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noteで学べるシステマ講座特別編 創始者との対話Vol.7「What is Systema?」前編

創始者との対話Vol.7「What is Systema?」20200803配信のテキスト版

後編はこちら

注)本編には宗教的な思想にかなり踏み込んだ内容が含まれています。そのような内容に抵抗のない方のみお読みください。

システマの独自性

ほかの武術とシステマでは何が大きく異なるのでしょうか?

M(ミカエル):システマには武術としての側面があります。でもそもそも武術とはなんでしょうか。かつて戦士たちは自分自身を守り、自分の家族を守り、自分たちの教会を守っていました。そのために武術を練習し、独自の「秘伝」が生まれました。ほかの武術や新たな武器についても学び、その秘伝はどんどん改良されていきました。

別の言い方もできます。陰陽、善悪のしるしがあります。武術の中には悪を推奨するものもあります。その対極には別のものが存在しなければなりません。システマでは肯定的なエネルギーを高めます。武術における善の極地にシステマはあります。悪をもたらす武術のもっとも対極にあるものです。だからこそ私たちは攻撃ではなく護身について学びます。自分を守る術を学ぶのであり、必要以上に攻撃することを学んでいるのではありません。

陰と陽、善と悪

先ほどミカエルが「陰陽」について語っていましたが、ロシア正教にそのような教えがあるのですか。

M:十戒は肯定的です。私たちはこれを遵守するのみです。善悪のバランスは必ずしもとれているわけではありません。バランスがどのようにできるかご存知ですか? 神と無神論などのような神と相反するもののバランスです。殺してはならない、盗んではならないといった十戒を守るのが善、破るのが悪と言えます。

T(北川):システマは、悪いものを善いものに変えるということでしょうか。

M:はい。システマは善いものであり、悪を善に変えていきます。大海に落とされる一滴の聖水のようなものです。その聖水のおかげで、海全体が浄化されるのです。「愛」と「嫌悪」という二つの異なる感情が存在しています。一方はポジティブで、他方はネガティブです。そしてシステマは、愛と善をもたらしてくれるものです。同時に私たちは世界を暗くするものも持ち合わせています。もし世界を暗くするものを私たちが持ち合わせていなかったら、世界は非常によい場所で、すべては素晴らしく、みな幸せで、健康でいられることでしょう。善と悪について詳細に解説しているのはシステマの他にありません。そのほかの武術もすべて善と悪について語ってはいますが、詳しいところまでは語っていません。

システマは、世界に落とされる一滴のしずくであり、世界をより良くしてくれます。ほかの武術は、攻撃やネガティブな感情、暴力のような、ネガティブな事がらを練習するのみです。システマはどのようにして自分自身を守るか、自分の家族や近しい人たちを守るかを学びます。したがってシステマは善の上に成り立っているのです。そしてこれは暴力を推奨しない、世界でたった一つの武術なのです。

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