「幼馴染のBLカップルに挟まれてるんだが!!」(2)【漫画原作部門・創作大賞応募作】
第2話
【Scene1】
//早朝、通学路
待ち合わせ場所に駆けていく鈴木
鈴木N「幼馴染の2人が付き合うことになった」
鈴木に気づいて、手を上げる風見と篠塚
風見「おはよー!」
鈴木「ごめん、遅くなった」
篠塚「全然。間に合うでしょ」
3人並んで歩き始める
鈴木N「僕は2人が平和に高校生活を送れるように願っているし」
鈴木N「そのための協力も惜しまない」
自然と鈴木を挟んで手を繋ぐ風見と篠塚
鈴木N「だけど……」
2人にサンドイッチにされている鈴木、あきれ顔
鈴木「歩きづらいからやめて」
風見「えー」
鈴木N「挟まれる身にもなってほしい」
【Scene2】
//学校、昇降口
靴を履き替えながら
鈴木M(この前のことがあってから)
第1話、Scene6から引用
佐々木「だって普通、嫌だろ?」
鈴木M(改めて2人に確認したけど…)
【Scene3】回想
//風見の部屋
鈴木「付き合ってることは隠したほうがいいんだよね?」
風見、ポカンとして
風見「あー、考えてなかった」
鈴木「考えなよ。自分たちのことでしょ」
風見、床でゴロゴロしながら
風見「芸能人じゃないんだし。
誰と誰が付き合ってようと興味なくない?」
鈴木M(イケメンの恋愛事情はゴシップの鉄板ネタだと思うけど)
鈴木M(自覚ないんだよなぁ)
篠塚、真剣に
篠塚「俺は隠しておいたほうがいいと思う」
篠塚「同性愛に対する偏見ってまだあるから…」
【Scene4】回想あけ
//廊下から教室に移動しつつ
鈴木M(昌はそういうことに敏感だし、気を遣ってそう)
鈴木M(心配なのは俊か…)
鈴木M(ボロを出さなきゃいいけど…)
風見、教室のドアを勢いよくあけて
風見「おっはよー!」
風見を見て、クスクス笑う女子達
女子1「おはよう、風見くん」
風見「おはー!」
風見が女子と喋っていて、不機嫌そうな篠塚
女子に挨拶され、やや照れながら答える鈴木
女子2「鈴木くんも。おはよう」
鈴木「あ、おはよう」
女子1「篠塚くん。おはよ」
篠塚「(冷え切った顔で)どうも…」
場の空気が凍ったのを察した鈴木
鈴木M(あ、これダメだ)
鈴木M(ここに問題児がいた…!)
//時間経過
//教室、黒板に健康診断のスケジュールが書かれている
鈴木、体操着に着替えながら
鈴木M(昌って女子苦手だよなぁ)
鈴木M(俊と付き合ってることを隠すためにも、
女子とは普通に接したほうがいいような…)
鈴木M(たぶん昌って…)
金子に話しかけられる鈴木
金子「ねえ。鈴木くんって下の名前、浩太くん、だよね?」
鈴木「あ、うん。呼び捨てでいいよ」
金子「あ、そーお? おれ、友達は下の名前で呼びたいんだよね」
金子、笑って。パワァァといい人オーラが出ている
金子「おれ、金子 実。よろしく~」
鈴木「よろしく」
鈴木M(人が良さそう)
金子「浩太って、篠塚くんと風見くんと仲いいよね?」
鈴木「うん。幼稚園からの幼馴染なんだ」
金子「付き合い長いんだ。いいね~」
金子「でさ、ずっと気になってたんだけど……」
金子、篠塚のほうを見て
金子「どうして篠塚くんはフリーズしてるの?」
篠塚、風見の半裸を見て固まっている
以下、篠塚目線。徐々に息が荒くなり、顔を赤らめていく篠塚。
風見の腹筋アップ
篠塚「(凝視)……」
風見の胸筋アップ
篠塚「(頬染め)…!」
風見の鎖骨アップ
篠塚「(赤面)っ~~~!」
風見、Tシャツを着つつ
風見「なあ、健康診断ってズボン長いほう?」
風見「短パンもあるけど、どっち履く?」
異変に気付き、ダッシュで篠塚の元にかける鈴木
鈴木に肩を掴まれ、「ハッ」とする篠塚
篠塚「浩太……」
鈴木の顔を掴み、見つめる篠塚
篠塚「ごめん。浩太の顔で一旦、落ち着くわ」
鈴木「人の顔を箸休めにすんな」
風見「ん? どうした、2人で見つめ合って」
鈴木M(強いていうなら、俊のせいだよ…)
長ズボンと短パンと持って、パンツ姿で立っている風見
風見「ねー。健康診断って短いほうがいいのかな?」
篠塚、冷静を取り戻して冷たく
篠塚「どうでもいいからズボン履いて」
風見「怒られた…」
金子「どっちでもいいと思うよー」
//時間経過
【Scene5】
//教室、昼休み
3人で机を寄せて、ご飯を食べている
風見「身長伸びてたー!」
篠塚「良かったね…」
風見「なあ、昌が冷たいんだけど。なんで???」
鈴木「はは…」
お弁当の卵焼きを篠塚に食べさせようとする風見
風見「機嫌直せよな。ほら、俺の卵焼きやるから」
篠塚、鈴木「えっ」
鈴木M(それはカップルがやるやつでは!?)
風見「ほらほらー。うちの卵焼きはうまいぞー?
あーんってしてみ?」
鈴木M(こいつ隠す気あんのか!?)
食べるのをためらう篠塚
篠塚「……」
鈴木M(昌も困ってるじゃん!)
卵焼きを食べる篠塚。やや照れつつ
篠塚「……うまい」
風見「だろ?」
周囲の目が気になる鈴木、女子がクスクス笑いあっている
女子「あの2人って仲いいよね」
女子の声にドキッとして
鈴木M(こんなことしてたらバレるに決まってる!)
風見、鈴木に卵焼きを差し出して
風見「お前も食う?」
鈴木「え、いらな……」
鈴木M(いや、待てよ)
鈴木M(ここで僕が食べなかったら、この2人カップル確定では!?)
鈴木M(食べれば、まだ仲がいい3人組だと誤魔化せる…)
ますます周囲の目が気になる鈴木
鈴木M(でもこれはちょっと…恥ずかし……)
風見、乙女ゲーのヒーローみたいなキラキラフェイスで
風見「ほら、お前もあーんってしてみ?」
鈴木M(人の気も知らないで、キラキラすんな!)
「食べろ」と念を送ってくる篠塚
鈴木M(こいつ…)
逡巡する鈴木。
佐々木がこっちを見ているのに気づく
佐々木「……」
卵焼きを食べる鈴木
鈴木「……おいしいよ」
ホッとしている篠塚。
状況を理解せず、笑っている風見
風見「よし! これで仲直りなー!」
鈴木M(2人のためなら出来るだけ協力するけど)
鈴木M(ちゃんと誤魔化せてるのかな…)
ちらっと佐々木のほうに目を向ける鈴木
佐々木、鈴木と目が合うがすぐに視線を逸らす
鈴木、佐々木にムスッとして
鈴木M(ふんっ…!)
篠塚、機嫌の悪い鈴木に気づき、ちょっと申し訳なさそうに
篠塚「浩太、からあげ食うか?」
鈴木「いや、いいよ…」
//場転
【Scene6】
//教室の隅で3人のやり取りを見ていた佐々木と金子
金子「なんか大丈夫そうだねー」
佐々木「だから言っただろ。俺の勘違いだったって」
金子「智晴がいじめられてるかも、なんて言うから」
金子「気になるじゃん?」
佐々木「だって、あいつ……」
佐々木のイメージ画
風見と篠塚に挟まれ、不安そうな鈴木
佐々木「あの2人といると、気まずそうっていうか…」
佐々木「やりにくそうっていうか…」
佐々木のイメージ画
風見と篠塚に追いかけられて、廊下を走る鈴木
佐々木「追い回されてる? ……みたいだったし」
金子「浩太とも喋ってみたけど普通だったよ~」
金子「風見くんと篠塚くんとは幼馴染なんだって」
佐々木「ふーん」
佐々木「ま、俺には関係ないけど」
金子「そんなこと言ってー。気にしてたくせに」
金子「さすが、元風紀委員だね」
佐々木「それ中学の時の話だろ。いつまで引っ張ってんだよ」
//時間経過
【Scene7】
//空き教室
掃除当番になった鈴木と篠塚
篠塚「今日はごめん。鈴木には迷惑かけた」
鈴木「いや、いいけど……」
しばらく黙々と掃除する2人
2人「……」
鈴木、ふと手を止めて
鈴木「いや、良くなくない!?」
篠塚「良くない、よなぁ……」
風見に卵焼きを食べさせられて、恥ずかしかったことを思い出す鈴木
鈴木「まずさ。あれ、なんなの!」
鈴木「無自覚にも程があるよね?」
篠塚、風見の半裸を見つめてしまったことを思い出す
篠塚「そ、そうだよな……」
篠塚「あれは……あれはその……」
篠塚「俺の、せ、性癖っていうか……」
鈴木「卵焼きで仲直りなんて子供か!」
篠塚「うん……」
篠塚「え、そっち?」
鈴木「昌も昌だよ!」
鈴木「女子に態度悪すぎ。挨拶されただけでしょ?」
篠塚「ごめん……」
篠塚、改まって
篠塚「あ、あのさ…」
鈴木「ん?」
篠塚「俺、言っておかないといけないことがあって」
篠塚「気持ち悪いって思われたら嫌だから、黙ってたんだけど…」
//場転
//廊下
忘れ物を取りに教室に向かう佐々木
佐々木M(ノート忘れた…)
佐々木M(掃除もあるし、鍵開いてるよな?)
佐々木が教室のドアを開けようとすると、
篠塚がカミングアウトする場面に遭遇する
篠塚「俺、実はゲイなんだ!」
佐々木「!?」
鈴木「なんだ。そんなこと…」
鈴木、佐々木がドアの窓から覗いていることに気づいて
鈴木「えっ」
佐々木、バツが悪そうに引き返す
鈴木「あ、ちょっ…」
篠塚「そんなことって……知ってたの?」
鈴木「あ、うん。それは前から薄々…」
篠塚「お前、ほんといい奴だよな」
篠塚「普通ゲイだって知ったら、付き合いやめるよ」
篠塚、感極まりつつ
篠塚「お前が幼馴染でほんと良かった」
鈴木「う、うん…」
鈴木M(こんな状況で言えない…)
鈴木M(たった今、佐々木くんにゲイバレしたなんて)
鈴木M(俊と付き合ってることも勘づいてる(?)みたいだし…)
//廊下
混乱して速足になっている佐々木
佐々木「マジか…」
佐々木M(幼馴染にわざわざカミングアウトするってことは…)
佐々木M(篠塚は鈴木に告白しようと??)
佐々木の中のイメージ図
「風見と篠塚に追い回されている鈴木」が
「篠塚→♡鈴木」に書き換えられる
佐々木M(篠塚が鈴木を好いてるとしたら…)
佐々木M(風見はどうなんだ?)
佐々木、ハッとして
佐々木「三角関係……??」
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