noteで学べるシステマ講座 第102回「指導者へのアドバイス byミカエル・リャブコ」
noteで学べるシステマ講座 第102回「指導者へのアドバイス byミカエル・リャブコ」
司会:今日はインストラクターワークショップということで、これからインストラクターになる人、目指す人に対してのアドバイスをお願いします。
ミカエル:インストラクターになるために何をすればいいか、という質問でよろしいでしょうか。
司会:はい、そうです。
ミカエル:インストラクターになるために、まず必要なのは「伝えていきたい」という気持ちです。同時に、私たちが目指すべきインストラクター像はただ知識を伝えるだけありません。もちろん知識は必要です。知識がないままインストラクターになるのは無理ですが、その知識をどのように考えるか、ということです。私たちはみな自分の経験や知識といった大きな荷物を背負っています。その荷物袋にはさまざまな人から得た、さまざまな知識が入っているでしょう。そのような荷物を、私たち一人ひとりが持っているのです。
それを踏まえたうえでシステマについて考えると、システマには他の武術や格闘技とは異なる点があります。一般的に格闘技の中で優秀と言われる人たちは、まず一つ目のパターン、続いて二つ目のパターンというふうに、動作のパターンを習得します。その一つか二つに特化して優れた人が、秀でた人とされます。彼らはそのパターンの有効性を誇示し、それこそが素晴らしい技術であると宣伝して広めていきます。その結果、同じことのできる人を量産しようとするのです。ですから、生徒たちそれぞれの個性については考慮されません。その人自身に適したことではなく、作った人が教える通りにやらねばならない、というパターンができあがっていくことになります。
しかしみなさんご存じのように、人の個性や能力はそれぞれ異なっています。そして私たちは日常の中、戦いの中においても、その人に合った方法、その人の能力によってできること、一番それに合ったことが実際の現場では使われなければなりません。でもそうではなく、それを無視した型やパターンが教え込まれていくという図式が出来上がっていくのです。通常の武術を教える人たちは、自分の好みや考えと似た人を集めます。同じ人なので、教えやすいという状況が出来上がり、それによって同じような人々がもっと増えていくことになります。
伝えるべきもの
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