鬼滅の刃で中学英語#37~「食べる=eat」じゃない!?~
今回も「have」の続きですが、まずは一つ質問です。
「食べる」を英語でなんと言うでしょう?
「eat」ですか?
「have」ですか?
なんでそんな質問をするかというと、「have」の話をしたいからです!
「食べる=have」?
実は「have」にはこんな使い方もあります。
(出典:Demon Slayer: Kimetsu no Yaiba Vol.4/原作:『鬼滅の刃』第4巻)
If you're hungry, you can have this too.
そんなにお腹が空いているなら これも食べていいぞ
※If+文=もし~なら
※you can=あなたはできる・してもいい
わかりますか?
「食べる=have」で使っているんです。
「食べる=eat」じゃないの!?
そう思ったアナタ、そうです、「食べる=eat」で正解です。
実際にこのシーンを見てもそうですよ。
(出典:Demon Slayer: Kimetsu no Yaiba Vol.1/原作:『鬼滅の刃』第1巻)
Nezuko would never eat anyone!
禰豆子は人を喰ったりしない!!
※would never +動詞=決して~しない
※anyone=誰か一人でも、という代名詞(発音)
「喰う」という言葉を使っていますが、「食べる」ということですよね。
だから、「食べる=eat」。これも正解です。
ということで最初の質問、
「食べる」を英語でなんと言うでしょう?
「eat」ですか?
「have」ですか?
答え。
「eat」も「have」も両方「食べる」
が正解なんです!!
(日輪刀を投げられそう・・・)
「have=食べる」?
そもそも、「食べる=eat」という一般動詞があるのに、なぜ、「have」を使うことがあるのでしょうか?
先ほどのシーンをもう一度見てみましょう。
If you're hungry, you can have this too.
そんなにお腹が空いているなら これも食べていいぞ
どうでしょう?
見ただけではわかりませんよね?
「eat」にしても問題なさそうですよね?
確かに問題はないんです。
If you're hungry, you can eat this too.
そんなにお腹が空いているなら これも食べていいぞ
これでも通じます。
じゃぁ、なんで「have」を使っているかってことですよね?
そもそも、日本語で、「食べる」ってどんな時に使いますか?
基本的には、「朝食を食べる」とか「リンゴを食べる」とか、食事に関することですよね?
これを英語にしてみましょう。
朝食を食べる
⇒I have a breakfast.
リンゴを食べる
⇒I eat an apple.
この違いがわかりますか?
なんとなくわかりますか?
質問を変えましょう。
「朝食」って、食べ物ですか?
違いますよね?
「朝食」は、トーストやら味噌汁やらバナナやらリンゴやら何やらわからないけど、朝に食べる食事の総称のことですよね。
では、「リンゴ」は?
「リンゴ」は、食べ物ですよね。まさに食べる行為をする対象ですね。
なんとなくわかってきましたか?
「eat」と「have」の使い分け
そもそも、「朝食」そのものは食べ物の総称だけど、「朝食」という食べ物はないですよね?
リンゴのような食べ物そのものを「食べる」行為そのものを「eat」と表現し、食べ物そのものではない「食事」をすることを「have」を使って「食べる」と表現するんです。
日本語では「食べる」と表現しますが、英語では分けて考えているということですね。
大雑把に整理すると、「have」と「eat」の「食べる」の違いはこうなります。
have=(食事を)食べる
eat=(食べ物を)食べる
こうやって言葉にすると、わかった気にはなりますが、いざ使うとなるとちょっと難しいかもしれません。
でも、日本語で考えてみてください。
「ご飯を食べる」、「飯を食う」、「食事をいただく」、「食事をとる」、「食事をする」とか言うこともありますよね?
そういった言葉に近いのが「have」なんです。
そこで三たび、あのシーンを見てみましょう。
If you're hungry, you can have this too.
そんなにお腹が空いているなら これも食べていいぞ
炭治郎が伊之助に、「食べていい」と言っているのは、炭治郎の手に持った料理だけでしょうか?
優しい(けどちょっと天然な)炭治郎が言っているのは、腹が減っているのなら俺の食事を分け与えるよ、ということで、炭治郎が手に持っている料理(芋の煮物?)そのもののことを言っているわけじゃないんです。
実際、伊之助が「そっちも喰わせろ」と言ったら、炭治郎は差し出すでしょ?
だから、炭治郎が「you can have」を使って「(お前が)食べていいぞ」と表現しているのは、「自分に出された食事」そのものなんです。
すでにつまみ食いされているのに、さらに「これも(=too)食べていいよ」というつもりで言っているから、炭治郎の食べている食事そのものを指すから「have」なんです。
では「eat」の例。
Nezuko would never eat anyone!
禰豆子は人を喰ったりしない!!
これは、禰豆子が鬼になってしまって、それがために鬼殺隊の冨岡義勇に、禰豆子が「人喰い鬼」と断定され殺されそうになったことに、炭治郎が反発して言った言葉です。
「eat」というのは、より具体的な「(何かを)食べる行為」なんです。
では、ここで炭治郎が義勇に言っている、禰豆子にとっての「食べ物」はなんでしょう?
そう、
「人間」ですね。
ここでは「anyone」と言っていますが、これは「人間の内の誰か」ということです。人喰い鬼にとって「人間=食べ物」だから、「食べる」という時には「have」ではなく、「eat」という言葉を使います。
ちなみに、「人喰い鬼」のことは、
man-eating demon
と言います。
「man=人」「eating=食べる(形容詞)」「demon=鬼」で、「人喰い鬼」ですね。
なにせ人しか食べないですからね。
だから「having」じゃなくて「eating」を使います。
(鬼の立場からしたら「having」なんでしょうが・・・)
実は「飲む」も…
では、「飲む」はどうでしょう
「飲む」はよく知られたように「drink」ですね。
これも「eat」同様に、具体的に「飲む」行為そのものを表します。
(出典:Demon Slayer: Kimetsu no Yaiba Vol.6/原作『鬼滅の刃』第6巻)
Your jaw is hurt, so drink slowly
顎(あご)を痛めていますから ゆっくり飲んで
※jaw=あご、という名詞(JAWSの語源)
※hurt=ケガをしている、という形容詞(発音)
実は「飲む」も「have」で表すこともあります。
このシーンを見てもらいましょう。
(出典:Demon Slayer: Kimetsu no Yaiba Vol.8/原作『鬼滅の刃』第8巻)
Have some tea. Please.
お茶です どうぞ…
※some○○=いくらかの○○
数えられない名詞につけるもの(お茶は液体なのでsome)
ここでは、お茶を勧めるときに、「You」という主語がなく、「Have」という形で動詞が最初に着ていますので、いわゆる「命令形」に該当します。
普通に「have=持つ」と考えれば「お茶を持ってください」という意味になりますが、それじゃヘンですよね?
だから、ここでは「お茶をどうぞ(飲んでください)」という意味になります。
「drink」というのは「eat」と同じように、「飲み物を(ごくごく)飲む行為」そのものを指します。
逆に「have」は飲む行為そのものを指すわけではなく、「食事をする」と同じような感覚で「飲料を飲む*」ことを表し、最悪、「飲んでも飲まなくてもいいけど、よかったら飲んでね」という意味になります。
*「食事をする」みたいな対応する日本語がないので難しいですが、あえて言うなら
整理するとこんな感じです。
have=(食事を)食べる
eat=(食べ物を)食べる
have=(飲料を)飲む
drink=(飲み物を)飲む
「eat」「drink」は、直接的に口の中に入れる行為そのものを指しますが、「have」は食べるのも飲むのも、口の中ではなくて、自分にとって取り込む行為を表すわけです。
飲み物でも「have」を使うことが多い
ちなみにこの、「Have some tea/coffee.(紅茶/コーヒーでもどうぞ)」は人に飲み物を勧めるときの定番表現です。
「Have some ○○=○○をよかったら飲んで⇒○○をどうぞ」になっているんですね。
これが「Dink some tea.」であれば、「お茶を(ごくごく)飲んでください=まあ飲め」という意味になります。「飲む」という行為をしろ、と言っているわけです。
だから、自分が注文する時なら
May I have some coffee?
⇒コーヒーをいただけますか?
Can I have some coffee?
⇒コーヒーくれる?
といった感じで、注文するときは「have」を使うことが多いです。
この「have」を「drink」にしてしまうと、より具体的にまさに飲む行為を指すので「Can I drink some coffee?=コーヒー飲んでもいい?」みたいになっちゃい、「飲む」行為そのものにフォーカスしちゃうわけですね。
だから意味が少し変わっちゃいます。
人に飲み物を勧めるときは、「飲む」という行為にはこだわらないけど「取り込んでほしい」ということで、飲んでも飲まなくてもいいけど、というニュアンスに近い「have」を使う方が自然なんですね。
あと、具体的じゃないからこそ、丁寧な印象がありますよね。行為の強制感がない。
さっきの「Have some tea.」を「Drink some tea.」にするとどうでしょう?
「飲め」感が強いですよね。
そういったニュアンスをなくして、飲んでもらいたいのだから、この場合は「Have some tea.」という言葉になっているんですね。
この、回りくどい表現が「have」の特徴で、だからこそ、「Eat(食え)」「Drink(飲め)」のようなダイレクトな表現よりも、「have」を使った方が丁寧な表現になります。
まぁ、このシーンを見ていれば、丁寧な言い方だな、ということがわかっていただけるかなと思いますが。
本日のまとめ
・「have=食べる、飲む」と表すこともある
・具体的に「食べる」「飲む」は「eat」「drink」を使う
・広い意味での「食べる」「飲む」は「have」を使う。だから、「have」を使うと丁寧な意味になることもある
・Have some tea/coffee.=お茶/コーヒーをどうぞ。