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【サラリーマン生活回顧②】ホワイトとブルーの狭間
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単純な動機で安直に決めた就職先であったが、2年も同じ職場で働くうちチャンスがあれば辞めてやるという発想は徐々に薄れ、徐々に仕事のやり甲斐が見えつつあった時期の異動辞令には少々戸惑いもあった。
職場の先輩たちもよちよち歩きの新入社員を見捨てることなく指導してくれるし、生産ラインや輸送に携わる人たちも乱暴ながらも声をかけてくれるようになっていて、むしろ現職場に愛着が湧いてきていた。
一方、当初志望していた営業職の担当者は出先から電話してきては「どこ向けのアレ、納期を早めてくれや」とか「おめえは俺の言った通りに出荷しておけばいいんだよ」などと、何処か上から物を言ってくるのが鼻につき、当初の志望とは逆に営業には行きたくないなぁとも思っていた矢先の営業配転であった。
当時はまだ学歴社会の色が濃く、ホワイト・ブルーの区分けも明確であった。
私が主に仕事で絡んでいたのはブルーの方々で、勤務時間の殆どを決められたルーティンでこなし、定時になれば次のシフトの担当者へ申し送りして1日を終わるという淡々とした日課をこなしている人達であった。
ところがこうした人達とたまに帰りに一杯酌み交わすと杯を重ねるごとに本音とプライドが覗き見える。
「営業のアイツ、言い方が高飛車なんだよな」「だいたい無茶ばっかり言ってくるのは○○ばっかりだよな、ほとんどあいつのチョンボの尻拭いなんだけどな」などの愚痴から始まり、その時点ではひよっこの私も同調できるネタなのだが、やがて「俺たちの品質へのこだわりはどこのライバルにも負けない」「やがてウチを日本一の会社にしてやる」と、昼間の無口なキャラクターが一転野望を話し始める。
「キミも営業に行くんだろうけど俺たちが縁の下で支えてることを忘れないようにな」
と激励され、「今日は俺の奢りだ」と最高にカッコいい締めで別れる。
そのくせ次の日のは詰所で爆睡しているような憎めない人達だ。
こういう人達の声が客先にも聞こえる営業マンになろう!と、まあまあ酔っ払って誓った私なのだった。
現職場を去りがたいもう一つの事情は、実は隣の席のアシスタントと毎日残業しているうち懇ろになってしまい、交際していたのだった。(結局その人が今の嫁さんなのだが)帰りは車で送るついでにほぼ毎日プチデートしてたのが出来なくなるではないか→こちらの事情の方が大きかった。
結局私は今風に言えば「うわついたチャラ男」だったのではないか。