第一話:叩いてみた動画を投稿してたらいつの間にかドラム音源を作っていた件について
ドラマーのドラマーによるドラムが大好きな人のためのドラム音源
ドラム音源作ってます。あーさーです。
いわゆる叩いてみた動画のクオリティアップのためにあれこれ機材を揃えていたらいつの間にかドラム音源が作れるような環境が整っていたのでドラム音源を作ってみることにしました。
この記事では自分が制作しているドラム音源TKDシリーズの解説をしていきます。
どんな音源なのか
頭の中で鳴っているそのままのドラムを打ち込むことに特化したドラム音源です。
既に皆さんが使用しているドラム音源と似たような音源を作ってもあまり意味がないのでドラムをDAW上で演奏しているような感覚で打ち込める音源を作ることにしました。
要は楽器のように演奏ができる音源です。
~と~の間の音が欲しい!と思ったことがある方には特におすすめ。
TKDシリーズの特徴
TKDシリーズには大きく三つの特徴があります。
1.表現力が高い
2.音が良い
3.ドラムの音そのままを音源化
これらを実際に音を聴きながら解説していきます。
1.表現力
TKDシリーズで一番新しい音源のT.K.D.-YD1-Extremeのキーマップがこちら
特にハイハットはクローズとオープンそれぞれ音色が4つあります。
ハイハットはペダルの踏み方でシンバル同士のこすれ方が変わり無段階で音が変わるため特にこだわって収録しています。
これらを駆使すれば下の動画のような人間が演奏しているようなハイハットワークが可能です。
また、基本的に太鼓類とハイハットは127ベロシティレイヤー全てに別のサンプルを設定しています。
スティックを打面に置いただけのような小さな音から、ヘッドを打ち抜くような力任せに叩いている音まで収録。
127レイヤー全てを使用してレイヤー間の音量差を限りなく小さくすることで繊細な音量コントロールが可能です。
そして音量のコントロールと奏法(打点)による音色変化を組み合わせることで思い通りのニュアンスで打ち込めます。
頭の中で鳴っているそのままの演奏を打ち込みで表現することが可能です。
2.音が良い
一言で音が良いと言っても良さの定義が難しいのでここではMixで都合の良い音という視点から解説します。
Mixの経験がある方は「音の棲み分け」という言葉を聞いたことがあるでしょう。特にリズム隊であるドラムとベースの棲み分けで苦労している方もいらっしゃると思います。
TKDシリーズはドラムが本来いてほしい帯域で鳴っているため、ベースや他のパートを邪魔しにくいドラム音源です。
実際にどの程度違うのか以前打ち込みの依頼を頂いたantinomyさんのデモをお借りして比較してみます。
前半はデモで頂いた打ち込みドラム、後半はT.K.D.-YD1-で打ち込んだドラムを鳴らします。ドラムが鳴っている位置とドラム以外のパートの聴こえやすさに注意して聴いてみてください。
そして今度はリズム隊の棲み分けを確認するためにドラムとベースのみで聴いてみます。
T.K.D.-YD1-はドラムの音量が大きいにもかかわらず、ベースが前に出てきているのがわかると思います。すでにこの時点で音の棲み分けができているためリズムを表現する上で大事なベースの静と動がしっかりと聴きとれます。
Mixに入る前の段階で各楽器の棲み分けができていれば棲み分けのための処理が必要なくなるため、時間の節約と同時に音の劣化も防ぐことができます。
3.ドラムの音そのままを音源化
TKDシリーズでは収録時にアウトボードは使わず、音源化の際にも最低限の補正のみにしています。これはドラムの素の音に近い状態で音源化することでMix時の音作りの自由度を確保するためです。
EQやコンプレッサー、リバーブなど必要に応じて処理を加えることで、目的やジャンルに合わせた理想の音を作り出せます。
次の動画では前半は音源の音そのまま、後半はエフェクトをかけた音が聴けます。
各トラックに刺さっているエフェクトの数にもご注目。
これだけ手数が少なくてもしっかりと使える音になっています。
動画で鳴らしている部分をパラアウトしたファイルをアップロードしたので遊んでみてください。
https://drive.google.com/file/d/1a_D5I-I8ucJC8c7LE2r6vSWTuz1fDE4T/view?usp=sharing
そんな感じの尖ったドラム音源です。
ダイナミクスレンジが広く、ほぼドラムの素の音なので戸惑うかもしれませんが、ドラムという楽器を理解することでより完成度の高い演奏が可能になります。
頭の中の理想の演奏と音を再現するための最高の音源になっているのでドラムにこだわりたい方はご検討ください。
また最新作のT.K.D.-YD1-の体験版はショット数が少ないですが最大127ベロシティレイヤーの表現力を体験できる音源になっているのでそちらもぜひ触ってみてください。
今回の記事で使用させていただいた楽曲はantinomyさんの作品です。
現在、MVの制作が進行中なので完成をお楽しみに。
リズミカルで心が躍るような楽曲が魅力で、自分もドラムの打ち込みで何曲か参加させていただいています。
詳しくはantinomyさんのインスタグラムをご覧ください。インスタグラムから各SNSにもアクセスできますので、そちらもぜひチェックしてみてください。
第一話完
第二話は現在販売中のTKDシリーズの音の紹介をする予定です。
その他ドラム音源以外についても何か気になることがあればnoteのコメントやXのアカウントにDMなどいただければ取り上げたいと思うのでお気軽にどうぞ。