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鬼連勤明けのプリキュアが楽しみな話

 1ヶ月間、終日休みの日が無かった。中間考査の作題とその後の採点業務(私はこの期間を「採点人生」と呼ぶ)を済ませ、高総文を別部門2週続けて運営補助・引率し、その時期にぶつかった校内模試の採点人生も昨日ようやく終了した。自由だ。未履修の分際で恐縮だが『銀魂』の登場人物であるマダオの発言に、休みというものは労働や義務を果たして初めて存在するのであり、休みだけあってもそれは休みにはならないという主旨のものがある。ここだけを断片的な知識として獲得するくらいには至言であった。現状の忙しさはある意味幸せなのかもしれない。実際は、多少の健康を犠牲にしている節は否めない。だがその代わりに、考え込んで精神的に病む時間がない丁度良いラインを保てていることは、自分としては助かっている。ちなみに「本校で3年勤務すると臓器をひとつ差し出すことになる」というジンクスを提唱する者もいる。

 そんなこんなで労働義務を一先ずは全うした週末に入れた予定は、友人との映画鑑賞だ。それも、ずっと楽しみにしていた『映画プリキュアオールスターズF(エフ)』である。まず「F」というアルファベットが良い。大学時代に皆から畏怖され、愛されていた学科長の隠語であり、また日々を彩ってくれたペットのハムスター・ふっくんのニックネームでもあるFには思い入れが強い。試験における集団討論の中で、便宜上自分がFさんとして割り当てられた時は勝ちさえ確信した。
 だから(暴論)、プリキュアFも思い入れの強い作品になるにちがいない。正直ここ数年の作品には明るくないのだが、メインビジュアルに「キュアマカロン」の姿を認めた時点で劇場に行く他に有り得なかった。彼女の登場タイトルである『キラキラ☆プリキュアアラモード』(通称:プリアラ)は大好きな作品だ。止まらなくなるので、これについては別の機会に紹介したい。
 映画が楽しみである。このノートも、ただその熱量だけで2000字も書いている。我ながら良い時期に予定を入れられたと思う。ひとしきり大人としての責務を終えた後に観る幼児向け作品は、その喜びと浄化作用もひとしおだ。プリキュアを応援するためのミニライトは特典として貰えない身分だが、我慢するとか、その気になれば代わりを用意できちゃうのが大人だ。上映中は恐らく退行し、「がんばぇ~」の気持ちで鑑賞するだろう。

 私はこうやって都合良く大人になったり、子どもになったりを繰り返す。子どもの頃に得られなかった経済力と機動力が今ならあるし、子どもの頃の好みや感性というものも、損なわれることなくいまだに持ち合わせている。

 そもそも何かを好きという感覚は、対人間(元彼とか)の場合を除いてそう簡単には消えないもので、根底では変わらないと考えている。例えば、大学生になってから突発的にガンダムを好きになったとする。このように急に新たな趣向が出現することはある。ただ、だからといって昔好きだった魔法少女ものを嫌いになるとか、忌避するとかいうことにはならない。一時的に興味が薄れることはあっても、消滅はしないはずである。よって、好きだったものにはいつでも立ち返って楽しむことができ、趣向の幅は拡大こそするが消滅はしないだろうというのが私の立場である。

 そして、私にとってこの感覚がより増幅されるのが、昔観て育った作品なのだと思う。「好き」はそう簡単に消えない。そしてここに「懐かしい」というブーストがかかる。懐かしいという感情は、「自分が一度通った」という意味での安心感がある。あくまで想定の上での例になるが、『それいけ!アンパンマン』を好きで観ていた子どもが成長して親になった時、「もう見たくもない」となるだろうか。自分がそれを観て育った懐かしさ・安心感から、少なくともわが子と一緒に楽しむ瞬間があるだろう。むしろ子と共有できるコンテンツがあることが嬉しいだろうし、「こんなキャラいたな」等、好きだったものへの懐かしさが刺激され、楽しむのではないか。

 そういった意味で、映画において「オールスターズ」と銘打った手法で歴代プリキュアを登場させるという展開の仕方はうまいと思う。メインターゲットである子どもとその親、親もはたまたプリキュア世代という時代になってきている訳だし、昔観た作品のキャラの活躍をまた観たいという私のような人も居て、大きなおともだちも居て、様々な層が楽しめる仕組みになっている。ガンダムでもGジェネやスパロボみたいなストーリーを映画として観てみたいが、コアなファンは反発するのだろうか。

 初代のプリキュアを観て育った私ももう大人になった。シリーズ20周年は本当におめでたい。大人でも可愛いものが好きだし、大人だからより戦闘シーンの格好良さに気付けるようにもなった。分相応の勤めを終えて休みを手にした今、当時を一緒に楽しんだ友人と、女児として週末を満喫したい。

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