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「幼馴染のBLカップルに挟まれてるんだが!!」(3)【漫画原作部門・創作大賞応募作】

第3話

【Scene1】
//帰り道、夕方
鈴木と篠塚、並んで歩いている

鈴木「今日、部活はいいの?」
篠塚「うん。まだ入部届だしてないから…」
鈴木「そっか…」

鈴木M(昌、元気ない…)

第2話、Scene7から引用
篠塚「俺、実はゲイなんだ!」

鈴木M(簡単に言い出せるものじゃないよな)
鈴木M(佐々木くんのこともあって受け流しちゃったけど、
    ちゃんと話を聞けば良かったかも…)

鈴木、窓から見えた佐々木のこと(第2話、Scene7)を思い出しつつ
鈴木M(気にはなるけど、今は目の前の親友のほうが大事だし)

鈴木「昌、ちょっと寄り道しない?」

//公園

ベンチに座って、俯いている篠塚

自販機でジュースを買って、篠塚に渡す鈴木
鈴木「はい」
篠塚「ありがと…。お金返す」
鈴木「いいよ。これくらい」

2人ベンチに腰掛け、ジュースを飲みながら
鈴木M(どこから話そう…)

鈴木「さっきの話なんだけど」
鈴木「僕は昌を気持ち悪いなんて思ったことないよ」
鈴木「というか、誰をどう好きになるって
   他人がケチつけられることじゃないし」

不安になってチラッと篠塚を見る鈴木
鈴木「……みたいな?」

篠塚、重い口をようやく開いて
篠塚「好きになった人がたまたま男だったっていうのと……」
篠塚「俺がゲイだったっていうのじゃ、全然印象が違うだろ?」
篠塚「浩太みたいな人ばかりじゃないよ」
鈴木「それはそうかもしれないけど…」

鈴木「俊は知ってるの? 昌のこと」
篠塚「何も言ってない」

鈴木M(じゃあ、気づいてないな。あの天然は…)

篠塚「言いづらいんだ。
   俊のことずっとそういう目で見てたって思われたくない」
鈴木「昌……」

鎖骨に興奮する篠塚(第2話、Scene4)を思い出して
鈴木M(そういうわりには隠せてないんだよなぁ)

篠塚「浩太はどうして俺がゲイだってわかったの?」
鈴木「え…」
篠塚「他の人にバレたくないから聞いておきたい」
鈴木「あー……」

鈴木M(どうしてっていうか…)

//回想
テロップ「中学生の時」

プール掃除中の数名の学生

同級生から水を掛けられてはしゃぐ風見
風見「つめたっ! ちょっと~!」

ぽけ~っと風見を見つめる篠塚
篠塚視点
濡れたシャツが肌に張り付く風見のセクシーショット

風見、篠塚の視線に気づいて
風見「ん?」

風見、篠塚の顔を覗き込む
風見「昌、なんか顔赤くね?」
篠塚「(頬染め)えっ!」

風見、篠塚のおでこに手を当て(キラキラ増し)
風見「熱でもあんの?」
篠塚「(赤面、はわわっ!)」

横から篠塚と風見にバケツの水をぶっかける鈴木
風見「うわっ!」
鈴木「ごっめ~ん。手が滑っちゃった~(棒読み)」
風見「ね~、今のでパンツまで濡れたー!」

コマ外から「ちゃんと掃除しろー」と先生の声
風見「へーい…」
篠塚と鈴木から離れていく風見

鈴木、ひと仕事終えた顔で
鈴木「ふぅ…」

鈴木M(夏はほんと危ないな…気を付けないと)

篠塚、胸を抑えて
篠塚「浩太のおかげで助かった…」
篠塚「(誤魔化して)あの…えっと……のぼせてたから!」
鈴木「えー、だいじょうぶー?(棒読み)」

鈴木M(このむっつりめ!)

//回想、ここまで

鈴木M(だから、ぜんっぜん隠せてないんだよなぁ!!)

篠塚「?」
鈴木「や、やっぱ幼馴染だからじゃない?」
篠塚「……そういうもん?」
鈴木「まあ、他の人にはわからないと思うから」

篠塚、ちょっとホッとして
篠塚「そっか…」
鈴木「俊だって気にしないよ」
鈴木「ゲイが嫌なら付き合ったりしないでしょ?」
篠塚「そうかな……」

篠塚「でも、俊には普通に過ごしてほしいんだよ…」
篠塚「ゲイと付き合ってるってバレたら、絶対変な目で見られるし」
篠塚「あいつの重荷になってまで、付き合いたいなんて言えない」

鈴木、遠い目になった篠塚の横顔を見て
鈴木M(実感のこもった言葉だ…)

鈴木M(今、僕がどんな言葉をかけても
    昌の受けた偏見を上書きすることはできないんだろう)
鈴木M(だから昌は俊に同じ思いをしてほしくないんだ…)

篠塚「まあ、バレていいことないし。
   不安要素はなるべく減らしたいでしょ」
篠塚「だから浩太には俊の側にいてほしいんだ。
   今まで通りのほうが俊も楽だと思う」
篠塚「ごめん、我儘で」
鈴木「なるほど。そういう理由で…」

これまで篠塚が柄にもなく必死だったことを思い出す、鈴木
第1話Scene3、鈴木をサンドイッチする篠塚
鈴木M(柄にもなく必死だったな…)

鈴木「ふっ……」
篠塚「なに?」
鈴木「いや、めっちゃ好きじゃんって思って」
篠塚「(笑って)……まあね」
篠塚「あとさ……」

篠塚、どこか負のオーラをまとって
篠塚「もしも俺が休んだ時には俊の女避けになってほしい」
篠塚「あいつ誰とでも仲良くなるし、すぐ女に惚れられるから
   出来れば休み時間はずっと俊に話しかけて
   女との接触を一切絶ってほしい…」
鈴木「重たぁ…」

鈴木「ちなみに男避けはいいの?」
篠塚「男相手なら勝てるだろ。俺、顔いいから」
鈴木「いっそ清々しいな…」

//帰り道、別れ際に手を振る篠塚

篠塚「じゃ…。また明日」
鈴木「うん。またね」

踵を返す鈴木。後ろから篠塚の声
篠塚「浩太」
鈴木「(振り返って)ん?」
篠塚「ありがと」
鈴木「うん」

ぎゅっと握りしめる鈴木の手
鈴木、思い切って
鈴木「大丈夫だから! 僕も俊も昌の味方だから!」

篠塚、やや驚いた後、微笑んで帰っていく
鈴木、篠塚の背を見送って
鈴木「……」

鈴木N「昌がちょっと悲しそうに笑うから」
鈴木N「きっと誰かに理解されることを諦めているんだろうと」
鈴木N「こっちまで切なくなった」

踵を返し、家路につく鈴木
鈴木M(あと問題は…)
鈴木M(佐々木くんのこと、どうしよ…!)

//時間経過

【Scene3】翌日
//教室、授業中

鈴木、板書をしながら
鈴木M(やっぱり直接話すしかないよね)
鈴木M(せめて口止めくらいはしておきたいし)
鈴木M(とはいえ……)

鈴木、顔をしかめて
鈴木M(あの人、苦手なんだよなぁ)

チラッと佐々木の席を振り向く鈴木
佐々木、鈴木に気づいて
佐々木「!」

佐々木、動揺して目付きが鋭くなる
鈴木、サッと視線を戻して
鈴木M(シンプルに怖い…!)

鈴木M(俊にも相談できないし……)
鈴木M(あ、そうだ!)

予鈴が鳴り、授業終わりの小休憩
人がまばらになっている教室

金子、席で伸びをしているとスマホが鳴る
金子「ん?」

鈴木からのメッセージ
「聞きたいことがあるんだけど、ちょっと時間ある?」

金子M(なんだろう?)

鈴木のスマホ画面。
金子からのメッセージ
「もちろん、いいよー」

ホッとする鈴木
鈴木M(連絡先交換しておいて良かった!)
鈴木M(あとは……)

鈴木の席に集まった風見と篠塚を見て
鈴木M(どうやってこの2人を出し抜くか…)

金子、後ろから鈴木の肩を軽く叩く
鈴木「(軽く驚いて)わっ!」

金子、鈴木の手を引いて
金子「いこっ!」
金子「(風見と篠塚に)ちょっと浩太借りるねー」

風見、動揺して
風見「えっ!」

篠塚、呆気に取られて
篠塚「あ、ああ…」

金子に手を引かれ、教室を出て行く鈴木

//廊下

金子「ここまで来れば誰もいないし、
   話すのにちょうどいいんじゃない?」
鈴木「あんなスマートに抜け出せると思わなかった」

鈴木、金子に尊敬の眼差しで
鈴木「実ってすごいね…」
金子「ええ~。なにそれ~」

金子M(浩太、ほんとに大丈夫かな?)

金子「で、聞きたいことってなに?」
鈴木「あのさ…実ってよく佐々木くんと一緒にいるよね?」
金子「うん。中学一緒だよー」

警戒心全開の鈴木
鈴木「佐々木くんってどんな人……?」

鈴木の警戒心にやや驚いて
金子M(智晴、なにしたの?)

金子「どんな人かぁ~」
金子「ああ見えて正義感強いし、真面目で優しいよ」
金子「ちょっと目付き悪いけど」

鈴木「(疑いの目で)へぇ……」

金子M(うわぁ~。全然信じてくれてない)

金子「えっとね、智晴って言葉足らずだし、
   不器用だから誤解を受けやすいんだよね」
金子「でも、普通に喋ってみたら仲良くなれると思うよ」

鈴木「(疑いの目で)ふぅん……そう」

金子M(心の距離が開いた気がするなぁ…)
金子M(だから、浩太に確かめる時はおれも一緒にって言ったのに~)

金子「もし良かったら紹介しようか?」
金子「おれも一緒にいるから、ちょっと話してみなよ~」
鈴木「う~ん……」

鈴木「ううん、大丈夫。ありがとう」
金子「(残念そうに)そう……」
鈴木「1つ……佐々木くんに伝えてほしいことがあるんだけど」
金子「なに?」

鈴木、やや怒気をはらんで
鈴木「昨日のことは全部忘れてって、伝えて」
金子「え、昨日!?」
金子「それってどういう……?」

予鈴が鳴り、教室に戻っていく鈴木
鈴木「教室戻らなきゃ」
金子「あ、そうだね」

金子も教室に急ぎつつ
金子M(あ~。絶対、変な誤解されてるなぁ~)
金子M(どうしようかな…)

//時間経過

【Scene4】昼休み
お弁当を持って廊下を歩く風見、篠塚、鈴木

//人気のない昇降口

風見「ここ、来賓用の昇降口!」
風見「1年のクラスに近くて、人が来ない場所、
   部活の先輩に聞いたんだ!」
風見「ここならゆっくり飯食えるだろ?」

笑顔で振り向く風見
対して篠塚、ムスッとして
篠塚「ふーん……」

鈴木M(昌、機嫌悪いな…)

風見「もー、また昌の機嫌悪い~」
篠塚「だって俊が悪いんじゃん……」
鈴木「えぇ…」

各々座って、お弁当を広げつつ
鈴木M(僕が2人から目を離したのって…実と喋ってた時だけだよね?)
鈴木M(10分くらいだよ? なにがあったの!?)

篠塚「だって俊が女子と楽しそうに喋ってるから…」
風見「しょうがないじゃん。話しかけられたら、断れないでしょ?」

ピカッと光る漫符、ハッとする鈴木
鈴木N「今更だけど、気づいてしまった…」

ヤイヤイ言い合う風見と篠塚を見ながら
鈴木M(この2人、恐ろしく性格が真逆だ…!)
鈴木M(関係……続くのか!?)

#創作大賞2024 #漫画原作部門


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