鬼滅の刃で中学英語#38~「持っている」だけじゃない「have」が一瞬でわかる法~
あまり知られていませんが、「have」は、英語ネイティブの会話で最も使われる一般動詞なんですね。
意外ですよね?
「持つ」なのに? と、我々日本人の感覚では思うかもしれません。
・・・ということで、今回は、過去3回に渡って取り上げた、色んな意味がある一般動詞「have」について、ちょっと深掘りしつつも、今まで学校で教えてきてもらった「have」とはまったく違う、でもわかりやすい方法で「have」を理解してもらおうと思います。
関連
➡#35~「君は心が綺麗ですね」はbe動詞か一般動詞か~
➡#36~「もう教えることはない」を英語で
➡#37~~「食べる=eat」じゃない!?~
日本語の「持つ」をおさらい
「have」の最も一般的なイメージは「持つ」ですね。
そもそも、日本語の「持つ」は、
私はペンを持っています
私はリンゴを持っています
私はいいアイディアを持っています
私は熱い心を持っています
私はスマホを持っています
と言うように、
ペンやリンゴのように今まさに「手に持っている」時、
アイディアや心のように「自分の存在の内側にある」時、
今手元になくても「自分の領域(テリトリー)にある」時、
「持つ」と表現します。
図にするとこうなりますね。
スマホは今持っていなくても、自分の領域(青い部分)にあるものだから「持っている」と言えますし、これらはすべて「あります(有ります)」と言い換えることもできます。
私はペンを持っています
⇒私の右手にペンがあります
私はリンゴを持っています
⇒私の左手にリンゴがあります
私はいいアイディアを持っています
⇒私にはいいアイディアがあります
私は熱い心を持っています
⇒私には熱い心があります
私はスマホを持っています
⇒家にスマホがあります
では、「have」はどうでしょうか?
「have=持つ」?
先ほど図に表された言葉は、「I have a pen.」のように、すべて「have」で表すことができますね。
私はペンを持っています
⇒I have a pen.
私はリンゴを持っています
⇒I have an apple.
私はいいアイディアを持っています
⇒I have a good idea.
私は熱い心を持っています
⇒I have a hot heart.
私はスマホを持っています
⇒I have a smart phone.
これだけ見ると、「持つ=have」というよりは、「持っている=have」が成立しますよね?
実際、「have」を辞書で調べると「持つ」ではなく「持っている」と書いてあります。
ちなみに、日本語の「持つ」には「ある」という意味もありますが、「have」も同じように「ある(有る)」と訳すことができると言うことは、#36でもお話した通り。
実際、鬼滅英語版でも、原作には「持っている」とは書いてありませんが、意味的には「持つ」「ある」と考えられるセリフもありました。
You and I have very different values.
俺と君とでは(持っている)物ごとの価値基準が違うようだ
Aha... then I have a great idea...
そうか では素晴らしい提案を(持っているので)しよう
(出典:Demon Slayer: Kimetsu no Yaiba Vol.8/原作:『鬼滅の刃』第8巻)
いずれも()内の太字は、こちらで書き加えたものですが、こうやって「have=持つ、ある」と訳しても、確かに通じます。
ここまでなら、「have=持っている」でも問題なさそうな感じですね。
でも、前回#37でお話ししたとおり、「have」にはこんな使い方もありましたね。
If you're hungry, you can have this too.
そんなにお腹が空いているなら これも食べていいぞ
(出典:Demon Slayer: Kimetsu no Yaiba Vol.4/原作:『鬼滅の刃』第4巻)
Have some tea. Please.
お茶です どうぞ…
(出典:Demon Slayer: Kimetsu no Yaiba Vol.8/原作『鬼滅の刃』第8巻)
「have」を(広い意味での)「食べる」「飲む」で使っているんでしたね。
関連
➡#37~「食べる=eat」じゃない!?~
「have=持っている」だけじゃない理由
つまり、「have」は日本語の「持っている」よりも広い使い方をするので、「have=持っている(ある)」というよりは、
have ≧ 持っている、ある
と言えます。
最初の「持つ」の時に使ったイメージ図で考えるとわかりやすいです。
こちらは、「have」が対象とする範囲です。
確かに、ペンもリンゴもアイディアも心もスマホも「have」で表現できますが、人物の周りの青い部分が、「持っている」よりも大きいですよね?
実はこれが、「持っている」と「have」の大きな違いなんですね。
具体例を挙げてみましょう。
通常、日本語では「持っている」「ある(有る)」と言えない、
私には妹がいます。
私は犬を飼っています。
お茶をいただきます。
ランチをいただきます。
を、英語で言ったらどうなりますか?
私には妹がいます。
⇒I have a sister.
私は犬を飼っています。
⇒I have a dog.
お茶をいただく。
⇒I have a cup of tea.
ランチをいただく。
⇒I have a lunch.
と、実は全部「have」で表すことができますね。図にしてみましょう。
妹も(弟も兄も父も子どもも)「have」。
犬も(猫もインコもトカゲも)「have」。
飲食も「have」なんです(自分の領域に入れるイメージ)。
日本語の場合だと、妹なら「います」、犬なら「います/飼っています」、というように「持っている」という表現は使いませんよね?
だって、妹は自分の持ち物ではないし、犬だって飼ってはいるけれど、物ではないので「持っている」という表現はふさわしくない・・・でも、英語ではそれを表せる。
これを見ても、英語の「have」は、日本語の「持っている」では表せないような範囲のことも表せる、ということがわかりますよね?
だから、「have=持っている」ではなくて、
have ≧ 持っている
と言えるわけなんですね。
これを理解しておくと、「have」を使った色んな表現の意味がわかってきますよ!
色んな「have」も、こう考えれば覚えられる!
ちなみに「have」は他にも、
予約がある。
⇒I have a reservation.
頭痛がする。
⇒I have a headache.
パーティーを開催しよう。
⇒Let's have a party.
お休みをとります。
⇒I'll have a holiday.
私が操縦します。
⇒I have control*.
*二人が操縦可能な航空機で、どちらが操作するかを宣言する言葉。これを言われた方は「You have control」といって操作を変わる(出典)
などなど、こんなのはほんの一部ですが、日本語で「持っている」と訳せないものでも「have」で表現できることは山ほどあります(髪が長いも「I have long hair」になるし)。
それをいちいち、「持っているだから、ここではこう考えて……」とするよりも、
と、自分の領域(テリトリー)の中にあることなんだと理解し、そこから相応しい日本語訳を考えればいい、ということになります。
「予約」も「頭痛」も「パーティー」も「休日」も「操縦権」も、私のものになっているから、全部「have」が使えます。もちろんそれが、目の前の人のことだったら「You have」になります。
この感覚は、あくまで自分が持っている物、自分の領域に有るものから「have=持つ」という考えに慣れた日本人にはなかなかやっかいで、結果的にその都度覚えている状態です。
ですが、「自分の領域に有る」ものは「have」で表せると考えると、英文中の謎の「have」が出てきても、「こういうことなんだな」と推察することができるようになりますし、英和辞典に20も30も「have」の意味が載っている理由もわかってくるのではないでしょうか??
さらに、「have to~」とか「have+過去分詞」などもありますが、実はそれも全部、この「have」のイメージを理解しておけば、すんなり入ってくるんです。
しかし、解説が長くなるので、今日はここまで!
ちなみに「have」が1位とちゃんと書いている本も出ていますので、そういうので学ぶのも一つです!
本日のまとめ
・「have」は「持つ」よりも対象の範囲が広く「have ≧ 持つ」
・だから「持つ」以外の意味がある
・自分の領域にあるものが「have」