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ケーキ!ケーキ!ケーキ! その1 アメリカンショートケーキ

 アメリカはスポンジケーキに生クリームやバタークリームでクリスマスの意匠をデコレーションした日本のようなクリスマスケーキをクリスマスディナーで食べる習慣がないことは以前お話ししましたね?
クリスマスシーズンに贈りあったりするパウンドケーキの一種のフルーツケーキはイブやクリスマス当日のデザートの定番という事もないので食後はサンクスギビングの時と同じでカボチャやサツマイモのパイとか生クリームを使ったデザート類が出されるようです。ドライフルーツと洋酒やナッツをふんだんに使った濃厚なフルーツケーキは苦手という人も多いのでこれからはクリスマスのプレゼントの一つとしてはだんだん廃れてしまうかもしれません。これは子どもじゃなくて親たちがクリスマスの前後からホリデーシーズンの終わる1月初めごろまでコーヒーやお茶といっしょに少しづつ食べていくものですね。
 さて私の大好きな定番のイチゴと生クリームのショートケーキはちょっと昔はアメリカにはありませんでした。今は似たようなものもスーパーで売っているけど。
基本アメリカでは台湾系のケーキ屋さんと日本の大手ベーカリーが進出するまでは日本で食べられるようなショートケーキはなかったですね。
 アメリカに来たばかりのころ「イチゴ祭り」というのに行ってみた所、「Short cake」と書いた看板を発見。喜んで買ってみるとハンバーガーが入るサイズのクラムシェル容器の底にケンタッキーフライドチキンで出されるようなビスケット―今では日本でもいろんな所で売っているけど当時はKFCでなきゃなかった―がゴロンと入っていた。その上にイチゴと砂糖を混ぜ合わせて押しつぶした火を入れる前のジャムみたいなのがドロッといっぱいかかっていて、さらに上にはホイップクリームが大安売りみたいに大量に乗っていた。一目見て多分日本のショートケーキの味はしないだろうと直感。予感的中で薄い塩味のビスケットに砂糖たっぷりの激甘イチゴ果汁がしみ込んでグズグズになったお世辞にも美味しいとはいえない代物でした。『エーッ、何でスポンジケーキじゃなくてパンなの?どうしてそのままのイチゴを使ってないの?』
 先日テレビで放送していたのによると、昔日本人がアメリカで「ショートケーキ」というものを食べて、それを日本人の嗜好に合わせて改良し売り出したのが日本のショートケーキなのだそう。つまりこの歯が悪くなりそうな激甘ジュースでグズグズになったケンタッキービスケットが本家本元のショートケーキなのです。日本のショートケーキとは非常にかけ離れたものです。


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