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長野星撮り旅行

9月30日から10月2日までの3日間車を借りて長野に行った。目的はGF20-35mmF4R WRでの星撮りで、開放の隅でサジタルコマフレアが出るかどうかのチェックという意味合いが大きい。
先行で実機を試した人が動画を上げていて、ちょうど星を撮っていたがぱっと見は綺麗な点で写っていた。しかしコンポジットを含めた加工の有無は分からない。それなら自分で試してみるのが一番良い。

目的地は美ヶ原。午後に向かってその日の夜に撮り、そのまま車中泊。その後戻りながら2日目は山中湖で再び撮って車中泊し、3日目に帰宅というスケジュールを立てていた。
結局はずっと長野にいることになったのだが。

星撮りの成果

GFX50S ll & GF20-35mmF4R WR / 20mm, F4, SS ‘13, ISO8000

結論としては1枚撮りでは微妙、合成素材としては完璧。1枚で完成させるにはどうしてもレンズの暗さと、それに伴うISO感度の上昇がネックとなる。
これが判断に迷うところで、コンポジットさせるなら画角やISO感度を変えずに複数枚撮る必要がある。問題は撮影データが膨れ上がる点で、気軽とは言い難い。

一方レンズの描写性能については何ら不満がなく、開放だというのに隅の星まで点で写っている。

開放F4での隅の描写。サジタルコマフレアは見られない。

この性能については単焦点と同等と言って差し支えないだろう。少なくともXF16mmF1.4Rよりは写りが良い。サジタルコマフレアについてはXF18mmF1.4Rも同じ域にあるが、換算約28mmの画角は案外狭い。

以前美しの塔を入れて撮った時は横構図だとかなり撮りにくかったことを覚えている。その点換算16mmから使えるのは大きなメリットだ。

コンポジットすることで高感度ノイズも目立たなくなるので、合成前提で撮るなら間違いなく最強のレンズと言える。
なお合成した写真は概ね満足できているが、この時はコンポジット前提で撮っていなかったため合成枚数が少ない。満足してはいるものの、見せられるレベルかというと微妙なので1枚撮りしたものを縮小して上げている。

2日目 美ヶ原〜白樺湖

GFX50S ll & GF20-35mmF4R WR / 16mm, F16, SS ‘0.6, ISO100

2日目の朝は道の駅駐車場から見える日の出で始まる。センターGNDフィルターをまだ買っていなかったのを後悔したが、これくらいのコントラストなら現像で何とかなる。

一通り撮ってから移動予定の山中湖の夜間天気をチェックしたところ、出発前の予想から大幅に悪化していた。こうなると目的地を日光に変えるか、長野に留まるしかない。
美ヶ原のデメリットは街まで遠く、コンビニでパッと食料調達できないところくらいだ。しかし今回は移動前提だったのでこのデメリットの影響が大きい。

朝食分を食べ切ると道の駅のレストランが開くまで何も食べることができなくなる。
開店まで4時間以上はあったと思うが、用意していたのは朝食と言ってもあくまで繋ぎでそれまで耐えられる量ではない。
ということで移動を開始した。一番近いコンビニは白樺湖だったので、そこを目的地にしつつ道中の面白そうなスポットに寄り道する。コンビニといっても7時開店なので直行すると時間が余る。

三峰駐車場

GFX50S ll & GF20-35mmF4R WR / 26mm, F22, SS 1/80, ISO100

最初に立ち寄ったのがこの駐車場。茶屋の裏手には展望台があり、視界が開けていて見晴らしがいい。ここは星を撮りに再び訪れることになるのだが、星撮りにも良い場所だった。

ちなみに盛大にゴーストが出ているが、レンズフード未装着なので仕方ない。
まあ太陽を思いっきり画面内に入れているのでフードがあっても変わらない気はするが。

GFX50S ll & GF20-35mmF4R WR / 16mm, F4, SS ‘15, ISO3200

ISO3200程度で済ませられると1枚撮りも現実的になる。稜線直上のノイズは気になるがこればかりはどうしようもない。

茶屋が開いている時間だとそれはそれで良い風景になったが夏の大三角のようなシンボルが入らなかった。時間帯の問題なので、あらかじめ何時ごろに行くべきか下調べする必要がある。

七島八島湿原

GFX50S ll & GF20-35mmF4R WR / 35mm, F8, SS 1/80, ISO100

もう少し霧ヶ峰へ走らせると湿原地の駐車場を見つけた。幸い空きが多く駐車には困らない。時間も7時半だったのでまだ早いし、今年度中に次回があるか分からないので寄るだけ寄っておいた。

遊歩道がところどころ痛んでいて、訪れた際も木板の交換作業をしていた。朝早くからご苦労なことである。
ぐるっと回るだけでも2時間くらいかかったのと、空気は涼しくても直射日光が暑かったのでしっかりとした装備で固める必要がありそうだ。

ちなみにGF20-35mmのフードは今回留守番させている。風景を撮るときには角形NDフィルターを使うことが多いので、逆付けしていても邪魔だからという理由からだが画面外に太陽があってもゴーストが出た。
フードが本体より一回り以上太いので収納性に難が出るが、日中に使うなら確実にあった方が良い。

GFX50S ll & GF35-70mmF4.5-5.6 WR / 70mm, F8, SS 1/60, ISO100

風景としても綺麗だし、草花を狙うこともできる。所持しているGFレンズを全て持っていったのは正解だったが、遊歩道上で立ち止まるのはやや気が引けた。
右上の建物あたりに入り口があったはずだが、正反対のここまでおよそ1時間弱。その間に何回追い抜いてもらっただろうか。

欲を言えばここで星を撮りたかったが、入り口の時点で暗すぎたことと時折獣の鳴き声がしたことで駐車場から離れることはできなかった。

ビーナスライン霧ヶ峰富士見台

GFX50S ll & GF20-35mmF4R WR / 30.3mm, F8, SS 1/125, ISO100

霧ヶ峰のイメージは過去のWindowsの壁紙だったが、山は季節の移ろいが早い。青々とした風景はなくススキが色づいていたことと、グライダーを飛ばす人たちで賑わっていたことから少し走らせて富士山が見える駐車場に停めた。

120mmでも撮っているが、どちらもフィルムシミュレーションはクラシッククロームを選択していた。後になって思うのだが、こういうモヤっぽいシルエットはエテルナブリーチバイパスで撮ると水墨画のような雰囲気になって印象的だ。

夜はあいにく富士山が隠れ、写り込むススキもかえって余計になったのでここはパスすることになった。

白樺湖

GFX50S ll & GF120mmF4R LM OIS WR / F20, SS 1/50, ISO100

厳密には白樺湖展望台駐車場からの写真だが、白樺湖としてしまって良いだろう。大きさはさほどでもないが湖上の島に生える白樺が美しい。ホテルが工事中でどうやっても大型クレーンが写り込んでしまうのが少々残念ではあるが、調べてみたら奥日光よりも近かったのでこれからも来ることはあるだろう。

ここでの目的は食事と風呂。ここまでちょくちょく寄り道したおかげで温泉の開館10分前くらいに到着できた。ひとまず先に体を温め、夜までどう過ごすかは風呂上がりに考えることにした。

一番風呂は気持ちが良い。それが温泉なら尚更。
ぬるくはないが熱すぎない絶妙な湯加減で、1時間ほどのんびり過ごした。ちょうど昼前になっていたが、近場はカフェか蕎麦屋ばかり。朝が軽食だったのでここでガッツリ食べておきたいと思い、池の平レイクサイドプラザ内のレストランに入った。

X-Pro3 & XF18mmF1.4R LM WR / F3.2, SS 1/1000, ISO160

蓼科牛のステーキ丼をいただき、その後の行き先を検討する。調べてみると近くに蓼科大滝があった。GF20-35mmの使い勝手を試す上で滝は必須。日光で試そうと思っていたが、思いのほか早いタイミングでチャンスが巡ってきた。

蓼科大滝を目指して

GFX50S ll & GF20-35mmF4R WR / 20mm, F8, SS 1/6, ISO100

Googleマップでは滝の南側に遊歩道のマークがあったのでそこを目指したが、着いてみたら滝は遥か崖下でおまけに駐車場はなし。とても山道を降りる気にはなれなかったので車に戻り、周辺を探してみると蓼科大滝駐車場が滝の下流に見つかった。

こちらから行くのが正解ではあったが、結論から言えば道がだいぶハードでトレッキングシューズも持ってきておいた方がよかったと思うレベルだった。
目的地を同じくする人たちが何名かいたため精神的には楽だったが、単独で行くなら熊鈴が欲しくなる。

それにしても広角端の換算16mmとはいえ、1/6秒でしっかり止めてくれるのだから手ぶれ補正はありがたい。

GFX50S ll & GF20-35mmF4R WR / 20mm, F4, SS 1/15, ISO100

木々の大きさや形状に迫力がある。進路上でないのが本当に救いだ。もっと寄ったり引いたりして画角を吟味したかったが、ちんたらしていると他の観光客がいなくなる。
タヌキなら可愛い程度で済むが万が一イノシシやクマに遭遇したらと考えると自然にできた集団からはぐれることは避けたい。ここも後輩を連れてくることにしよう。

GFX50S ll & GF20-35mmF4R WR / 20mm, F16, SS '2.5, ISO100

滝は高さこそないがそこそこな幅と滝壺の岩による幾筋もの流れが綺麗だった。だったが、先述の恐怖もありギリギリの場所に三脚を立てる度胸はなくなっていた。

年始の秋保で撮った時は雪がこんもり積もった岩の上に三脚を立てていて、足を滑らせたら寒中水泳という状況だったというのに。

白樺湖〜2日目の星撮りへ

白樺湖で時間を潰し、日没が迫ってきたタイミングで元来た道を戻って三峰駐車場へ。だいぶ長くなったので撮影地のみ。

GFX50S ll & GF120mmF4R LM OIS WR / F20, SS 1/125, ISO100

白樺湖展望台

GFX50S ll & GF120mmF4R LM OIS WR / F16, SS 1/250, ISO200

ビーナスライン霧ヶ峰富士見台

GFX50S ll & GF20-35mmF4R WR / 20mm, F14, SS 1/30, ISO100

ビーナスライン霧ヶ峰富士見台

GFX50S ll & GF20-35mmF4R WR / 25.2mm, F16, SS '0.4, ISO100

三峰駐車場

再び三峰駐車場

GFX50S ll & GF20-35mmF4R WR / 20mm, F4, SS '15, ISO3200(コンポジット)

三峰駐車場から2日目の星撮りはスタートした。まず茶屋の裏手を登って三峰山方面にカメラを向ける。稜線直上のノイズはやはり気になるが、茶屋と灯も星も両方満足するレベルで写せたのはGFXのダイナミックレンジがあってこそだろう。

GFX50S ll & GF20-35mmF4R WR / 20mm, F4, SS '15, ISO5000

七島八島の駐車場でのファーストショット。エヴァっぽい雰囲気で気に入っているが、やはりカラーノイズが気になる。それでも天の川が分かるくらいには撮れているし、縮小状態で見る分にはノイズも目立たない。
プリントの限界は2Lまでだろう。A4だとノイズの方が気になってしまいそうだ。

こういうロケーションでも空と地上をはっきり認識できるのだろうか。まあ人工物なのでブラシを使って選択すれば良いのだが。

GFX50S ll & GF20-35mmF4R WR / 20mm, F4, SS '15, ISO4000

次は車山肩駐車場。ロケーションは本当に最高だった。しかしISO 4000だったにも関わらずノイズの出方がひどい。
基本的に日記以外の写真は全て現像後のものを使っているが、ノイズを除去してこのレベルだ。コンポジットできるほどの量を撮っていなかったのが失敗ではあるが、地表との境目がハッキリしないので空の判定を間違えるかもしれない。




GFX50S ll & GF120mmF4R LM OIS WR / F22, SS 1/160, ISO100

そんなこんなで撮り終えて、どこか適当な駐車場で寝ようと思ったがなかなか寝付けず。それなら早めに高速に乗っちまえば深夜割があるしお得だな、と考え諏訪湖SAで仮眠を取ることにしたのだが寒いとまではいかない絶妙な気温だったため装備が合わず。

快適に寝るなら高原の方がむしろ良かったかもしれない。帰りは時間に余裕があったのでSAやPAに寄り道しながらのんびり走った。
双葉SAの展望台は工事をしていて登れなかったが、下り側の展望スペースからは綺麗に富士山が見れたので良しとしよう。

こうして振り返るとけっこう回っているはずなのだが、2日目の昼過ぎから夕方まで白樺湖で仮眠したためあまりガッツリ撮り歩いたという印象がない。湿原と滝の2箇所だけでも十分撮り歩きはしていたはずだが。

美ヶ原まで行こうとすると時間も距離も気軽ではなくなるが、白樺湖までに留めれば退勤後の移動も現実的なラインになること。何よりGF20-35mmの有用性を実際に確かめられたことが最大の収穫だった。
改めて日光の滝も撮り直しをしなければ、と思ってはいるが今月は連休がもうない。今年の年末は久しぶりに日光にするのも良いかもしれないな。

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takahasu
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