(判例評釈)最判令和5年11月6日民集77巻8号1933頁
表題の判例評釈を、自治研究101巻2号139頁以下(2025)に掲載いただきました。初めての公刊業績となります。
裁判所Webサイト掲載の判決文はこちら。
いわゆるみずほ銀行CFC課税事件などと呼ばれる事案の最高裁判決です。
本件は同銀行がSPC(特定目的会社)を用いて資金調達を行ったことに対する外国子会社合算税制(CFC税制、タックス・ヘイブン対策税制)の適用が問題となった事案で、既に多くの評釈類が公表されています。
本評釈は、行政判例研究会での報告をもとにした原稿であるという性質上、外国子会社合算税制の詳細については立ち入らず、専ら最高裁の判断構造とその内容に注目した検討を行っております(草野裁判官の補足意見については触れておりません)。その意味で、先行評釈類と比較して新味のある箇所をあえて挙げるのであれば、142-145頁の「二」、148-149ページの「四」ではないかと思われます。
なお、本文中にも記載しておりますが、本件の附帯上告部分につきましては、紙幅の都合上検討をカットしております。この後刊行予定の別の評釈(評釈対象はこちら)で扱っておりますので、そちらをご覧いただければ幸いです。
本評釈の執筆にあたっては、前述の行政判例研究会での報告のほか、2024年3月に開催された租税法学者研究フォーラムでプレ報告を行いました。また、事前に数名の先生方にコメントを頂戴することができました。誠にありがとうございました。
【追記】(2025.2.2)
末尾に脱稿後に接したものを付記しておりますが、それらに加えて以下の文献に接しました。
田中晶国「判批」民商法雑誌160巻5号20頁(2024):判示事項1のみ
(2025.2.4)
誤記がありましたので、以下の通り訂正いたします。
139頁9行目
(誤)
しかし、そのような帰結が「授権法の仕組みが予定していないような事態」と評価できるとし、それゆえに本件規定の適用が本件委任規定の委任の趣旨に適合すると結論づけるためには…
(正)
しかし、そのような帰結をもって「授権法の仕組みが予定していないような事態」は生じていないと評価できるとし、それゆえに本件規定の適用が本件委任規定の委任の趣旨に適合すると結論づけるためには…