鬼滅の刃で中学英語#30~「It is ○○+to不定詞」をわかりやすく理解する~
今回は、前回ご紹介した、あいさつの定番表現「Nice to meet you.」には、隠された主語+動詞があるというお話をしたので、この機会に「似たような文」を合わせておぼえてもらおうというお話です。
内容的には中学2年、3年で習う内容ですので、これまでと比較して難しくなりますので、難しい人は違う記事に離脱してください笑。
ちなみに、前回は#28だったのに今回の記事で#30になりましたが、よくよく見たら、途中、重複する番号が1つあったことが判明し、本当は#29だったためです。
(#12からなので、直す気も起きない・・・)
「Nice to meet you.」のおさらい
「Nice to meet you.」には、英文に大事な主語と動詞がありません。
(Demon Slayer: Kimetsu no Yaiba Vol.8)
youは名詞だけど最後に付いているので主語じゃなく、meetも動詞だけど、主語+動詞の動詞ではなく、この文には、本来の文の主人公である「主語」と、その主語を説明する「動詞」がありません。
そこで前回、隠された部分を補完して、下のように本来の文をご紹介しました。
It is nice to meet you.
「It(それは)」が主語で、「is(です)」というbe動詞が動詞。
つまり、「It is ~」で、日本語的には「それは~です」と訳せる表現で、「~」の部分には、形容詞や名詞が入ります。
It is nice(それは良いことだ)
※nice=良い、素敵という形容詞
ということですね。
この文の「It(それは)」は代名詞で、何かの名詞の代わりなんですが、それがどこにも書いてありませんね。
そこで登場するのが、文の後半の「to meet you」です。
文の構造としては、前回ご紹介したとおり、
① It is nice(それは良いことだ)
② to meet you(あなたに会えることは)
に分けられるということですね。
「to+動詞の原形」
それでは、②の「to meet you」はなぜ、「あなたに会えることは」と訳せるのでしょうか?
「to」は、「go to school(学校へ行く)」のように「~へ」という時に使う言葉ですが、この時、「to」の後に続く「school」は名詞です。
しかし、今回は「to」の後ろに「meet(会う)」という動詞が付いていますね。しかも過去形(metになります)ではなく現在形です。
そもそも、「to」は「前置詞」と呼ばれる、名詞の前につけて意味を補完するものの1つです(atとかofとかonとかinもそう*)。
*たとえば、「at school」になれば「学校で」に変わる
ですから、「to」の後に動詞が来た場合、「to」の役割が変わり、違う訳し方になります。
それがいわゆる、中2で習う「不定詞」というやつです。
「不定」という言葉が付いていますが、これは、動詞を使ってはいるんだけど、動詞の辞書に載っている定め通りに使う動詞(定動詞=普通の動詞)とは違うため「不定詞」となっているそうですが、まぁ、とりあえず「toのあとに動詞の原形が来たら不定詞」とおぼえておけばOKです。
本来、「to」の後は名詞、ですからね。
「to 不定詞」を簡単に理解する
日本の英語教育は、「使い方」よりも「読み方」を優先するため、「to 不定詞」についても、
「名詞的用法(~すること)」
「副詞的用法(~するため)」
「形容詞的用法(~するための)」
という3種類の使い方と訳があるよと習います。
・・・おぼえられないよと(泣)。なんか似てるし・・・
そもそも、日本語だってそこまで詳しく文法を意識して使っているのかというと怪しいところで、だから結局、このあたりから「英語なんてなんとなくわかればいい」感じになって行く子がさらに増えます(かくいう私もそうでしたよ)。
そこで、「これはこう」と丸暗記させるよりも、「習うより慣れろ」で、最初の文に戻りましょう。
It is nice to meet you.
この文は、前の方で「それはナイス(良い)です」と言っています。
ですが、「それ」を指しているものがわからない・・・そこで後ろで後付けに説明しているのが「to meet you」なんですね。
英語は「理由は後付け」することが許される言語なので、とりあえず「to不定詞」で説明することはよくあります。
ということでここでは、「It=to meet you」なんです。
「It」は名詞で文の主語ですから*、この場合の「to meet」は名詞として使えるということで、自動的に「名詞的用法」ということがわかります。
*これを形式主語と言いますが、中学校では教えてくれるケースは少ないと思います。中学でも熱心な塾では教えてくれることもあります。高校では習います。
でも、「名詞的用法ってどんな訳だっけ?」ってなることはありますが、それも文の中で「名詞として使われている」と考えればわかってきます。
It is nice to meet you.
↓
[To meet you] is nice.
↓
[to+会える+あなたに]はナイス
↓
[あなたに会えること]はナイス
こうすれば、「to不定詞の名詞的用法」の訳が「~すること」という訳になっていることがわかります。
大事なのは、訳ではなくて「動詞を名詞のように使う」ということです。
日本語は逆に、「LINE(名詞)する」「ネット(名詞)する」のように名詞を動詞のように使うことが多いので、その逆バージョンとして考えてみると良いかもしれません。
なお、「meet」の後の「you」ですが、これは文の後ろに使われていることから、これまで見てきたような「あなたは」「あなたが」という感じで主語として使われる「you」とは異なり、主語+動詞の文の目的を表している意味になるので、「you」の目的格「あなたに/あなたを」という意味となります。
(中1で習う「人称代名詞の変化」)
こういった「名詞の代わりに使えるto不定詞」なので、名詞的用法と言われていますが、「to+動詞は名詞にもなる」とおぼえておけば大丈夫です。
「It is … to不定詞」はよく使う
中学生だと3年生で習う範囲で、東京書籍『NEW HORIZON English Course 3』でも、このような例文が出ています。
It is necessary for us to prepare for disasters.
我々は災害のための準備をする必要がある
※necessary=必要な、という形容詞
※us=我々の、という名詞
※prepare=準備する、という動詞
※for disaster=災害のために
頭が痛くなってきましたか?
それもそうでしょう、教科書には
It is ... (for+人) to+動詞の原形
(人が)~するのは…です
と「覚えろ」と言ってきますからね。
しかし、よくよく見ると、さっきの「It is nice to meet you.」と同じ構造の文ですし、同じように2つの文に分けることが可能です。
① It is necessary for us(私たちにはそれをする必要がある)
② to prepare for disasters(災害時のための準備をすること)
①の「It」が②なんです。そう考えると、これだけ長い文も訳せるようになって来ます。
さて、まったく鬼滅の話が出てきませんでしたので、最後に鬼滅の刃英語版で、「It is ... to不定詞」の文を・・・と思いましたが、アニメ版しか見ていない人には激しくネタバレになってしまうので先に、まとめをご紹介しますね!
本日のまとめ
・「to」の後ろは普通名詞。動詞が来たら「不定詞」になって、色んな形で動詞が使えるようになる
・「It is ... to不定詞」の文の形を見つけたら、「It is nice to meet you(あなたに会えることがナイス)」を思い出して、to以降をItに入れてみよう
鬼滅英語版での「It is ... to 不定詞」
それでは、要注意ネタバレ案件で、鬼滅英語版の「It is ... to不定詞」を使った場面をご紹介。
出典は第8巻です。
上弦の参、猗窩座との戦いの後、傷つきながらも炭治郎に語りかける炎柱・煉獄杏寿郎のシーンです。
Don't worry over my death.
(俺がここで死ぬことは気にするな)
I'm a Hashira.
(柱ならば)
It's my job to shield you junior members.
(後輩の盾となるのは当然だ)
※don't worry over=あまり悩む必要はない
※my job=自分の役目
※shield=盾になる、かばうという動詞(発音)
嗚呼、煉獄さん!!
・・・気を取り直して、どうです?
太字で強調した文も、今までと同じ「It is ... to不定詞」になっていますよね?
① It's my job(それが俺の役目だ)
② to shield you junior members.(君たち後輩をかばうこと)
「shield」は、ゲームなどに登場する「シールド、盾」のことですが、それだと名詞になって、「to shield(盾へ)」になるのはおかしいですよね?
だからこの「shield」は、名詞ではなく動詞で、今回はtoの後だから「to不定詞」として使われ、It isが前にある(形式主語)ので、①の「It」を②に置き換えて「君たち後輩をかばうことが俺の役目だ」という意味になります。
ちなみに、ここでは「you」の後に「junior members」と複数形の言葉が続いていますが、これは、「you」が複数「あなたたち」を表す場合(あるんです!)の表現で、「君たち2人」なら「you two」、「君ら」なら「you guys」などと使う応用編だと考えてもらえばOKです。
複数なので、後ろの言葉も複数形になります。学校では教えてくれませんが、英会話では使う表現ですよ。