敗因
有休とってゲーセン行った。
韻踏んでる。
好きなクリエイターさんのキャラクターがクレーンゲームの景品になったと知り、今年は楽しいことを探すのに必死だったのでここぞとばかりに意気込んで行ってみた。いい歳して。
クレーンゲームなんてかなり久しぶりだが昔はけっこう得意なほうだったから少し甘く見ていた。たくさん手に入れる予定でバッグも準備して行った。
平日の街の中心部のゲームセンターは閑散としていて入りやすかった。若者で賑わっていたら躊躇したかもしれない。
ゲームセンターの1階フロアはほとんどがクレーンゲームだった。探すより聞いちゃおうと店員さんに尋ねると、ここですとすぐ目の前に黒いくまたちはいた。
ビニールに包まれた小さなくまは滑るし輪っかも引っかからない。裸の太ったくまはあんな隙間に落ちるはずがなかった。
店員さんのアシストも甲斐なく途方に暮れ、最後の最後にかなりのおまけをしてもらって高額なマスコットを手に入れた。手にした嬉しさよりも自力で取れなかった悔しさのほうが少し優っていた。往生際悪く最後の最後にチャレンジした太ったくまはびくともしなかった。太りすぎなんだよ!と差別にもなりかねない暴言が出かかったが、そこが彼のかわいいところなのだとハッとしてごめんねと思った。
電子マネーが使えて便利だったが、残金がその場で表示されないのでいくら使ったかわからなくなった。最初はカウントしていたが、あるスイッチが入ったとたん忘れた。
結局買った方が安いんじゃないのというくらいの出費だったがこれは非売品だ。フリマアプリで並んでいるものは値段に反比例して価値なく思える。取る過程も大事だと思うからだ。
ランチは諦めてデパ地下でお弁当を買った。
レジ袋有料ですがどうなさいますか?と言われ、たくさんの景品を入れるはずだったバッグを取り出した。
そのとき敗因が分かった。
そのバックはお弁当を入れるためのものだったのだ。
そのバッグを見て店員さんに笑って貰えたのがせめてもの救いだった。