【測量士補資格試験】度分秒からラジアンへの変換
測量士の八重樫です。こんにちは。
平成29年の測量士補試験から新たに加わった計算問題がある。
この問題は平成30年の試験でも出題された。
測量士補の資格試験は、同じ問題が繰り返し出題される傾向にある為、この問題は今後も出題される可能性が高いので、解説する。
角度の単位
測量で主に用いられる角度の単位は度分秒だ。
これは、私のnoteで繰り返し書いている方向角でも使われている。
トータルステーション等の測量機器でも主に使われるのは、この度分秒という単位だ。
この度分秒という単位は、60進法からなる。
1分=60秒、1度=60分、そして360度=0度だ。
緯度・経度もこの度分秒を用いている。
度分秒と似ているが、度よりも小さい、小数点以下を10進法で表す場合もある。
ISOではこちらが推奨されている。
そして、ラジアンだ。
数学では主にこのラジアンが用いられる。
国際単位系(SI)ではこのラジアンが採用されている事から、測量士補の試験に追加されたのかも知れない。しらんけど。
ラジアン
ラジアンは弧度法による角度の単位だ。
これは、円の中心角 ( 度 ) を「 円の弧の長さ / 円の半径 」で表したものだ。
実務でこのラジアンを使う事は現状では殆どない。
強いていうなら、Excelで角度計算をする為には相互の変換が必要になる程度だ。
度分秒からラジアンへの変換
上の図を見れば解る通り、式は
θ [rad] = L / r [rad]
L = 2πr ✕ θ° / 360
= πr ✕ θ° / 180
θ [rad] = πr ✕ θ° / 180 / r
= π ✕ θ° / 180
なので、
θ [rad] = π ✕ θ° / 180
θ° = 180 / π [rad]
だ。
つまり、
180° = π [rad]
360° = 2π [rad]
と、言うことになる。
過去問
公式が解った所で、過去問を解いてみよう。
次の a ~ c の各問の答えの組合せとして最も適当なものはどれか。次の中から選べ。
ただし,円周率π = 3.142 とする。
なお,関数の値が必要な場合は,巻末の関数表を使用すること。
a.43°52′10″を秒単位に換算すると幾らか。
b.43°52′10″をラジアン単位に換算すると幾らか。
c. 頂点 A,B,C を順に直線で結んだ三角形 ABC で,辺 BC = 6 m ,∠BAC = 130°,∠ABC= 30°としたとき,辺 AC の長さは幾らか。
a b c
1. 157,920″ 0.383 ラジアン 3.916 m
2. 157,920″ 0.766 ラジアン 4.667 m
3. 157,930″ 0.766 ラジアン 3.916 m
4. 157,930″ 0.383 ラジアン 4.667 m
5. 157,930″ 0.766 ラジアン 4.667 m
( 平成29年 測量士補試験問題集 No.3 )
先ず、a の問題を解く。
( 43 ✕ 3600 ) + ( 52 ✕ 60 ) + 10 = 154800 + 3120 + 10 = 157930″
次に b の問題。
43° 52′ 10″ は60進法なので、10進法に直す。
43 + ( 52 / 60 ) + ( 10 / 3600 ) = 43 + 0.8667 + 0.0027 = 43.8694°
そして、上の公式から
θ [rad] = θ° ✕ π / 180
= 43.8694 ✕ 3.142 / 180
= 0.7657...
= 0.766 rad
最後に c の問題
図を描くとこのようになる。
三角形の内角の和は 180° なので、残りの角度は 20° だと言う事が解る。
20°は π ✕ 20 / 180 = π / 9 [rad] なのだが、試験問題集の関数表にラジアンでの数値は記載されていない為、気にせず度で計算する。
角度ACBが 20° だと解ったので、図のように直角三角形を作り長さ Lα と Lβ を求める。
先ず、Lα
cos20° = Lα / 6
Lα = cos20° ✕ 6
Lα = 0.93969 ✕ 6
※cos20° = 0.93969は測量士補試験問題集の関数表より
Lα = 5.63814
= 5.638m
次に、Lβ
sin20° = Lβ / 6
Lβ = sin20° ✕ 6
Lβ = 0.34202 ✕ 6
※sin20° = 0.34202は測量士補試験問題集の関数表より
Lβ = 2.05212
= 2.052m
長さLを求める為には、L = Lα - Lγ なので、Lγを求めれば良い。
緑の直角三角形のθは 180° - 130° = 50° という事が解る。
tan50° = 2.052 / Lγ
Lγ = 2.052 / tan50°
Lγ = 2.052 / 1.19175
※tan50° = 1.19175は測量士補試験問題集の関数表より
Lγ = 1.72183763373
= 1.722m
そしてLを求める。
L = Lα - Lγ
= 5.638 - 1.722
= 3.916m
よって、正解は3。
まとめ
平成30年にも、同様の問題が出題されている。
次のa及びbの各問の答えの組合せとして最も適当なものはどれか。次の中から選べ。
ただし,円周率π=3.142 とする。
なお,関数の値が必要な場合は,巻末の関数表を使用すること。
a. 51° 12′ 20″をラジアン単位に換算すると幾らか。
b. 頂点A,B,Cを順に直線で結んだ三角形 ABC で辺 AB=6.0 m,辺 AC=3.0 m,∠ BAC=125°
としたとき,辺 BC の長さは幾らか。
a b
1. 0.447 ラジアン 8.1 m
2. 0.447 ラジアン 8.6 m
3. 0.766 ラジアン 8.6 m
4. 0.894 ラジアン 8.1 m
5. 0.894 ラジアン 8.6 m
( 平成30年 測量士補試験問題集 No.3 )
このnoteで解説した解き方で解けるはずなので、試してみて頂きたい。
また、この問題は比較的簡単な計算問題だ。
角度の変換は「 θ° ✕ ( π / 180 ) [rad] 」だけで解ける。
三角形の問題も、三角関数だけだ。
このような簡単な計算問題で取る点数はとても大切だ。
中でも出題頻度が多く、また解き易い問題について
【測量士補資格試験】簡単な計算問題で点を稼ぐ
で、有料(100円)だが解説している。
今後も、このように過去問の解説や測量についてのコラムなどを投稿していくつもりでいます。
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