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自民党とはなにかが、不意に見えた瞬間
先日、BSで放送された番組で、
立憲民主党の幹事長である小川淳也氏と
自民党の政務調査会長代理の井上信治氏が、
企業献金の禁止について話していました。
そこから、自民党とはいったいなんなのかが
ふいにわかった気がしました。
議論の内容はこんなものでした。
立憲民主党・小川さんの意見では、
企業は一票を持っておらず、民主主義の主権者ではない。
その企業から、自民党は25億円の企業献金を得ている。
旗を振っているのは経団連であり、
この巨額なお金を受け取っている以上、
政治や政策が捻じ曲げられない方がおかしい、と。
対して自民党の井上さんは、こんな意見でした。
確かに自民党は企業献金を受け取っているが、
企業にも政治参加の自由がある。
それに、そのお金によって政策が捻じ曲げられるようなことがあれば
それはマズイことだが、そのようなことはない。
そもそも政党はそれぞれに支持母体があって、
立憲も連合(企業の労働組合をとりまとめる組織)から
お金をもらっているし、共産党は機関紙を売ってお金を得ている。
同じことではないか。
ちなみに立憲民主党の団体献金からの収入は79万円だそうです。
※
このような議論の中で、私はある大きなことに気づいたのです。
私自身の考えは小川さんの考えと似ていて、
とにかくお金の力に物を言わせて政治に影響力を与えるのは
フェアではないということです。
しかし、自民党・井上さんの意見は真っ向からちがう。
どうしてなのか。
私の意見では、巨額のお金を受け取っている以上、
支援者の意見にそむくことはできないわけで、
当然、政策は捻じ曲げられるでしょう。
しかしですね、もし、自民党と企業の、
それぞれが「やりたい」と思っていることが同じだったら、
どうでしょうか?
捻じ曲げられるという発想は、
企業が望む政策と、自民党自らが
この国のためになすべきと思う政策に
乖離がある場合の発想です。
しかし、両者が合致しているならば、
そこに「捻じ曲がる」という発想はないはずですね。
自民党は、お金の力で政策を変えたりしていない。
それが自民党そのものなのであって、
自民党は支持母体である企業とともに
政策を前に進めているだけなのです。
労組を支持母体に持つ立憲と国民民主では、
原発に対する考え方がまったくちがいますが、
それは彼らの支持している労組の中に
エネルギー関連企業が入っているかどうか「だけ」で決まっています。
そこにいつも隔たりがあるのは、それが理由です。
そんなふうに、政党というのは支持母体の要望をそのまま
党そのものの要望にしているわけで、
自民党のそれは企業、もっと言えば経営層なのであって、
だからこそ、派遣法を改定し、
ここまで労働者の市場価値を落とすことを断行してきたわけです。
そういう意味で、自民党の井上氏はまったく嘘をいっていない。
大阪以外の場所に住む反維新の考えの人は、
大阪の人が、仕方なくイヤイヤ維新に投票していると
決めつける傾向があります。
彼らは自分のモノサシを他人に当てはめてしまっている段階で
大いに解釈を間違えているわけですが、
大阪の人々は本気で維新を「いい!」と思って投票しているわけです。
それと同じことで、
自民党は本気で企業の思い通りの日本をつくりたいと思っている。
だからそれを積極的に行なっているし、
そのために必要な資金を企業からの献金で得ている。
まさに企業(経営層)と自民党はウィン・ウィンの関係なのです。
※
しかし、もっともっと深く考えていくと、
もしかすると自民党の支持母体は企業でもないのかも知れないですね。
自民党の人々さえもが気づいていないかも知れませんが、
自民党の支持母体は、もしかしたら「お金そのもの」なのかも知れません。
今はお金と企業が分かち難く同一的に存在しているので、
企業が支持母体に見えますが・・・。
お金が強い力を持つ社会こそが、自民党が目指す社会像なのかも知れない。
だから彼らは決してお金によって捻じ曲げられたりしない。
だって自民党は、お金そのものの政党だからです。
今回の裏金騒動で明らかになったことは、
自民党の人々の、お金に関する感覚が明らかにおかしいということです。
他党を圧倒する25億円もの資金を企業から得ていながら、
それがアンフェアだとは感じない感覚。
彼らは我々庶民とは異なる方法で、
お金というものを割り切って解釈しているのでしょう。
だから、選挙のときなどに
黒々としたお金が見えないところで蠢いていることに関して、
ある程度、当たり前だと思っている。
そうでなければ、今回の選挙中に明らかになった
2000万円騒動など、起きるはずもないでしょう。
その感覚は、明らかに狂ってしまっているのだと思います。
そして彼らに、お金に関する自浄作用はないということでしょう。
自浄作用とは、課題意識を持てた場合に限って存在できるものであって、
そこに課題たる意識がない以上、
自浄作用など起こりうるはずがないのです。
※
自民党はお金の党。
お金を支持母体にした、お金の力を最大化する、お金のための政党。
そういうことなのだと思います。
だから、お金以外のものが価値を持ったり、
力を持つことを嫌うのでしょう。
それは人の心だったり、つながりだったりかも知れませんが、
そういうものの力がない世界がいい。
(一部、ホンモノの保守の人はそこを重視しますが、少数派です)
なんでも金で買える世の中、
金で買うしかない世の中にしてしまえば、
お金の持つ力は最大になります。
もちろん、戦後の復興期からバブルあたりまでの日本なら、
それでも良かったし、むしろ正しかったのでしょう。
しかし彼らの感覚は、
気候変動や人口減少などの未曾有の危機が眼前に迫る中、
あまりにも現実と乖離してしまっている気がします。
彼ら自身がそのことに気づかない限り、
日本の持続可能性はどんどん失われていくでしょう。
さてさて、どうなることやら。
なかなか面白い社会実験です。