大吉原展@東京藝術大学大学美術館
歌舞伎や浮世絵で散々出てくる遊郭、特に吉原がどのような仕組みになっているかについては、関心は抱き、時々調べてもいたが、今回、まとまった情報が得られるということで出かけた。
流石に情報量が多く、都合4時間近くを美術館内で過ごしたことになる。
そういう意味では吉原博物誌的な展覧会であると言えそうだ。
地理、沿革、構内図、システム。こう書くと冷たい印象かもしれないが、内容は濃密で、人の息が通っていることは確かだろう。
とはいえ、4時間でわかるわけでもないので、最近では珍しく図録も購入して、しっかりと読んで見るつもり。
借金のカタとしての性産業への就業であることを十分に意識している旨の説明が何度となく出てきていた。開催前の多様な問題への対応としてなのだろう。
江戸期の文化を、現在において楽しむ時、考える時に、吉原が買売春の場であり、多くの人々にとって苦界であったことは確かながら、そこで何が起きていたのかを十分に把握しないまま、楽しむ、語ることは不可能だろう。
売買春においてまで、あるいはだからこそ、多様な形式を作り出していくことへの興味は深い。
また、ごく一部とはいえ、吉原という場において、きわめて高度な文化を嗜む女性が存在したことは、人間の多面性を示し、人というものの、一括りにできない姿を示している。
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