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小川淳也はなぜ対話するのか。『しあわせ持続可能社会のつくり方』

最近、様々なことを考えます。
様々な発見があり、学びがあるので、追々、
noteでも書き残して行きたいと思っていますが、
今日はその「総論」について、思い連ねていることを吐き出してみます。

ウクライナでは、連日、凄惨な出来事が起きているようです。
私は現地に行ったわけではなく、情報もどれが正しいのかわからない。
対立をする二つの立場に立つそれぞれは、
自分の意見こそが正しいという主張を持っているはずです。

良し悪しの問題ではなく、ロシアにも、ウクライナにも、
それぞれに言い分があります。

その言い分の適切さと、
そこに起因して起こすアクションの適切さはまったく別のことです。
ただひとつ確かなことは、戦闘状態の時間が1秒でも長引けば、
それだけ犠牲が増えるということです。
犠牲はウクライナだけではありません。攻撃するロシアもそうですし、
そういう状況を共有しているこの地球上の人類全体が
犠牲を出しているという認識に立つべきだと思います。

そのような環境の中で、いかにして停戦に結びつけていくのか。
その方法は、たったひとつしかありません。
「対話」です。
対話というのは、双方の言い分を聞いた上で、
どちらが正しいかということを判断するのではなく、
「互いに対立した感情を持つことを理解した上で、どうするのか」を
対立している者同士が一緒に考えていく、という行為です。

ですから、感情と意見を切り離し、
「賛同はしないが、理解はできる」とか
「あなたの立場になれば、気持ちはわかる」という部分まで相互理解し、
そこをスタートラインにして合意できる落とし所を
一緒に探していくという知的なスキルだと言えます。

戦争状態にある二国がこのような冷静な心の状態で
同じテーブルにつくというのは非常に困難なことですが、
それでもそれをやるしかないのです。

だって、どちらかが他方を絶滅させるまで戦うということはできないし、
もしそんなことをしたのであれば、
その戦争が終わったあと、その民族は国際社会の中で
協調して生きていくことはでできないでしょう。許されないという意味で。

どちらにしても戦争の末路は「おしまい」しかないということです。
戦争をやめるしかない。そのためには対話するしかないのです。
対話するにあたっての最大の難関は、人の「心」です。

猜疑心や、「気が済まない」という感情ですね。

そんな小さな子どもも持っているパーソナルな感情が、
世界大戦のような大きな出来事でさえも、その原因なのだと
私は思っています。

人と人の対話、人と人の相互理解を邪魔する
人類最大の敵が「人の感情」なのです。

実は、人類が原因となって引き起こされているすべての課題は、
人間の心・感情がその原因であるといって差し支えないと思っています。

そうなると、対話することでしか、それらの課題も解決できないんですね。

対話というスキルを身につけるには、
ひとつ重要なポイントがあります。

それは、自分の意見、信じる正解に対して、
「必ずしもそうではないかも知れない」という
視座の高さを持つことです。

「正しさ」とか「正義」というのは、絶対的なように見えて、
実はまったく主観的な概念でしかないので、
そこに気づかずに振り回すと、とても危険なアイテムなのですよね。

自分にとっての正しさが、他の立場の人にとっても正しいとは限らない。
あるいは、そう思ってもらえるとは限らない。
だからこそ、なぜそれが正しいと思うのか、という意識のちがいを
相互に理解することで、自分を含めた互いを発見していく、
という工程が必要になるわけです。

それは一種の「気づき」なのであって、
気づくことは対象に対して興味や関心を持つ力を刺激します。

人の生命力というか、活き活きと生きる活力源は、
私は「興味・関心を持つこと」だと思っているのですが、
(これを失うと人間は気力を失います)
そういうものの入り口になるのが「気づく」ということなんですね。

他者とのちがいに気づく。そしてそこに関心を持つ。
互いにそれができるようになることが、
対話のスキルを手にいれた人類の次の精神ステージです。
それができたから、ネルソン・マンデラ氏は
アパルトヘイトを終わらせられたのでしょう。

逆に言えば、それなしには
山積する人類の課題を解決することは不可能でしょう。

昨日、4月10日、立憲民主党の小川淳也さんは、
長崎県で青空対話集会を開きました。

その中でもお話しされていましたが、
例えばジェンダーの件について。

それまで、自分には女性差別に対する加害性の認識がなかったと。
それに気づいたときから、世の中の見え方が変わるわけですよね。

その「心の変容」が起きたのは、
ある女性との対話がきっかけだったと、紹介されていました。

気づくことと対話は密接につながっています。
気づくから対話できるし、対話するから、気づいていく。
相互理解のループができあがれば、少なくとも個人の心の中では
事態は一気に解決方向に向けて前進することができるでしょう。

すべての課題は社会の相対的な関係から生まれていますから、
どちらか一方だけが姿勢を見せることが対話ではありません。
双方が、「なぜ相互理解ができないのか」という問題に興味・関心を持ち、
一緒に発見の喜びを共有することなのです。

そのスタートラインは「必ずしもそうとは限らない」という言葉を
いつも自分に投げかける姿勢です。

一見敵に見えるあの人は、必ずしも敵とは限らないかも知れない。
一見意地悪に見えるあの人も、必ずしも意地悪ではないかも知れない。

もしそう考えることが難しいときは、
おそらく「そう信じてちがった場合は、損をしてしまう」という
損得勘定が原因だと考えられます。

しかし、是非わかって欲しいのは、人間の感情・意識というものは
動くということなんですね。どんなときもずっと同じではないのです。

意地悪な思考をすることが多い人の中にも、
優しい感情は残されています。逆の場合もしかり。

なので、いかに相手の善性を引き出すかということが重要なのであって、
そのときに必要なのが、「まず自分から先に信じる」という態度なのです。

もちろん、勇気がいります。
勇気がないと、人は猜疑心のトラップから抜け出せなくなります。
信じることを「お花畑」と笑う人もいますが、
そのような態度はおそらく人間へのあきらめが原因だと思っています。

そして、その感情は、実は多くの人が共有しています。
勇気を持って胸をひらけば、「実は私もそうだった」と
「本当は人を信じたかった」と語りだすのではないでしょうか。

小川淳也さんが「対話」を呼びかけるのは、そんな意思だと思います。
ご本人から聞いたわけではありません。
でも、そうだと私は直感します。

そして私はそう信じます。
なぜなら、それでしか、人類がこれからも持続可能であることが
不可能だと思うからなのです。

この持続「不」可能社会は、他でもない人類自身がつくりだしたものです。
人類のエゴと猜疑心がつくりだしたものです。

本当に持続可能な社会をつくるには、私たち自身が、
人類の「心・感情」という壁を乗り越えていかなければなりません。
そんな想いで、このたび、本を一冊書くことにしました。
本日4月11日より、発売です。(アマゾンのみの販売になります)

もし良かったら、お手にとってみてください。

『しあわせ持続可能社会のつくり方 ~世界を救う、対話術~』
(デザインエッグ社)

目次
はじめに

第1章 なぜ今、対話なのか/社会課題を本質的に解釈する
1-1 もはや人類には対立している時間はない。
1-2 社会は今、課題に包囲されている。
1-3 不安は人類自身がつくりだしているもの。
1-4 課題の正体は、人間の心。
1-5 自分とはちがう存在への違和感。
1-6 デジタルがさらに心を追い詰める。
1-7 「わかっちゃいるけど、できない」症候群
1-8 多様性とは、夢のような社会ではない。
1-9 対立とは、お金が生んだ思い込み。
1-10 自然界は弱肉強食なんかじゃない。
1-11 課題の解決と先送りをまちがえないこと。
1-12 分断の先に解決はない。
1-13 相互理解が奇跡を起こす。
1-14 正解なき社会をくぐり抜ける「インターブレイン」

第2章 対話とは何か/スキルとしての人間理解術
2-1 対話とディベート、ディスカッションのちがい。
2-2 人はみな、ちがう言語でしゃべっている。
2-3 相手とベクトルを揃える。
2-4 論破は不要、むしろマイナスである。
2-5 結論を急がず、面倒を引きうける。
2-6 唯一の結論や答えは存在しない。
2-7 反対意見の重要性を理解する。
2-8 対話とは「聴く」こと。

第3章 対話の準備/思い込みを新しいモノサシで上書きする
3-1 まず、自分を知る。
3-2 感情と意見を分ける。
3-3 対話を避ける心の作用を知る。
3-4 唯一の答えがあるという思い込みを捨てる。
3-5 不都合と向き合い、現実を受け入れる強さを持つ。
3-6 「わかりやすさ」から卒業する。
3-7 二元論の誘惑に負けず、粘り強く待つ。
3-8 いろいろな意見があることを認める。
3-9 リスク低減の意味からも、視点は多いほどいい。
3-10 反対意見の存在に感謝する。
3-11 誰かのせいじゃない、みんなのせいだ。

第4章 対話してみる/実践から学ぶ「できる」対話術
4-1 線の引き方で対立軸を無効化する。
4-2 課題解決という共通目的の仲間になる。
4-3 意見の分岐点を相手と一緒に探る。
4-4 なぜなのか? を共有し、互いに関心を寄せる。
4-5 「気が済まない」の病理。
4-6 一緒に知の冒険を楽しむ。
4-7 結論を出さないというテクニック。
4-8 さぁ、対話を始めよう。

第5章 対話をつづける/持続可能社会へのしあわせな変革
5-1 人類は分断をやめ、共生を目指すしかない。
5-2 我々は気候危機に立ち向かうチームである。
5-3 誰ひとり、取り残さない、という決意。
5-4 不幸な人はひとりでも少なく、幸せな人はひとりでも多く。
5-5 まず、自分から変わろう。そうすれば相手も変わる。
5-6 世の中は、必ず変えられる。ただし本気なら。

おわりに ~家庭の対話が人類の未来を変える~

https://www.amazon.co.jp/dp/4815032467/ref=cm_sw_r_cp_api_i_XRJSK9A6K3VH1WPQJYDG

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