【測量士資格試験】午前過去問 標高とジオイド高と楕円体高

測量士の八重樫です。こんにちは。

【測量士資格試験】基本的な戦略で書いたように測量士の試験では午前試験で高得点を取る事が重要だ。
そのためには計算問題をきちんとこなす必要がある。
測量士補の試験では出題されなかった計算問題について解説をしていく。

標高とジオイド高と楕円体高

測量において、地球は大きな楕円体として扱われている。
この楕円体の求め方による違いから
   ●日本測地系座標
   ●世界測地系座標
という、座標系の違いが生じた。
現在では、GSR80地球楕円体を準拠楕円体とした世界測地系座標が日本でも採用されている。
東日本大震災による地殻変動から測地成果2000と測地成果2011と、更に分岐した。当然、現在では世界測地系座標 測地成果2011に準拠している。
業務において、座標系の違う成果を使う際には変換が必要になる。

この、楕円体面から地表までの高さを楕円体高と言う。

地球の面積の7割は海らしい。
その、海の重力以外の影響を排除した仮想的な平均海面をジオイドと言う。

そして、楕円体面からジオイド面までの高さをジオイド高と言う。

そして、ジオイド面から地表までの高さを標高と言う。

つまり

標高 = 楕円体高 - ジオイド高

という式が成り立つ。

このような問題がある。

既知点A及び新点BにおいてGNSS測量を行い、既知点Aから新点Bまでの距離8,000.00m、新点Bの楕円体高65.40mの値を得た。
このとき、新点Bの標高は幾らか。最も近いものを次の中から選べ。
ただし、既知点Aの標高は25.00m、楕円体高は64.00mであり、ジオイドは楕円体面に対し、既知点Aから新点Bの方向へ、距離1,000.00m当たり-0.03mの一様な傾斜をしているものとする。
また、距離は、楕円体面上の距離とする。
なお、関数の値が必要な場合は、巻末の関数表を使用すること。

 1, 26.12m
 2, 26.16m
 3, 26.40m
 4, 26.43m
 5, 26.64m
( 平成29年 測量士試験問題集 午前試験 No.10 )

標高 = 楕円体高 - ジオイド高 なので、新点Bのジオイド高を求めればよい。

先ず、既知点Aのジオイド高は

25.00 = 64.00 - ジオイド高A
ジオイド高A = 64.00 - 25.00
      = 39
.00m

既知点Aから新点Bに対して、ジオイド面は1000.00m当たり-0.03mの傾斜があり、既知点Aから新点Bまでの距離が8000.00mなので

8000.00 * -0.03 / 1000.00 = -0.24m

既知点Aと新点Bのジオイド高は-0.24mの高低差があるという事が解る。
新点Bのジオイド高は

39.00 + ( -0.24 ) = 38.76m

なので

新点Bの標高 = 65.40 - 38.76
      = 26.64m

よって、正解は5だ。

まとめ

標高とジオイド高と楕円体高の関係を理解していれば、簡単な問題だ。
繰り返しになるが、測量士の試験では午前試験で高得点を取る事が重要なのでこういった簡単な問題では必ず点を取れるようにしよう。

今後も、モチベーションが続くうちは解説を投稿していきたいと思っている。
次回以降も、読んでいただけると有り難い。

ありがとうございました。

最後までお読み頂き有難う御座います。モチベーション維持の燃料にサポートいただけると有り難いです。