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【アニメ記録】あばよ、だなんて言わないで

  Amazon Prime Video でアニメ「天元突破グレンラガン」を観ている。いつの間にか見放題対象に追加されていて、正直めちゃめちゃ吃驚した。本当にそんな、え、無料で観ちゃっていいんですか……?こんな神アニメを……?

 「天元突破グレンラガン」は激熱胸熱ロボットアニメである。地中で暮らしていた青年カミナと少年シモンが、人間の頭部みたいな形状の機動兵器「ガンメン」に乗って地上に飛び出し、同じく「ガンメン」に乗る敵「獣人」を倒すべく旅に出る。度重なる戦闘を通して、また人との出会いを通して、カミナとシモンは広い世界を知り、運命を変えたいと藻掻く。原作の言葉を引用すると、これは運命に抗い続ける男の物語である。
 高倉のロボットアニメ好きの端は此処だ。大学生時代に放映されていたアニメ「キルラキル」に胸を打たれ(これもまた無茶苦茶激熱作品で、是非にみんなみてほしい。ロボットこそ出てこないがロボットみたいな人間はいます)Twitterで喚き散らしていたところ信頼できるフォロワーに「キルラキルが好きなら多分これも好きだよ」と教えてもらって一気見したのが、「天元突破グレンラガン」だった。「キルラキル」と「天元突破グレンラガン」は同じ監督、同じ脚本作家の作品らしい。成程、道理で画風も作風も似ている。
 当時は配信サービスなどという便利なものは無かったので、近所のTSUTAYAでDVDを借りた。無計画にも全編まとめて借りてきてしまって、一週間で観きれるか不安だった。まさか、借りてきたその日の夜に観始めたら止まらなくなって徹夜で完走する羽目になるなんて思いもしなかった。

 「天元突破グレンラガン」の何が楽しいって、全部が模範解答的に勢いよくかっこいい!!かっこよければそれでいいだろうが!と作品の全てが叫んでいて、かっこよさ以外の何もかもがどうでもよくなってしまう。

 コンテンツは人の憧れを映す。ロボットアニメやヒーローアニメが廃れないのは、その手のコンテンツの中にある「かっこいい」への憧れが絶えないからだ。歌舞伎の見得のような名乗り、ぎらぎらに輝くモビルスーツ、浪漫が詰まった変身シーン、爆発を背景に決めポーズ、必ず勝つ正義。そういうものがみんな好き。しかし、社会を知り現実を知るにつれて皆、「かっこいい」と「現実」の間に乖離があることに気付きだす。観得を切っている間に敵に攻撃されないのは現実的じゃないとか、正義が勝つとは限らないとか、兵器をわざわざ人間の形に作るのは非合理的だとか。大人になるにつれて、台詞には文脈が、行動には合理性が必要になる。合理的な判断ができる人間はヒーローになんてならない。合理性を圧してもヒーローをする、ロボットで戦う、その理由が必要になってゆく。
 「天元突破グレンラガン」の世界にも、確かに戦う理由はある。カミナもシモンも戦いたくて戦っているわけではない。戦わなければ進めないのだ。しかし、彼らはアムロ・レイほど追い詰められてはいなかった。戦わない道を取ることだってできたのだ。それでも戦う選択をしたのは、カミナがカミナらしく、シモンがシモンらしくかっこよかったからだ。かっこいい選択をしたのだ。それを選べる彼らに憧れる。

 そして、彼らの立ち振る舞いである。はぁ~~~かっこいい。高倉がいくら言葉を尽くしたところでこのかっこよさを伝えきることはできないので是非に本編を観てほしいのですが、貧弱な語彙でせめてもの説明をさせて頂くと、「かっこいい」と感じる所作の全てを一番かっこよくやってくれるのだ。身長ほどある日本刀をぶん回して「やいやいやい!てめぇ俺様を誰だと思っていやがる!」と見得を切る。誰もが「そんなの無理だよ!」と言う常識破りの無茶苦茶を気合いと根性でやってのける。女風呂を覗いて「見てぇものは見てえんだ!!」と裸で胸を張る。かっこいい。細かい理屈をこねくり回さず前だけ見据える人間はかっこいい。
 これは個人的にツボなポイントだが、キャラクターのネーミングも好きだ。カミナは「上」、シモンは「下」、ヒロインのヨーコは「横」、好敵手ヴィラルは「ライバル」だ。めっちゃ分かりやすい。細かい理屈をこねくり回さないシンプルなネーミングはかっこいい。高倉もこれくらいかっこいいネーミングがしたい。

 「天元突破グレンラガン」、惚れ惚れするほどかっこいい……。やっぱり理屈じゃなくて熱量だ。進化を尽くした先の原点回帰だ。ラストバトルの主題歌だ。高倉は理屈っぽくて合理性を取ってしまう推理小説タイプの人間なので、一層こういう作品に憧れてしまうのかもしれない。高倉にこれはできない。
 否、違う。無理なことなどきっとない。無理を通して道理を蹴っ飛ばすのだと、カミナもそう言っている。頑張れ高倉、逃げるな高倉。やってやれないことなどない。私を誰だと思っている。無謀上等、グレン団の旗を背負った、あの大きな背中に続け。

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