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かみさまほとけさま
木造で、座っていて、二重瞼の千手観音を見た。
国の重要文化財が実家の隣町の総合支所で一般公開されていた。
観覧室はテレビで見る銀行の金庫のような分厚い扉の向こうにあった。
近づくとそれは厳かに開き、同時にガラスの向こうの観音様がゆっくりとライトアップされた。
そんなすごい仕掛けになっているとは知らずになんの気なしに入ってしまったので、気持ちを入れ替えてもう一度入り直した。
観音様はこっちを見ていた。
見にいったのに見られている。
なんとなくすぐに手を合わせてみた。
見えるすべての角度から凝視した。
ちょっと難しい解説パネルもじっくり読んで、気が済んだので観覧室から出た。
椅子に座って延々と流れる町の歴史と文化の映像を見た。
最後のほうは小さな子供でも分かるような説明だった。
千手観音はどんな人も救ってくれる。
さっきはご利益のことなど気にしないで見ていたけど、その言葉が引っかかってやっぱりもう一度観覧室に入った。
そんな欲だらけのわたしをも救ってくれるのだろうか。
寝る前に主の祈りを唱え、節目や気が向けば神社にお参りに行くわたしですが、そのたくさんある中のどれかの手で救ってください。
よろしくお願いします。
図々しくて申し訳ありません。