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「碁の交わり」1分半の短編私小説

https://www.youtube.com/watch?v=T1QWfHAy8aI

ヒカルの碁に影響受けたのが当時小6、ガラケーでオンライン囲碁ばかりしていた。

中学に上がり朝の読書の時間は詰碁の本に齧り付き、「山本くんは渋いねえ」なんて担任のおっさん教師に笑われていた。

中3になり俺は同じクラスで囲碁将棋部部長を勤めていた安松に碁の勝負を持ちかけた。 普段から彼の知識量、クソ真面目な雰囲気に嫌気が差していたのだ。

もっとも、単なる僻み、嫉妬なのだが、私にない知性を持っている彼の鼻を明かしたかった。 彼は半笑いで俺の申し入れを受け入れた。休み時間30分で勝負がついた。

俺は勝ったのだ。

彼はその後、ラサール高校に現役で合格し俺は偏差値40そこそこの地元の高校に進学した。
その後、彼は内科医として広島の大学病院に勤め、俺は工場に勤務して年収200万円台のまま30歳に突入した。

今でも時折り、碁の本を読む。
その度に、俺は自分の道をどこで間違えたのかという自問自答と、彼の人生と自分の人生が交差する可能性を夢想している。

そんな自分を哀れにも思うし、同時に、あの時勝負に挑んだことを誇りにも思う。

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