テレワーク,テレスタディに最適なモニター選び(2020/10/20更新)

はじめに

新型コロナウイルス流行の影響で,仕事がテレワーク中心になった人は多いのではないでしょうか。あるいは,大学生の方は,多くの科目がオンラインで実施されているはずです。

いずれにせよ,多くの人にとって,パソコンの画面を見つめる時間は長くなっているでしょう。それに伴い,肉体的な疲労(具体的には目,肩,腰など)もより感じるようになったのではないでしょうか。

しかし,その疲労は,パソコンの設定や,周辺機器を整備すれば,少しは(人によっては,かなり)軽減されるかもしれません。

どのようにすればより「テレスタディ」(テレワークにも同じことが言えますが)に快適な環境を構築・整備できるか,この記事で提案いたします。

モニターを買う

皆さんの多くが,ノートパソコン1台とマウスだけ,というスタイルを取っていると思われます。あるいは,マウスも持っていない(特にMacBookユーザーに多い?)という方も少なくないでしょう。

ノートパソコンの画面は小さいので,効率性を有する長時間の作業には向いていません。外付けモニターを導入すれば,画面が広くなります。その分,作業領域が広がるわけです。今までは画面に1つしかウインドウが広げられなかったのが,新たなモニターでは,複数広げることができるようになります。

モニター=デスクトップパソコン,のようなイメージを持っているかもしれません,モニターはノートパソコンでも利用できます。さらに,安価なもので1万円代前半から市販されています。

強調しておきたいのは,値段は張っても,良いモニターを購入することです。モニターは,消耗品ではありません。通常使用では少なくとも5年,丁寧に扱っていれば10年くらいは長持ちします。3万円するモニターでも,5年使えば,年額に換算して6000円(月額500円,Netflixよりも安い)ほどになります。月500円と見れば,決して高くはないと思います。

買うべきモニターの条件は7つ

・画面の大きさが20インチ以上
それより小さいと,外付けモニターを買う意味がないかもしれません。
外付けモニターの主流は,21インチ~24インチです。
Amazonなどでモニターを検索すると,13.3インチや15インチの,持ち運びできるモバイルモニターが結果に混ざってきますが,(自宅設置の前提のため)それらは除外してください。

・フリッカーフリー(フリッカーレスとも。画面がチラつかない)
画面のチラツキ(=フリッカー)は,目の疲れの原因になります。これが抑制できるディスプレイを購入してください。

・ブルーライトカット機能
ブルーライトを浴びると,眼の病気につながったり,睡眠を妨げたりします。日中でも,ブルーライトをカットする設定にしたほうが,目には良いでしょう。

最近のWindowsやMacには,ブルーライトカット機能が搭載されています。
とはいっても,機能上1日中オンにはできないし(WindowsもMacも),稀に不具合によって解除されたり,使えなくなったりすることもあります。最終出力であるディスプレイの側でブルーライトをカットするのが,最も安定的な手段です。

・IPSパネル(またはADSパネル)搭載
ADSパネルはIPSの「ジェネリック」のようなものなので,ほぼ同じものと考えてください。どちらも,どの角度から見ても色が変化しにくく,画面が見えやすいことが特徴です。
ただし,ゲーミングモニターやテレビは,IPSパネル搭載でない場合が多いのでご注意を(IPSは応答速度が若干遅いので,画面出力のタイムラグをなるべく減らしたい用途では不向きだから)。

・非光沢(ノングレア)ディスプレイ
ノートPCの多くはディスプレイが反射します。その分,画面が見えづらくなるため,目が疲れる原因にもなります。

角度調整(=チルト)高さ調整(=リフト)が可能である
良い姿勢でパソコンに向かえるようになります。角度調整は,ほとんどのモニターに搭載されています。しかし,安価なモニターでは,高さ調整が搭載されていないものが多いです。
高さ調整ができないモニターでも,モニターアームを通してモニターを机に設置すれば,高さをある程度自由に調整できます。それゆえ,モニターの高さ調整機能はマストではありません。ただし,すべての机にアームを取り付けできるわけではないので,ご注意を。
設置の手間を考えれば,モニターに高さ調整機能が内蔵されているほうが良いでしょう。

・自動明るさ調整(輝度自動調整)
周りに合わない明るさ(=明るすぎる)でモニターを使用すると,目の疲れの原因になります。当たり前ですが,部屋の明るさは常に一定ではありません(日差しなど)。さらに,手動で調整するのは,手間がかかります。これらを踏まえると,自動明るさ調整は便利な機能と言えます。

余談ですが,輝度自動調整を搭載しているモニターは,市販製品ではEIZOとBenQの2社だけのはず。この2社に絞って考えてみると良いかと思われます。


必ず,上記7つすべてを満たしているものを購入してください。
最近の殆どのモニターには,上記の「高さ調整(リフト)」「輝度自動調整」以外の,5機能すべてが搭載されているはずです。
しかし,体の負担を考えれば,上記7つの条件すべてを満たしたモニターを使いたいところです。
Amazonなどのショッピングサイトでは,条件を絞って検索できますので,それらを活用して調べてみるのも良いでしょう。


より快適性を求めるための追加条件

*一番上になるほど,重要です。

・輝度(明るさ)をより下げることができる
ディスプレイが明るい分,目も疲れやすくなります。
安価なディスプレイでは,輝度の調整幅に限界がありますので,なるべく調整が効くものを購入してください。

・解像度が1920x1080ではなく,1920x1200やそれ以上(WQHDや4Kなど)
ディスプレイの多くは,解像度が1920x1080ピクセル(16:9)です。しかし,それより縦に少し長い1920x1200ピクセル(16:10)のディスプレイであれば,作業面積が広くなり,縦の文章を2つ並べて閲覧するのに最適です。
ただし,CADや設計目的で利用する場合は,縦横で若干長さが変わるので不向きかも。
もちろん,それ以上のWQHD(2560x1440)や4K(3840x2160)は,解像度が高い分,より文字がくっきり見えます。ただし,その分値段が高くなり,大きさも27インチ前後(机上だと,想像以上にスペースを取ります)と,あまりコンパクトではありません。
さらに,解像度が高い分,文字が小さくなります。Windowsではスケーリングの設定で,文字の大きさを変更できますが,対応していないソフトでは,強引に引き伸ばされて,その分ぼやけるのでご注意を。

・フレームレス
同じ画面の大きさでも,フレームがほとんどない分,面積がより小さくなります(その分,厚みは増えるかも)。省スペースで,見栄えも良いです。

・USBハブ機能
モニターの背面にUSBプラグを差し込めるポートが複数あれば,コードがすっきりします(モニター周りは,電源コード・HDMIコード・マウスとキーボードのコードなど,複数のコードで汚くなりがち)。
ただし,無線マウス・無線キーボードを使っていれば,恩恵は得られないかも。

・画面を縦横回転できる(ピボット)
縦向きの書類を閲覧する際に,より見やすくなります。モニターを2台並行して使用(=デュアルモニター)する場合は便利ですが,必ずしも必要な機能ではありません。

上記の条件を多く満たしたディスプレイ一覧

チルト(垂直角度調節)ピボット(画面回転), スイーベル(水平回転),高さ調節,スピーカー搭載,IPSパネル,HDMI端子対応,ブルーライト軽減,フリッカーフリー,ノングレア(非光沢)の条件で絞った結果がこちら。
<解像度は外しました>
安いもので,1万円代後半くらいです。

メーカーはどこが良いのか

メーカーはAcer・BenQ・ASUS(台湾),フィリップス(オランダ),Dell・HP・ViewSonic(アメリカ),LG(韓国),IODATA・EIZO・iiyama(日本)が並んでいます。

購入する際は,必ずメーカーと,その保証について確かめてください

多くは3年保証ですが,EIZO・IODATAの全製品と一部の海外製品は,それよりも長い5年保証です。さらに,メーカーによっては,モニターが故障した際でも,保証期間内であれば,無料ですぐに交換してもらえたり(Dell),あるいは代替品を無料で貸してもらえたり(EIZO)します。(逆に言えば,他のメーカーではここまで手厚くはサポートしてくれない)
どのメーカーを選ぶかは,かなり大事です。

具体的にどのモニターが良いのか

上記7条件をすべて満たしているおすすめモニターを,2つご紹介します。
製品の比較が面倒な方,手っ取り早く買うものを決めたい方は,ぜひご参考ください。(2020年10月時点)

候補1: EIZO FlexScan EV2360(22.5インチ,解像度1920x1200

EIZOは,石川県白山市に本社を置く国内メーカーです。その品質の良さは世界的に有名で,デザイン・写真現像を始め,航空管制や医療現場でも多く使用されています。病院の診察室で見かけたことのある人も多いのではないでしょうか。

EV2360は,ブラックとホワイトの2色が展開されています。部屋に合うほうをどうぞ。ちなみに,ブラックのほうが,フレームと画面の間が気になりません。どちらも5年保証で,万一故障しても,保証期間内であれば代替機を無料で貸し出してくれます

BK(ブラック)

WT(ホワイト)


候補2: BenQ GW2480T(23.8インチ,解像度1920x1080

BenQは,台湾のメーカーです。低価格帯の製品ラインナップが充実していること,他メーカーよりも目の負担軽減の対策に力を入れていることが特徴です。

GW2480Tは,輝度自動調整・高さ調整・画面回転など,安価なモニターでは省かれやすい機能が搭載されているにも関わらず,価格が1万円代後半と,ハイコストパフォーマンスなモデルです。

予算の都合上,モニターにあまりお金をかけることができない場合は,こちらのモデルが良いでしょう。

3年保証(ただし,パネル・バックライトは1年保証)

色はブラックのみです。



ちなみに,4Kディスプレイが良いならば,価格はもう少し高くなります。4Kの3万円台=フルHDの1万円台とお考えください。さらに,画面サイズも27インチが主流で,机上では結構大きめです。

一度買えば5年以上は持ちますし,何より,良いディスプレイは目に優しいです。お金を惜しまずに,ぜひ投資してください。後悔はないはずです。

ただし,もっと高くて良いものを買えばよかった,という後悔はあるかもしれないですが。安物買いの銭失いにならないように,お気をつけください。

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