なごやんイントネーション事件
『なごやん』という銘菓がある。下記のような商品だ。
この銘菓、東海圏では誰しもが「あー、はいはい、あれね」と言うくらいの知名度はあると思う。Wikipediaで見るに東海圏以外でも取り扱いのある地域があるようなので、もしかしたらそれ以外の地域の方も「そういやスーパーで見たことあるな…」という感想を持つかもしれない。
さて、去年ふと『なごやん』の話題を周りにした際に衝撃の事実が発覚してしまった。
『なごやん』のイントネーション、私だけ違う!ということである。
周りは『なごやん』を『岐阜県』とか『価値観』などのような三文字目にアクセントを置くイントネーションで呼んでおり、かたや私は『ヤドラン』とか『富士山』のように一文字目に強くアクセントを置いて後ろを下げる感じのイントネーションで呼んでいるのである。
この際、私のイントネーションの『なごやん』はゆるキャラっぽいと評された。
その後、その場で話していた人以外にもイントネーションについて聞いてみた。紙に『なごやん』と書き、「この銘菓って知ってます?」と切り出し発音して貰う方法だ。10人近くに聞いたが『なごやん』の存在をそもそも知らなかった1人を除き、全員『岐阜県』側のイントネーションで『なごやん』と言うのである。
だがちょっと待ってほしい。『なごやん』は記憶の限りテレビやラジオでコマーシャルを流していた記憶がない。つまり、公式にメディアで音声で乗ったことがない。私はメーカーに電話をし、正しいイントネーションを探ることにした。
メーカーのホームページを開き、お客様相談室の電話番号を調べる。ちなみに同じページによくある質問が羅列してあるのだが、「なごやんの正しいイントネーションについて」という質問が載っていないのは調査済みである。
電話が繋がる。単刀直入に、
「なごやんの正しいイントネーションを教えて下さい」と聞く私。
過去にない相談だったのであろう、電話を受けた担当の方は明らかにうろたえており、保留を挟んだ後に「折り返しご連絡いたします」と言われ、通話終了。その後15分ほどで折り返しの電話がかかってきた。そして公式の回答は以下の通りであった。
「弊社としてはオフィシャルなイントネーションはない、だが社内ではみんな「岐阜県」側のイントネーションで呼んでいる」
電話口の担当の方にお礼を言い、通話終了。事実上、『ヤドラン』側勢力が崩壊した瞬間である…。
だが、この電話の後も私は『ヤドラン』側のイントネーションで呼んでいる。オフィシャルな正解は存在しないからでも、諦めきれないからでもない、もう染み付いて矯正不能だからとしか言いようがないのである…。