XF18mmF1.4 R LM WR
このレンズは5月に発売されたばかりの新顔だ。購入したのは6月頭なので、かなり早く手を出したことになる。
もちろん理由はある。1つは描写性能。
MTF曲線を見てもXF16mmF1.4から大きく改善されていることがわかる。
また開放から点を点として描写するという海外レビューを見たことも影響している。16mmを星撮りに使っていたが、星のような点光源を開放、それも画面全域で写すには収差が厳しいと言われていたし、実際端は厳しい。だが開放の端が厳しいのは当たり前でもあるし、他の選択肢がないので16mmを使っていた。
だが開放の画質や点像が改善されたとなれば話は別だ。
もう一つの理由が画角だ。
焦点距離は35mm換算で27mmだが、これはiPhoneの標準カメラに近い。慣れている画角で光学的なボケを得られ、かつ隅の画質も良い。
実際に使ってみるとたった2mmの差だが、使いやすさはそれ以上の差を感じた。
何というか、16mmは広すぎるのだ。10-24mmの広角端と比べれば狭いが、それでもファインダーを覗いたときの視界の広さにはやや驚く。
そして展望台などでは余計なものを除去しきれず出番がないこともあった。それに関しては10-24mmで対処する予定だが、見慣れた画角ということは咄嗟に判断しやすい。
単で行くか、ズームに変えるかという選択に時間をかけずに済むので被写体に集中しやすいと思う。
こうして風景のように撮ることもできるし、
少し距離を詰めればスナップになる。
最短撮影距離とF値を活かして寄るのも良い。
実に万能だ。そういった守備範囲の広さはXF16mmF1.4にもあったが、スナップの撮りやすさは断然18mmにある。
焦点距離は2mmの差だが、スナップになるよう寄るには物理的な距離よりも心理的な距離がネックだった。18mmなら一歩だが、16mmだと二歩、という印象。
35mmで撮り続けていると18mmに変えたときにその広さにやや驚きはするが、感覚のズレが修正しやすい。
Ⅹ-Pro3 × XF18mmF1.4 ( F1.4 SS10秒 ISO1600 )
先日の美ヶ原では予想以上の描写をしてくれた。
左上を拡大しているが、開放からほば点になっている。非点収差は現像でも補正が困難なので収差の少ないレンズを使うのが手っ取り早い。
その点で言えば全く不満のない写りをしてくれる。画角は少々窮屈だが、これより広角になると暗いレンズになる。
星をどう撮りたいかになるが、赤道儀を使わずにISO感度を抑えて撮るなら明るさは大正義だ。というか赤道儀を使うのであればXF10-24mmがベストで、単焦点にこだわる必要はなくなる。
X-Pro3 × XF16mmF1.4 ( F2 SS20秒 ISO1000 )
露出設定が違うので単純な比較はできないが、16mmでも星を撮っていた。
1段絞ってISOも抑えているので露光時間は倍の20紗になっている。それを差し引いても流れる方向とは別の向きに光が伸びてしまっている。当然左上だけでなく、右上にも同じように収差が発生していた。
絞ることで劇的に改善するとは限らないが、開放よりは断然有利になる。それでこれだけ差があるのだから、星撮りに持ち出すならどちらが良いかなど自明だろう。
圧倒的な描写力と絶妙なサイズ感、そして馴染みのある画角。汎用性が高いので35mmの次に持ち出す機会が多いレンズだ。35mm同様に18mmもよりコンパクトなF2が存在するが、光学性能の高さや使用環境の選ばなさはF1.4に軍配が上がる。
ことこのレンズに限っては、何を撮るかよりもどう撮るかを先に考えた方が良いように思う。