシーバーはキャッチの後、
早稲田のディフェンダーにタックルを受けながら、
サイドラインの外に転げました。

立教サイドの人間は(私も含め)、アウトオブバウンズに出たと思いました。RTVの中継の解説の輿亮さんも一度は「アウトオブバウンズ」と言いました。実際、時計も止まっています。

アウトオブバウンズなら次の計時開始はスナップからになるので、
立教オフェンスはここで落ち着いてしっかりハドルを組んでいました。

いい感じ。これこそフットボールの醍醐味だ!と思って
ふと見ると、なんとゲームクロックが動いているじゃないですか。
しかも立教の試合メンバーもベンチも、誰も気づきません。

にわかに客席がうるさくなりました。
「おいおい!ゲームクロックが動いてるぞ!」と。
誤って動いてしまっているのだと思ったのです。

やがて試合時間は0になりました。

立教サイドの観客席は大騒ぎです。

審判が協議を始めました。だいぶ長く話し合ったあと、
試合の残り時間が1秒に修正され、
あと1プレーだけできることになりました。
審判から、詳細の説明はあったようですが、
立教側の観客席には聞こえませんでした。

そして、この1秒から放ったヘイルメリーパスが決まってタッチダウン!
キックも決まって20-21で立教が大逆転勝利をもぎ取ったのです。

しかし、この件はその後、物議を醸したようで、
関東学連から経緯の説明が発表されました。

https://www.kcfa.jp/information/detail/id=7791

簡単に言うと、こういうことです。
あのパスはインバウンズだった。審判も3人はそれを理解していた。
中継の画像を見てみると、確かにインバウンズのようです。

レシーバーの右膝がインバウンズでダウンしています。

しかし1人の審判はアウトオブバウンズだと思っていた。

レディフォープレーから時計が回ったが、
アウトオブバウンズだと思っていた審判の1人が、
慌ててホイッスルを吹き、レフリータイムアウトをとった。
そのとき彼が目視した状態で1秒残っていた。

本来、そのホイッスルはミスであるが、
ミスであっても審判が笛を吹いたことは生きるため、
残り1秒からの試合再開となった。

で、逆転勝利。

学連は審判の判断ミスに対して抗議しているようですが、
私としてはちがう感想を持っています。

あの状況で、立教がスパイクをしてクロックを止めなかったのは
完全に勘違いをしているということです。
そのまま時計がゼロになって試合が終了していたら、
恐らくもっと大きな問題になったのではないでしょうか。

それは、ややこしいルール変更のあった年に、
あのパスがインバウンズであることを
ちゃんと立教側に周知させなかったというミスで、です。

インバウンズであることがわかっていれば、
立教サイドはボールをスパイクして時計を止めたはずで、
あのままいけば早稲田が勝っていた、という結論は
ちょっと違和感があるわけです。

審判のミスを指摘するのであれば、
直前のサイドライン際でのパス成功は本当にインバウンズだったのか、
ということがあると思いますし、
(私が見る限り、ライン上で膝をついている)

ラストのプレーも早稲田が止めれば何も問題がなかったわけで・・・
それよりも、その緊迫した状況で、
「勘違い」で試合が尻切れトンボに終わってしまったら、
関東のフットボール人気はよけいに衰退したと思うんですね。

盛り下がりますから。

そう考えたら、あのラストの劇的なシーンは、
それはそれで勝負の1シーンということでいいのだと
私は思います。

それより、次回からは、あのような状況下では
審判の判定をしっかり両チームに把握させる必要があると思います。
ルールを変更した年ですからね。

・・・ということで、
関東リーグは圧倒的なチームがいないながら、
面白い終盤戦に入ってきましたね。

明日以降が楽しみです。

早稲田の皆さん、気落ちせず、全力で頑張ってください。

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