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鬼滅の刃で中学英語#34~「and」の使い方と読み解き方を学ぶ~

ジャンプ本誌連載中の『鬼滅の刃』、ついに終わってしまいましたね・・・

最終回は、あの人とあの人と、あの人とあの人とあの人と、あの人とあの人と・・・という感じで、たくさんの人物が登場しました。

くわしく話すとネタバレになりますから避けますが、今回は、この、日本語における「」の、英語表現「and」について学んでいきましょう。

「and」なんてカンタン?

「and」はご存知、日本語でも「&(アンド)」として使うことがある、2つ以上の言葉を組み合わせる時に使う「接続詞」で、普通に「と」と訳せる単語ですね。

超簡単。

でも、「and」の働きはそれだけじゃないってことをご存知でしょうか?

たとえば、第1巻第1話、炭治郎と母親の会話のシーンを見てもらいましょう。
(出典:Demon Slayer: Kimetsu no Yaiba Vol.1/原文『鬼滅の刃』第1巻

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Your face is pitch-black.
(顔が真っ黒じゃないの)
※pitch-black=真っ黒なという形容詞(発音
Come here.
(こっちにおいで)
You don't have to go.  It's snowing and it's dangerous.
(雪が降って危ないから 行かなくてもいいんだよ)

ちょっと前の文が長いですが、「and」が使われてるのは最後の文ですね。

原作では、「雪が降って危ないから 行かなくてもいいんだよ」となっていますが、英語版では順序が逆になり、

You don't have to go. =行かなくてもいいんだよ
 ※「have to~=~しなければならない」の否定形
It's snowing and it's dangerous.=雪が降って危ないから

となっているのは、英語は大事なことを先に言う言語なので「行かなくていいんだよ」というメッセージを先に言って、理由を後に述べているからです(下記リンク参照)。

#13「柱」の紹介から英文の読み取り方を学ぶ(前編)

ちなみに、学校では「それ」「これ」と習う「It」は、天気を表す時の主語としても使われますので、覚えておくとよいですよ!

話を戻して、「and」が入っている文をもう一度よく見てみましょう。

It's snowing and it's dangerous.
(雪が降って危ないから)

日本語の原文に「と」ってないですよね?

実は、「and」は必ずしも「と」と訳すものではないんですね。

「and」の本当の役割

「and」というのは、なんとなく「つなぐもの」というような感じで感覚的に理解していても、「and」の役割というものを意識していない人も案外多いように思います。

それもそうですね、「and」だけしっかり勉強する機会ってあまりなく、「between A and B(AとBの間)」とか「and so on(などなど)」のような、時折登場する「ここでの『and』はこういう意味だぞ」という説明はあっても、ちょくちょく色んな形で出てくるので、「『と』だし、なんとなくつなぐものだよね」という感覚になりやすいです。

しかし、「and」の役割を知らないと、特に長文を読み間違えることもありますので、「英語の中の『and』という存在」をしっかりと理解しておくことが大事です。

それをわかりやすくするために、先ほどの「and」が使われていた文を、「and」の所でスッパリと分けてみましょう。

It is snowing=雪が降っている
 ※snow=雪が降るという動詞
It is dangerous=危険だ
 ※dangerous=危険なという形容詞

この文は、「It」を主語として、be動詞の「is」を使っていますが、中学文法的には、

上が、中学1年の後半で習う「現在進行形」の文、
下が、be動詞+形容詞になっている文、

という、種類の違う二つの文です(厳密には同じなんですが)。

英語ではこのように、日本語のように一つの文で表せないときの表現として、「二つの文章をつなげる」時にも「and」が使えるんですね

ただ、その「つなげ方」にもルールがあるってご存知ですか?

「and」を使った表現のポイント

先ほどの例は、「主語」+「動詞」で始まり「.」で終わる二つの文をつなげていましたが、他にも「and」を使うケースがあります。

使用例として、『鬼滅の刃』英語版第1巻、『Demon Slayer: Kimetsu no Yaiba Vol.1』の、炭治郎の兄弟子錆兎の登場シーンを見てみましょう。

youre_youllnever - コピー

文の前半部分に注目です。

You're slow ... and weak ... and immature.
(鈍い、弱い、未熟)

原作が三つのコマを使って、「鈍い」「弱い」「未熟」という三つの言葉を言っているのですが、英語は必ず「主語」が必要になる文なので、「You're=You are」から始めて、「slow」「weak」「immature」という三つの言葉を「and」でつないでいます。

これはさっきの例と違って、文をつないではいないですよね?

でも、こういう文だと考えてみると、見えてくることがないでしょうか?

You are slow.=お前は鈍(のろ)いな
 ※slow=遅い、ゆっくりとした、という形容詞(発音
You are weak.=お前は弱いな
 ※weak=弱い、という形容詞(発音
You are immature.=お前は未熟だな
 ※immature=未熟な、という形容詞(発音

という、3つの「You are+形容詞」の、「You are」の文をひとまとめにして、

You're slow ... and weak ... and immature.
(鈍い、弱い、未熟)

のように、形容詞だけを「and」でつないでいるんですね

特に大事なのは、その関係で、ここの、「slow(鈍い)」「weak(弱い)」「immature(未熟)」は、一つひとつの重みは同じですよね?

錆兎からしたら、今の炭治郎は、「鈍くて弱くて未熟」という意味です。

この三つの言葉は、同等で、「並列」です。

「並列」覚えてますか?

同じように並んでいることですね。

「and」には、そんな「並列」関係を表す使い方もあるのです

なお、マンガではコマの文が続いているのを表すために「...」が間に入っていますが、通常文章にする場合は、

You're slow, weak and immature.

というように、(いくつあっても)前の方を「,(カンマ)」で区切り、最後だけ「and」でつなぐ方法が一般的です。もちろん、学校英語でもそうです(このコマの場合は、重みを持たせる意図もあったかもしれませんが)。

だから、単純に「と」と考えるのではなく、「並列関係なんだ」ということをしっかり理解することが大事です。

ルールを知れば「and」の読み間違えがなくなる

ちなみにこういった「and」の使い方は、形容詞だけに限った方法ではありません。動詞でも名詞でも、「並列」に表記することができます。

これも同じ巻の例です。

鱗滝さんが自分の住処まで炭治郎を案内してくれるはずが、サラッと酷なことを告げてくるシーンです。

and動詞

Shoulder your sister and follow me.
(妹を背負ってついて来い)

ここでも「and」が使われていますが、あくまでも「sister」と「follow」をつないでいるってわけではないのです。

なぜかというと、

sister=妹(名詞)
follow=後につく(動詞)

という感じで、品詞が違うからですね。

品詞が違うものは「and」でつなげません

では、この「and」は何を表しているのかというと・・・ちょっと分解して考えてみましょう。

Shoulder your sister=(お前の)妹を背負え
 ※shoulder=背負う、担ぐという動詞(発音
Follow me=ついて来い
 ※follow=後に続くという動詞(発音

実はこのように、「and」の前後の文は二つとも、「動詞」から始まる、いわゆる「命令文(命令形)」と呼ばれる文だったんですね。

同じ「動詞」を使った同じ形(命令形)の文なので、「and」でそのまま並列に、二つの「命令文(指示)」として使えるんですね。

このように、「and」はなんでもかんでもつなげられるものではなく、あくまでも「並列関係」であるから、前後は、同じ品詞だったり文章構造だったりする必要があるわけですね。

名詞 and 名詞
形容詞 and 形容詞
動詞 and 動詞
文 and 文

この辺を理解しておくと、長文読解で「and」が出てきた時に「ラッキー♪」と思えるようになると思います。

なぜなら、「and」を使ってまで説明したいことというのは、重要なことだからです

どうでもいいことにそんなに紙幅をとりません。だから当然、テストの問題になりやすいです笑。

「and=と」でおぼえないこと

これまで見てきたように、「and」というのは、必ずしも単純に「と」と訳せるものでもなく、「雪が降っていて」「鈍くて、弱くて、未熟」のような「~て」のような訳せる場合もあったりするなど、使われている単語によって、意味や訳し方も変わってくるということですね。

ただ、あくまでも「並列」なので、その「並列」が何かってことを理解すると、より英文を理解できるようになりますし、英文を書いたり話したりするときにも、「and」を上手に使えるようになっていくハズです。

ちなみに「and」の並列については、下記サイトなどが詳しいですよ。

他にも「and」を使った「特別な表現」もありますが、たくさんありますので、それはまたの機会に!

本日のまとめ
・「and」はただ前後をつなぐだけじゃなく、前後を同じ価値として並列につなぐ役割がある
・「and」の直前と直後をつないでいるわけではなく、同じ「形」の部分を探すべし

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