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noteで学べるシステマ講座 第33回「システマ呼吸法ガイド」
システマにはさまざまな呼吸法があります。
今回はどんな呼吸法があるのか整理してみたいと思います。
並べてみるとそれぞれが別個のものではなく、ひとつの方向性に沿ったものであることがわかります。
ブリージング
鼻から吸って、口からフーっと吐く。
最も初歩にして極意の呼吸です。インシデントに直面した際のファーストエイドとして用います。身体的緊張や心理的動揺が感じられたら、すぐにこのブリージングをしてやわらげるのです。システマによって人生を好転させるだけなら、この呼吸法で十分です。
できたかできないかの判別は「ラクになったかどうか?」
怒りや不安が客観視できた、なんだか体が軽くなった、視野が明るくなったなどなど、呼吸によって生じた小さな変化を見つけてください。変化があまりに軽微で気のせいだと思ってしまうかも知れません。大切なのは小さな変化の積み重ねです。塵も積もればなんとやらで、積み重ねることで大きな変化になりますし、繰り返すごとに経験を積んで呼吸法の効果も高まっていきます。
ブレスウォーク
どこでもできるエクササイズとして、歩きながらブリージングする「ブレスウォーク」があります。
ミカエルのセミナーでは冒頭に決まってやる定番のワークです。呼吸によって体の内側と外側の両方をリラックスさせてセミナーの準備を整えることができます。セミナーで指示されるのは、「1歩で吸って1歩で吐くところから始め、徐々に歩数を増やし10歩で吸って吐くところまで続ける。続いて1歩ずつ歩数を減らす」というものです。
通勤通学の際にやっても良いですし、ジョギングでやるのもOKです。セミナーでは体育館を1周するごとに歩数を増やしますが、街なかなら電信柱や横断歩道などを目安にするのも良いでしょう。
これは吸うと吐くのバランスを変えることでさまざまなバリエーションを生み出すことができます。
3歩で吸って7歩で吐くように、吐くほうを多くすればリラックス効果が高まります。反対に7歩で吸って3歩で吐くように吸う方を多くすれば活性化の効果が強調されます。その例としては1歩吸う&9歩吐く→2歩吸う&8歩吐く、のように計10歩の中で比率を変えていくやり方もあります。10歩にこだわらず、体力や狙いに応じて合計の歩数を変えることも可能です。
バーストブリージング
フッフッフッフッと小刻みに行う呼吸法です。通常のブリージングでは回復が追いつかないような強い負荷、継続的な負荷に用います。
しばしば誤解されるのですが、これは小刻みに吐くのではありません。毎回吐くたびに同じだけ吸っています。慣れないうちは意識的に吐いた分だけ吸うようにします。そのためそれほど早いペースで呼吸することはできませんが、気にせず続けましょう。
「バーストブリージングをやると苦しくなる」という質問をしばしば受けますが、だいたい吸いすぎか吐きすぎです。吸ったまま吐けていないか、吐きっぱなしで吸えていないのです。
先輩方の真似をして無理にペースを速めるとそうなりがちなので、自分がラクになるペースを目指してください。目安は呼吸の振動が全身に伝わるのが感じられるペースです。闇雲に呼吸だけ早くしてしまうと、呼吸の力が空回りしたアイドリング状態のエンジンのような呼吸になってしまいます。
慣れてくると吐いた反動で自然に必要なだけ空気が入ってきます。そうやって吸った反動でまた吐くこともできます。それを小刻みに続ける感覚がつかめると、バーストブリージングの効果を体験できるでしょう。
スローエクササイズ
バーストブリージングを相性が良いのは、スタティックエクササイズやスローエクササイズといった、継続的な負荷がかかるエクササイズです。筋力の限界を超えたあと、呼吸の力を引き出すために用います。
もともと小刻みにする呼吸の名称は不明だったのですが、2007年あたりからトロント本部のセミナーで「バースト・ブリージング」という名称が使われ始めました。私は07年にNYの国連ビルで行われた式典にミカエルらと参加したアヤインストラクターから、その名称を教わりました。もしかしたら書籍「Let Every Breath...」を制作するにあたって呼称を整理したのかも知れません。
ブレスホールド
息を止めるという負荷を用いて心身を強化する呼吸法です。どれだけ呼吸の練習をしても必ず心は動揺し、息が詰まることはあります。そこからいち早く、確実に回復できるようにするために用います。息を止めている間に生じる身体的変化が、強い恐怖心に伴う変化と類似しているため、恐怖心を克服するエクササイズとしても位置づけられています。
息を止めている最中に4大エクササイズなど各種ソロムーブやプッシュ&ムーブなど対人ワークを行うのが一般的です。息を止めている時のエクササイズ、息の止めかた、回復の方法などの組み合わせでバリエーションを生み出すことができます。
息の止め方1…吸って止める 息を吸うことによる身体を活性化させる働きが促されます。身体を覚醒させる効果があることから、午前中にやることが推奨されます。
息の止め方2…吐いて止める 息を吐くことによるリラックスの働きが促されます。エクササイズ後に心身が鎮まり、回復に適した状態になることから夜や就寝前にやることが推奨されます。
息の止め方3…中間で止める 鼻から息を吸い、口から軽く吐いて止めます。軽く吐いて自然に呼吸が止まるところが「吸う」と「吐く」の真ん中です。そこで息を止めてエクササイズをします。身体への負荷がもっとも低く、時間を選ばないのでもっとも使い勝手の良いやり方です。
静的回復…スタティック 寝たり座ったりして、回復に専念します。身体の変化をつぶさに観察し、回復の方法を身につけるのに適しています。
動的回復…ダイナミック 歩いたり、エクササイズをしたり、対人ワークを行なったりなど、何らかのアクションと同時進行で回復します。回復に専念する時間がない時でも、行動しながら回復できる能力を身につけるのが主な狙いです。
スクエア・ブリージング
昔から行われているブレスホールドエクササイズとして、「スクエア・ブリージング」があります。歩きながら「○歩吸って、○歩止めて、○歩吐いて、○歩止める」という4段階のサイクルを繰り返します。○のところは1歩から始めて徐々に歩数を減らします。通常10歩まで、息が続く人はもっと伸ばしてもかまいません。
また初心者や高齢者向けに負荷を軽くする場合には、「吸う、止める、吐く、吸う、止める、吐く」の3段階にすることも可能です。
これは2006年のシステマジャパンのトレーニングでもやってたので、かなり前から行われているエクササイズと言えるでしょう。2009年のモスクワ本部国際セミナーでは1週間かけてさまざまなバリエーションを学びました。
ライトブリージング
軽い呼吸です。通常の呼吸やバーストブリージングと同じく、身体で呼吸の作用を感じながら、出し入れする空気の量を減らしていきます。わずかな呼吸を全身に通すようにします。
全身に通す…全身に呼吸を通すフィーリングを残しつつ、出入りする空気の量を減らします。わずかな呼吸でも呼吸法の効果が得られるようにします。なにかの下敷きになったりなど、通常の呼吸が困難な状況でも窒息することなく生き延びる能力に繋がります。
鼻先で…意図的に全身に通そうとせず、鼻先だけで吸って吐きます。全身に呼吸がめぐる状態を維持しながら、呼吸を通そうという意図的な工夫を捨てます。
第2の呼吸
意図的な呼吸が消え、受動的な呼吸となります。ここまで呼吸が動作を導いたのに対し、動作が呼吸を導くようになります。それまでの全ての呼吸法と逆のことが行われます。
祈りの呼吸
ミカエル曰く「クローズドスクール」の呼吸です。これに関しては縁の問題があるので、詳述しようにもできません。こちらの記事に関連したことを書いてます。
呼吸法の進展
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