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「幼馴染のBLカップルに挟まれてるんだが!!」(1)【漫画原作部門・創作大賞応募作】

〈あらすじ〉


「ごめん、俺たち付き合うことになった…」

幼馴染の2人が神妙な顔を向ける。
いつかこの日が来ることはわかっていた。
僕らはもう親友ではいられない。
僕は笑って「おめでとう」と返す。

(あれだけお互い意識しておいて気づかないとでも思ったか!!)

やっと来た祝福の瞬間。
2人が幸せになれるなら、僕は喜んで身を引こう。
そう思っていたのに……

「でも、お前を独りになんかしないから」
ほほ笑む幼馴染の優しさと気遣い。
幼馴染のイチャイチャを前に居たたまれない僕。

これは幼馴染のBLカップルを応援したい鈴木と、
恋愛下手な風見と篠塚が織り成す青春コメディ。

〈キャラクター設定〉

・鈴木 浩太(すずき こうた)
どこにでもいる平凡な男子高校生。
風見と篠塚とは幼馴染で幼稚園の時からの付き合い。
晴れて恋人になった2人のため、友達付き合いから身を引こうとするが、
2人に挟まれてしまっている。

・風見 俊(かざみ しゅん)
根っから明るく、気さくなスポーツ少年。
運動神経バツグンで顔立ちも整っているため、すごくモテる。
ただし喋るとアホ。無自覚天然たらし。

・篠塚 昌(しのづか あきら)
一見クールだが、風見と鈴木の前だとよく笑う。
ゲイであり、男性にしか恋愛感情を抱けない。
やや嫉妬深く、繊細な性格。

・佐々木 智晴(ささき ともはる)
鈴木のクラスメイト。
真面目で曲がったことが嫌いな性格だが、
目つきが悪く、言葉足らずなので周囲の人から誤解を受けがち。

・金子 実(かねこ みのる)
鈴木のクラスメイト。
のほほんとして、気張らない性格。佐々木とは中学が同じ。
いい人オーラが出ていて、親しみやすい印象。

第1話

【Scene1】
//早朝、通学路
3人並んで歩いている風見と鈴木と篠塚。

鈴木N「僕ら今日から高校生になる」

鈴木目線で風見と篠塚を説明
風見、表情アップ(笑顔)
鈴木N「こいつは風見俊。いつも明るくて、楽しいやつ」
鈴木N「運動神経が良くて、中学の時にはファンがたくさんいた」

篠塚、表情アップ(微笑)
鈴木N「こっちは篠塚昌。一見クールだけど、よく笑ってくれる」
鈴木N「美形で高身長。これでモテないわけがない」

鈴木、表情アップ(笑顔)
テロップ「鈴木浩太」

鈴木N「僕らは幼稚園からずっと一緒に育った幼馴染で、高校も同じだ」

3人が並んで歩いている背中。風見と篠塚は後ろで手を繋いでいる。

鈴木N「そして、この2人は付き合っている」

【Scene2】回想、前日
//風見の部屋

正座で改まった様子の風見。
風見「ごめん、俺たち付き合うことになった」
鈴木「……」
篠塚「急にこんなこと言われても困るよな」
篠塚「でも、やっぱ浩太には言っておきたくて…」
鈴木「あー、うん。ちょっとびっくりしたかな」

付き合うことを知って安堵する鈴木
鈴木M(時間かかったな~)

鈴木の回想
3人で勉強中、消しゴムを取ろうとして手が触れてしまう風見と篠塚
風見と篠塚「!」
赤ら顔で見つめ合う風見と篠塚を「スン顔」で見ている鈴木
鈴木の回想、ここまで

鈴木M(あれだけお互い意識しておいて気づかないとでも思ったか!)

鈴木の反応を神妙な面持ちで待つ風見と篠塚、緊張で微かに手が震えている鈴木N「2人が付き合うなら、僕らはもう親友じゃいられない」

鈴木、やや俯いて
鈴木M(いつか来るとわかってはいたけど)
鈴木M(あ~あ。僕、ついに邪魔者になっちゃったな……)

鈴木、2人に微笑んで
鈴木「おめでとう。僕は2人を応援するよ」

ホッとした表情の風見と篠塚。
風見「ま、まあ、付き合うことになったと言っても、
   関係は今までと変わらないし。なっ?」
篠塚「うん。お前を独りにはしないから」
鈴木「えっ」

風見「俺たち高校も一緒だろ。このままさ、3人仲良くいこうぜ」
篠塚「そういえば、明日、何時に集合する?」
鈴木「えっ、えっ……」

鈴木M(恋人になった幼馴染と、僕一緒に行動するの?)

鈴木「でも、2人は付き合ってるわけだしさ。僕がいたら邪魔じゃない?」

風見と篠塚、必死な形相で
風見と篠塚「いやいやいや、お前がいないと困るから!!」

【Scene3】回想あけ
//早朝、通学路

鈴木M(困るからって言われてもなぁ…)

風見、笑顔で
風見「やっぱ屋上で弁当食べるのとか憧れるよな~」

鈴木がイメージする風見視点
画面手前隅に鈴木、奥に篠塚
篠塚「普通、施錠されてるでしょ」
篠塚「ドラマじゃないんだし」

鈴木がイメージする篠塚視点
画面手前隅に鈴木、奥に風見
風見「えー。そうなのか!」

2人に挟まれて自分のモブ感に堪えられない鈴木
鈴木M(僕、やっぱり邪魔じゃない!?)
鈴木M(どうにか抜け出したい…)

鈴木、歩くペースを落として列から抜け出そうと試みる。
そこで2人が手を繋いでいることに気づく
鈴木「なにこれ!?」

風見「ああ、ちょっと歩くの早かったか?」
鈴木「いや、そうじゃなくて」
篠塚「ごめん、気づかなかった。浮足立ってたかも」
風見「今日から高校生だもんなー」
鈴木「だから、そうじゃなくて!」

空気に耐えられず、声を荒げる鈴木
鈴木「僕、邪魔でしょ! どう考えても!」

走り出そうとする鈴木。
それに気づき、妨害しようと手を伸ばす風見
風見「ちょっ! 昌!」

風見の手に気づき、咄嗟に手を伸ばす篠塚
前でも手を繋いで、鈴木をサンドイッチする風見と篠塚

篠塚「浩太は大事な幼馴染だから!」

風見と篠塚によって四方を完全にふさがれた状態で走っている鈴木
鈴木「なんでそうまでして!」
鈴木M(てか、こんなとこクラスメイトに見られたくねー!)

鈴木「ねえ、バカなの!? アホなの!?」
風見「お前を逃さないためならバカでもアホでいい(キリッ☆)」
鈴木M(キメ顔やめろぉ!)

鈴木「だいたい、なんで2人は僕を間に入れたがるわけ!?」
篠塚「それは……」

風見「あ、校門見えてきた」
手をほどく風見と篠塚

前のめりにすっころぶ鈴木
鈴木「ふげっ!」

風見、鈴木に手を伸ばして
風見「大丈夫か?」

鈴木、風見の手を取って
鈴木「誰のせいだと思って…」

肩を落とす鈴木
鈴木M(朝から疲れた…)

【Scene4】
//教室
鈴木の席に集まる風見と篠塚。鈴木と挟んで楽しく談笑している

間に挟まれて、スン顔の鈴木。
鈴木M(こいつら…)
鈴木M(付き合ってる自覚あんのかな)

クラスメイトの女子が風見と篠塚について喋っている
女子1「あの2人、顔よくない?」
女子2「ねー。背も高いし。狙い目かも(笑)」

鈴木、ちょっとふてくされて
鈴木M(はぁ…)

鈴木N「2人のことを疎ましいと思ったことはない」
鈴木N「でも、これだけ顔のいい親友が近くにいれば、
    誰だってこんな気持ちになるはずだ」

鈴木M(別にモテたいとかないけど……)

鈴木、机に伏して
鈴木「はぁ~~」
風見「どうした? ポンポン痛いのか~?」
風見「胃薬か? 痛み止めか?」
篠塚「俊、それ男子に聞くやつじゃないと思う」

鈴木、呆れ顔で風見を見上げて
鈴木「俊のアホ…」
風見「え。朝のことまだ気にしてる?」
篠塚「お前がアホなのは事実だよ」

鈴木「昌のバカ…」
篠塚「それは…ごめん」

風見、ちょっと嬉しそうに
風見「昌もバカだもんな」
篠塚「一緒にしないで」
風見「えぇっ……」

2人のやり取りを眺めている鈴木
鈴木M(こんなやり取りでさえ…)

鈴木視点、2人の周囲にうっすらハートが飛んでいる
鈴木M(なんかイチャイチャして見えるんだよなー)

風見と篠塚、心配そうに鈴木を見つめる
鈴木「もう、なんでもないよ…」

3人のやり取りを見ていた佐々木。
佐々木と金子、なにやらコソコソ話している

予鈴が鳴り、席に戻っていく風見と篠塚

佐々木と目が合う鈴木
鈴木「?」
鈴木M(なんかこっち見てた…?)

//時間経過

【Scene5】
//学校、廊下
1人で歩いている鈴木、バストアップ
鈴木M(最初は緊張したけれど、クラスの雰囲気も穏やかだし
    うまくやっていけそうな気がする)
鈴木M(2人に挟まれていること以外は…)

鈴木、やや速足で
鈴木M(でも、なんでだろう…)
鈴木M(挟まれてると逃げたくなる!!)

鈴木を見つけて、ダダダダ!と走って追いかけてくる風見と篠塚
必死な形相の風見
風見「こうたぁぁぁ!」

ダッシュで逃げ出す鈴木
鈴木「もー! トイレ行くだけじゃん!」

鈴木が2人に追いかけられているところを見つめる佐々木
佐々木「……」

//時間経過

【Scene6】放課後
//教室

鈴木「俊は部活の見学?」
篠塚「うん。サッカー、高校でも続けるらしいから」
篠塚「俺、美術部行くけど、お前も来る?」
鈴木「ううん。部活やるつもりないし」

篠塚、ちょっと心配そうに
篠塚「…………1人で帰れる?」
鈴木「僕のことなんだと思ってんの?」

鈴木、篠塚の背を押して
鈴木「ほら、早く行かないと見学できないよ」
篠塚「……」

ドアから顔を出し、心配そうに鈴木を見つめる篠塚
鈴木「早く行け」

篠塚がいなくなり、帰ろうとする鈴木
鈴木が1人になるタイミングを見計らって話しかける佐々木

佐々木「なあ。お前に話があるんだけど…」
鈴木「(やや驚いて)えっと、なに?」

鈴木M(同じクラスの佐々木だっけ……?)
鈴木M(話したことないけど、なんの用だろ?)

佐々木「鈴木って風見と篠塚と中学一緒だよな?」
鈴木「そうだよ」
佐々木「あの2人のこと、どう思ってんの?」
鈴木「ど、どうって言われても……」
佐々木「なんて言ったらいいか、わかんないんだけどさ」
佐々木「お前ら見てたら、なんか変だなって……」
佐々木「あの2人……どういう付き合いなわけ?」
鈴木「……」

鈴木M(もしかして、2人の仲を勘繰られてる…?)

Scene4引用
イチャイチャして見える風見と篠塚、イメージ画
鈴木M(や、まあ……。そういう雰囲気あるからなぁ…)
鈴木M(どうしよう…。僕から2人のこと言うのは違うし)

佐々木「言いづらいなら、俺から言おうか?」
佐々木「余計なお世話かもしれないけど。だって普通、嫌だろ?」
鈴木「え……」

鈴木N「僕は昔からあの2人を知ってるから、
    なんとも思ってなかったけど」
鈴木N「同性愛を受け入れられない人もいるわけで……」

佐々木の表情アップ
鈴木N「これはたぶん、そういう軽蔑の目だ」

鈴木、静かに怒って
鈴木「嫌なわけない」
鈴木「だいたい君に関係ないだろ!」

佐々木、呆気に取られて
佐々木「あ、そ……」
佐々木「じゃあ、いい」

教室を出て行く佐々木の背
憤る鈴木
鈴木M(なにあの態度!!)

鈴木「むかつく!」
鈴木「(冷静になって)……」

鈴木N「でも、きっとこういうことはこれからも起きる」
鈴木N「好きになった人が男だったってだけで…」

Scene2から引用
鈴木の反応を神妙な面持ちで待つ風見と篠塚、緊張で微かに手が震えている

鈴木、スクールバッグをぎゅっと握って
鈴木「どれだけ勇気を出して、今の関係になったと思ってるんだよ」

鈴木N「2人の味方になれるのは、僕だけかもしれない」

教室にたたずむ鈴木の背
鈴木N「さっきのことを思い出したら」
鈴木N「なんか悔しくて、ちょっとだけ涙が出た…」

//場転
【Scene7】
//廊下
掃除中の金子、佐々木が戻ってきたことに気づいて

金子「掃除サボるなよー。どこ行っての?」
佐々木「ちょっと鈴木と話してた」
金子「えっ。大丈夫だった?」
佐々木「まあ」
金子「まあって……。智晴はいつも言葉足らずだし。心配だなー」
佐々木「大丈夫。俺の勘違いだった」

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#創作大賞2024 #漫画原作部門


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