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フォルケホイスコーレ留学 初日

私たちを迎え入れてくれるような、雲ひとつない青空の元、これから同じ学校で生活するであろう男子2人に助けられながら、無事怒涛の移動の2日間を乗り切り学校に到着しました。

事前に共有された当日のプログラムは一切なし。ただ、当日13時から15時の間に学校に来るように言われただけでした。

そんな私はきっと丸2日の移動で疲労困憊だろうから、自分の部屋が整い次第すぐにでもベットに飛び込んで眠りにつこう、なんてぼんやりと思っていました。

しかし、そんな思考とは裏腹に、実は深夜まで続く長い長い1日の幕開けだったのです。

今日は、そんな留学初日について綴っていきます。

ここは、牢屋?

到着したらまずは鍵を受け取り、自分の部屋に向かいました。これから半年、どんな部屋でどんな人と過ごすんだろう。どきどきしながらほんの少し期待も胸にいざドアを開けると、広がっていたのはただシングルベットが2つ並べてあるだけの小さな小さな部屋。

ここは牢屋なのかな、と思うくらいあまりの狭さとプライバシーの無さに思わず笑ってしまいました。ここに2人で半年?嘘でしょ笑、と。

そんなことを思いつつ、とりあえず部屋を物色していると、1つ大きなクローゼットが。収納スペースはある程度あるっぽいな、よしよし、と思いながらどんなものかといざ開けてみると、なんと出てきたのは、洗面台。

クローゼットから洗面台なんて、誰が想像できたでしょう。衝撃を受けつつ、もはやそれを通り越してあまりの斬新さに感動すらしてしまいました。

そうこうしていると、ルームメイトが両親と共に入ってきました。めちゃくちゃ明るく、満面の笑みで初対面の、しかも、海外から来た私に、

「これからよろしくね。一緒にルーミーになれて嬉しいよ。」

とあいさつしてくれました。この言葉と彼女の醸し出す雰囲気から、なんとなくこの子とならこのひどい部屋でもやっていけるかもしれないな、と感じたことを覚えています。

2週間経った今、その直感は間違っていなかったな、と思うくらい、今のところかなり相性良く一緒に生活ができています。どうして2人でのルームシェアがうまく機能してるのか、私たちが意識したことについてまた別の機会にでも綴ってみようと思います。

口に大きなじゃがいもが入っているのを想像して

部屋に衝撃を受けながら、集合場所へ向かいます。すでに何人かの先生や生徒たちがいて、あいさつを交わしました。

デンマーク人だけでなく、北欧の人は英語が話せるとは小耳に挟んでいましたが、想像以上にみんなネイティブみたいな英語を話せたので、コミュニケーションを取ることにはそんなに困りませんでした。しかし、ここで1つ大きな問題が。それは、

名前が発音できない。

聞き馴染みのない音すぎて全然聞き取れないし、うまく発音もできない。みんなネームタグをつけていたものの、英語と同じような読み方をしないので、正しく読めず、全く役に立たない。

デンマーク語は口の中に大きなじゃがいもが入っているのを想像して口籠る感じで話すとうまくできるよ、なんてアドバイスをもらうものの、一向にできず終いです。

ただ、私がそのイメージ通りにバカ真面目に発音してみるもののへんてこりんな音しか出ないため、周囲から笑いが起きます。こっちは真剣にやってるのに!(笑)という気持ちでしたが、今思えばあれがいい感じのアイスブレイクになり、みんなと少し距離が縮められた気がしたので今思えばよかったな、と思います。(全く茶化すような笑いではなかったです。念のため。)

全員大集合

何をするかわからないまま、暖炉のあるお部屋に移動して、先生、生徒、学校の関係者など、全員集合です。

校長先生が何かを話していたのですが、デンマーク語のため何を言っているのかさっぱりわからない。まあいっか、と手の動きや声のトーンなどで何を話しているのかなんとなく予想しながら聞いていたら、となりの女の子が肩をトントンとしてきました。

なんだろう?

と思って振り向くと、さっと英語で同時通訳を始めてくれました。

優しいし、ありがたいし、気が利き過ぎるし、なんでこんなに優しい子たちばっかりなんだろうと終わった後に感謝の気持ちを伝えると、

「だって誰も翻訳してあげてないんだもん、理解できないでしょ?」

と、当たり前のことでしょ?何をそんなに言ってるんだ、くらいのテンションで陽気に返答してきました。

何回言ってるかわからないけど、ほんとみんな優しい。
徐々に私の中でなんでこんなにみんな優しいんだろう、と言う「なぜ」の感情が大きくなっていきます。

高校生の頃を思い出したソングブック


先生たちの話も終わり、次はソングブックのデコレーションです。みんな思い思いにこの本をカスタマイズしていきます。

このソングブックは、フォルケホイスコーレの中の聖書的な存在で、どこの学校も共通で主に毎朝の集会でこれを使用します。600曲近くの歌が収録されており、内容は昔の歌謡集やフォルケホイスコーレ向けに作られたものから様々です。

高校生の頃カトリックの学校に通っていたのですが、これとそっくりな本を使って毎朝聖歌を歌っていたので、当時の記憶が呼び起こらされ、懐かしい気持ちになりました。あの時はめんどくさいな、なんて思いながら歌っていましたが、意外と高校時代に思い出すことはそういったなんでもない時間だったりするので、またそれを体験できるのはちょっとだけ嬉しいです。

ご飯のおいしさに感動したディナー

朝からなにも食べてなかったこともあり、すでにお腹はぺこぺこ。

デンマークのご飯はどんなものか全く想像がつかないし、学校のご飯だからそんなに美味しくないだろうと期待値ゼロで待っていると、次々と机の上に並べられていく色鮮やかで、おいしそうなご飯たち。

空腹と疲れとで引き攣っていた顔から、一気に口角が上がるのがわかりました。

そして、いざ食べてみるとまた一段と口角が上がってしまうくらいの美味しさ。これから半年間毎日このご飯が食べられるんだと思ったら、テンションがめちゃくちゃ上がりました。

深夜まで続いたみんなとのおしゃべり

食事が終わりお腹も満たされ、そろそろ眠気もピーク。もうさすがに今日は解散でしょ、と思ったら、

「20時からコーヒー/紅茶とケーキが出ます。みなさん〇〇に集まってください。」

とのアナウンスが来ます。

今ご飯食べたばっかりだし、なんならデザートもあったのにまたケーキって何事?!とりあえず疲れたから寝かせてくれ。と思いつつも、眠い目をこすりながらなんとか向かいます。

結局そのあとは先生も生徒もみんな集まってボードゲームをしたり、おしゃべりをしたり、しっかりケーキも食べたりして。気づいたら時計の針は23時を回っていました。

今日はよく眠れそうだ、と思って24時過ぎにお布団に入り、長い長い一日を終えるのでした。

毎日20時に出てくるコーヒー/紅茶と手作りケーキ
これは…太ります(笑)

おわりに

初日からアクティビティ満載の日程をこなしクタクタになったものの、いい感じのスタートダッシュが切れた気がして少し安心しました。

そして、この1日だけで新しい発見がありすぎて、これからはどんな発見が待っているんだろう、と思うと、ちょっとだけ不安な気持ちよりもワクワクな気持ちが大きくなったのでした。


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