鬼滅の刃で中学英語#36~「もう教えることはない」を英語で~
#35で、「have」には色々な意味があり、20~30くらいある辞書の内容をまるっと覚えるのは至難の業だ、とお伝えしました。で、「have」には色々な意味があり、20~30くらいある辞書の内容をまるっと覚えるのは至難の業だ、とお伝えしました。
➡#35~「君は心が綺麗ですね」はbe動詞か一般動詞か~
そのため今回は、鬼滅英語版『Demon Slayer: Kimetsu no Yaiba』に登場する、一般動詞としての「have」を使うシーンをピックアップしてご紹介します。
鱗滝さんのあのセリフも「have」
こちらは、『鬼滅の刃』第1巻で、鱗滝さんの元で修行していた炭治郎が、すべての修行行程を終了し、鱗滝さんに最終選抜試験に送り出すための、最後の課題を言い渡される前のセリフですね。
I have nothing more to teach you.
もう教えることはない
はい、「have」を使った表現ですね。
では、この文をわかりやすくするため、文を区切るスラッシュリーディングしていきます。
I have nothing more=(私には)これ以上何もない
※nothing=何もない、という意味の代名詞(発音)
※more=これ以上、という意味の形容詞(発音)
to teach you=あなたに教えること(不定詞)
※teach=教える、という意味の動詞の原形(発音)
この文の前半にも使われている、
「I have nothing=私には何もない」は定型表現です。
たとえば、映画のセリフなどでもこんな表現がよく使われます。
I have nothing to say.
=(私は)何も言うことがない
I have nothing to do.
=(私は)何もすることがない
I have nothing to go with.
=(私には)一緒に行く人がいない
I have nothing to do with him.
=(私は)彼とは何もしない
⇒(私は)彼とは関係がない
※do=する、という意味の動詞の原形・現在形
この文をよく見ていただいてわかるように「I have nothing」の後に「to+動詞の原形」つまり、中2で習う「to不定詞」が続いていますよね?
この、「to不定詞」が名詞のようになって、「to say」なら「言うこと」、「to do」なら「すること」となって、それが、「I have nothing=私には何もない」ということで、上記のような意味になります。
他にも、動詞に「talk=話す」で「話すことがない」、「wear=着る」で「着ていく服がない」、「stay=泊まる」で「泊まるところがない」といった感じで、動詞を変えたり、後ろに「with」をつけることで表現の幅が広がる「使える表現」です。
鱗滝さんのセリフはこんな意味だった
さて本題。今回の鱗滝さんの例は、
I have nothing more
to teach you.
と、nothingの後に「more=以上」という形容詞がついています*。
*通常、形容詞は名詞の前ですが、○○thingに限っては後ろにつくそうです
これをつけることで、「I have nothing」の意味を修飾するんです。
先ほどの例文につけてみましょう。
I have nothing more to say.
=(私は)これ以上何も言うことがない
I have nothing more to do.
=(私は)これ以上何もすることがない
I have nothing more to go with.
=(私には)これ以上一緒に行く人がいない
⇒(私には)もう一緒に行ってくれる人がいない
I have nothing more to do with him.
=(私は)彼とはこれ以上何もしない
⇒(私は)彼とはもう関係がない
どうでしょう?
若干読んでて悲しくなる文もありましたがw、ただでさえ「何もない」という意味の「nothing」を、「more=これ以上」でさらに強調しているんですね。
それを踏まえて、鱗滝さんの英文の意味を考えると、「to不定詞」を使った「to teach you=お前に教えること」が、「I have nothing more=(儂には)これ以上何もない」つまり、
I have nothing more to teach you.
もう教えることはない
となるんですね。
実際、その後のコマで鱗滝さんは「あとはお前次第だ」「お前が儂の教えたことを昇華できるかどうか」という言葉で結んでいます。
「教えることは全て教えた」ということが伝えたかったわけですね。
ストーリーについての素朴な疑問として、「全集中の呼吸」が身についていなかった炭治郎に、柱だった鱗滝さんが本当に「教えることはこれ以上なかった」のかはちょっとナゾですが、まぁ、マンガあるあるですよ!
基本ができないと応用もできないよ、だから本当は、「(基本的なことは)教えることは全て教えたよ」、ということかもしれません(苦しい!?)。
何もないのに「持っている」?「have」の本当の意味
「I have nothing=私には何もない」という表現の解説をしましたが、こんなことを思ったりしませんでしたか?
「I have+○○=(私は)○○を持っている」なのに、○○が「nothing=何もない」なのはなぜかと。
気になりません?
直訳すると「私は何もないを持っている」となりますからね。
何もないはずなのに!
ここが、日本語の「持つ」と英語の「have」との違いです。
つまり、
実際に「have」の意味は、日本語の「持つ」という言葉以上の意味があるということです。
今、この「ある」を太字で強調させてもらいましたが、実は「ある」というのが、「have」の本来の意味でもあります。
本当にそうなのか、先ほどの「ある」を含む〈〉で囲んだ文を、Google翻訳にかけてみましょう。
実際に「have」の意味は、日本語の「持つ」という言葉以上の意味があるということです。
↓
Actually, the meaning of "have" has more meaning than the word "have" in Japanese.
(Google翻訳より)
※has=haveの主語が三人称単数現在形(三単現)の時の形
いいですか?
自動翻訳ですら「持つ」という言葉が入っていなくても、「ある」を「have/has」として訳すんです。
ちなみにこれは「the meaning of "have"」が主語で、あるモノに「ある=含有している」という時にも「have」、三単現なら「has」を使うということですね。
英語の感覚で言えば「ある」は必ずしも「be動詞」じゃなく、「have」になることもあるんですね。
日本語の「ある」には二つの意味がある
だから、鱗滝さんのセリフ、「I have nothing more to teach you」を
「have=持つ」と考えて、
「教えることがこれ以上何もないを持っている」
と考えるのではなく、
「『教えることがこれ以上何もない』ことがある」
⇒「教えることはこれ以上なにもない」
というように考えると「have nothing」が理解できると思います。
日本語で考えると難しいですが!!
なお、だからといって全部が全部「ある=have」と訳すと失敗しますので注意して下さいね。
あくまでも、人や物ごとにとって「ある(有る)」を「主語+have/has」で表しており、「STAP細胞はあります!」は、世の中が主語になるので「have」を使わず「There is STAP cells!」になります(訳あってるハズ)。
なぜなら「STAP細胞はあります!」の「あります」は「存在します」という意味で、それは「有る」じゃなくて「在る」なんですよね。
「STAP細胞は在ります!」だと、存在を意味して、
「STAP細胞は有ります!」だと、持っていることになります。
だから、無理矢理日本語で考えると、同じ「ある」でも、
「主語+have/has=有る」と「主語+be動詞=在る」
の違い、と考えると、「have」と「be動詞」に両方とも「ある」という意味があることがわかってくるかもしれません(完全には一致しないですが)。
この辺、英語と日本語と表現がだいぶ変わりますので、とにかく「慣れ」!
たとえば、ホテルにチェックインするときに、フロントで「予約しています」と言いますが、これも英語では、
I have a reservation.
予約があります
※reservation=予約という名詞(発音)
と言います。
特に英会話ではよく使いますので、「have」をなめたらいかんですよ、というお話でした。
次回は、その「have」をもうちょっと掘り下げて行きたいと思います。
本日のまとめ
・「have」は「有る」という意味もある
・「主語+have/has=有る」と「主語+be動詞=在る」
・I have nothing more to teach you.=もう教えることはない
・I have nothing to 動詞=○○することがない
・I have nothing more to 動詞=もう○○することがない