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ウクライナから、僕らの足元を照らす

26日土曜日午後、北鎌倉の山を歩いたあと、気になるウクライナのことを調べて、いろんなことを考えていたらお昼から眠ちゃいました。頭も心もオーバーヒート。
ウクライナ、ロシアのことについていろいろ読んで、心に残っているのもあります。それはFacebookのタイムラインでシェアしました。

ウクライナの視点から日本の報道について思うこと、これは知らないことばかり。

https://www.facebook.com/1440594737/posts/10228143761166185/

今度はロシア視点が気になり観ました。これも知らないことばかり。

遠くの世界で起こっていることだけど、ロシアは日本の近くの国。貿易をみれば、ロシアは日本の自動車の輸出先であり、また、LNGの輸入先、海産物も。職場の素敵な同僚もロシア人。
そんな中、「日本人の平和ボケ」、「中国、北朝鮮とこれは他人事ではない」「核兵器を持つことが重要」などの意見もたくさん見ました。

とても重い気持ちの先にあるもの

ほんと重い。
この重い気持ちは何だろう。ここにどんな気持ちやニーズがあるんだろうと自分を観察してみました。

すごく寂しい気持ちがある。人恋しい気持ち、人のぬくもりを感じたいという気持がある。
しかし、それがとても口にしづらい。そんなこと、恥ずかしくて他人には言えないって気持ちがありました。(だから今書いてるんだけど)

でも、冷静に考えれば、これは至って正常なこと。
スタンフォード大学のケリー・マクゴニガル博士(Kelly McGonigal, Ph.D.)のお話を紹介します。

ケリー・マクゴニガル博士
米スタンフォード大学の心理学者。専門は健康心理学。ボストン大学で心理学とマスコミュニケーションを学び、スタンフォード大学で博士号(心理学)を取得。心理学、神経科学、医学の最新研究を応用し、個人の健康や幸福、成功、人間関係の改善に役立つ実践的な方法を提供する講義は人気を博し、スタンフォード大学で最も優秀な教職員に送られる「ウォルター・J・ゴアズ賞」をはじめ数々の賞を受賞。「フォーブス」の「人びとを最もインスパイアする女性20人」に選ばれる。心身相関を重視する立場から、グループフィットネスやヨガの指導も行っている。
TEDプレゼンテーション「ストレスと友達になる方法」は1100万超えの再生回数を記録し、“プレゼンの名手"としても知られる。大学で講義するかたわら講演や執筆活動も精力的に行い、2012年に日本で発行された著書『スタンフォードの自分を変える教室』が60万部を超すベストセラーとなり、ビジネス書の年間ベストセラー1位(2013年、日販・トーハン調べ)に選ばれた。

彼女はストレスに対する研究で、ストレスが問題ではなく、「"ストレスが問題だと思うこと"が問題だ」と研究結果を交えて紹介してくだっています。

要は、ストレスというのは助けになるし、メリットがある。ストレスに関するポジティブなマインドセットが大切。例えば、ストレスがあるからレジリエンスが高まっているとか、健康的になっているとか、そう思うこと。このストレスのメリットを考えているから、現実化していく。

実験で参加者に、例えば、高鳴る鼓動は、行動に備えて準備をしていて、呼吸が速くなっても全く問題ではなく、脳により多くの酸素を送り込んでいると教えたのです。
ストレス反応は 能力を発揮できるように助けていると捉える様になった参加者は、ストレスや不安が少なくもっと自信を持てるようになりました。
でも一番驚くこと事は、ストレスに対する身体的反応の仕方が変わった事です。

普通、ストレス反応では、心拍数が増えて血管はこのように収縮します(血管径が細くなる)。これが慢性のストレスが心臓病と関連づけられる理由の1つです。常にこんな状態でいるのは 本当に健康に良くありません。

しかし研究では、参加者がストレス反応を有用なものと考えられるようになると、血管はこのように リラックスしたままだったのです。 心臓は高鳴ってましたが、心血管がこの状態ならずっと健康的な状態です。この状態は実は喜びや勇気を感じる時の状態に かなり似ています。

まとめると、ストレスが身体に悪いという考え方がそもそも身体に悪い。
「ストレスは避けるように」などストレスは健康に悪いと考えるが健康を悪くする。
もちろん休息は必須。

詳しいことは、彼女のTEDトークや、ストレスの新しい科学 ケリー・マクゴニガルさんによる「ほぼ日」での講義を読んでみてください。

ストレスとオキシトシンの関係

僕が惹かれているのは、ストレスとオキシトシンの関係についてです。

ストレス反応としてオキシトシンが 分泌される。
これは、誰かに支えてもらいたいと思わせる。
感じている事をあなたの中に閉じ込めてないで、誰かに話せと促しているのです。
人生で困難な時には、ストレス反応によって、愛する人たちと 一緒にいたいと思わせるのです。

実はオキシトシンは 脳だけに働くのでなく、体の他の部分にも働きかけます。その主な役割の1つは 心血管系をストレスの悪影響から守る事です。
そして、特に歓迎すべきと考える体への好影響は心臓に起ります。
オキシトシンが 心臓の細胞を再生し、ストレスで起きるダメージを治します。心臓を強くするのです 。

ストレス下の人に手を差し伸べ助けたり、助けられたりすると、このホルモンがもっと分泌され、ストレス反応は健康なものとなり、実は ストレスからもっと早く回復するのです。

こんな研究があります。
経済的惨事や 家庭危機などの 重大なストレスを経験すると 死のリスクが30%増加します。
しかし、他の人への思いやりに 時間を費やした人々には、ストレスからくる死亡の増加は 全くなかったのです。
ゼロです。思いやることが 回復力を作り上げます。

大切なので繰り返します。私達人間はストレスと感じたら、オキシトシンが分泌され、

  • 誰かに支えてもらいたいと思わせる。

  • 感じている事をあなたの中に閉じ込めてないで、誰かに話せと促される。

  • 人生で困難な時には、ストレス反応によって、愛する人たちと 一緒にいたいと思わせる。

だから、「もっと助けてほしい」って僕らは言えるかなんです。弱さを出せるかなんです
そして、僕らは、ストレス下の人に手を差し伸べ助けることはもちろん、助けられたりすると、つまり、支え合うと、このホルモンが もっと分泌され、ストレス反応は健康なものとなり、実は ストレスからもっと早く回復するのです。

だから今のウクライナ情勢について、理解を深めたり、行動を起こしたりすることも重要ですが、もっと、僕らが足元で、お互いに支え合おうとすることってとっても大切に思うんです。

そして、それは僕らの足元から出来ることだと思うんです。

ウクライナに隠れてしまうあなたの足元にこそ光を

ウクライナのことはとてもセンセーショナルです。
一方、その事態になっていない日本で起こっていることがあります。
昨年は、子どもの自殺は、初の400人超で、不登校は19万人以上で過去最多となりました。
これを聞いて、「日本の子どもは平和への感謝が足りない」って思うのでしょうか?平和そうに見えて、親の期待、条件付き愛情によって、追い立てられている、子どもらしい時間が遅れない、自分らしくいられない、、、そんなことが多発しています。学校だけじゃないです。家庭の中でも、パート内シップ間でも、企業の中でも、社会の中でも。

もっと身近なところ、ウクライナのように話題にされないあなたの足元にあることに愛を注ぐことこそ、僕ら一人ひとりにしかできない貴重なことだと思うんです。

これは言葉では説明しづらいので、4分の会話の動画を最後に用意しました。
これは先日開催した「子どもも大人も幸せになるほめ方叱り方ミニワークショップ」の一幕です。

どうして評価ではなく、共感が重要か

僕らは日常的に、「すごいね」「さすが!」「上手!」(おざなりほめ)、「天才!」「頭いいね!」(人中心褒め)を無意識に使ってしまっています。例えば子どもや後輩に使っていませんか。
しかし、言われている側は、嬉しくないんです。”条件付きの愛”だということが伝わっているんです。「すごいね」「さすが!」「上手!」(おざなりほめ)、「天才!」「頭いいね!」(人中心ほめ)の言葉がけで、内発的動機が外発的動機づけに変わっていきます。だからこそ、愛を注ぎ、評価をせずに会話することが大切です。

それを実際に試します。条件付きではなく、無条件の愛情の力を感じられるものです。ご覧ください。

そこで、実際にロープレしてみます

短い動画です。主催した僕も参加者からも感動の嵐でした。
たった2人の3分の日常の言葉のやりとりが、その相手だけでなく、その会話を聞いている周りの人の心を動かすんです!
親役も子役の2人の大人がやりとりします。子どもの気持ちで聞いてみてください。これみてほしくて、ここまで長い話を書きました。2パターンの声かけを紹介します。6分です。

僕はほんとに心奪われました。愛情ってこんなにも偉大なんだって。
これをもっと足元から実現できるようになりたいって。それが本当に世界を変えるって感じた瞬間です。

反戦とは?非暴力とは何か?

今回、ウクライナのことで重く感じていることから考えました。
反戦というのは何でしょうか。暴力に対して暴力に対抗することでしょうか。

今回、経済制裁で最も傷つくのは誰ですか

誰が被害者になるのか?
経済制裁で誰がもっとも困窮するのか?世界トップクラスの富豪のプーチンが困窮するのか?
結局のところ、幼児や母親、非正規労働者、生活困窮者など弱者にしわ寄せがくる。
環境問題と格差の問題は別のように思われるけど、これも同じでは?誰が傷つくの?

だからこそ大切な非暴力。
この非暴力はこの足元の日常からしかスタートすることができないと思うんです。

自己正当化・自己欺瞞

僕たちは、大切な価値観と愛する人を守るためという信念のもと、ぶつかり合い、さらに自己正当化、自己欺瞞を加速させる。
自己欺瞞とは、自分の良心や本心に反しているのを知りながら、それを自分に対して無理に正当化すること。

どうしたら、自己欺瞞に向き合えるのだろうか。
自分が入っている小さな箱から出られるのだろうか。

敵・見方、自己欺瞞、自己正当化を越えられるかこそが大切にしたいことだと思う。

チベット仏教の高僧のお話を思い出い出した。

"いつの時代も幸せを追い求めてきた。過去それが武力であったり、お金であったり、地位であったり。みな探してる。
高僧曰く、幸せとは愛と慈悲。慈悲とは相手の立場に立つこと"

敵・味方を越えたい

苦しいときほど、自己正当化、自分の正しさ証明で勝負するのではなく、お互いの苦しさを話せたらいいのに。話せるようになりたい。
でも、僕らの勝利することのほうが価値がある、負けちゃいけないって価値観がとても邪魔になってなかなかできない。

もっと興味ある人はこちらもどうぞ。その「陽」ばかりを求める現代について書きました。

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木村智浩@ティール組織とオルタナティブ教育
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